saoから”ログアウト”できたプレイヤー 作:土ラグーン
最近クソ暇だわw感想どんどんください!
追記
文章を少し訂正しました
気がつくと、僕ーーツバメは、見知らぬところにいた。背中が少しひんやりしている。僕は仰向けになっているらしい。上にあるのは、白い壁だけだ。僕はとりあえず起きあがる。立ってみると、ここは廊下であると気づく。色も装飾も何もない、白い廊下だった。本当にここはゲームの中なのだろうか?僕はそう思って、先へと進む。靴の音がかなり響きわたる。僕はいらいらしたので、靴を脱いだ。そして、ウィンドウにしまう。
廊下のドアを抜けて、少しばかり歩いたところに、ようやく壁に何かついていた。僕はそれをのぞいてみる。それは、地図だ。おそらくこのフロアの地図だろう。だが、ALOは基本マップデータは自動で受信されるし(されないところもある)、第一こんな風にマップがあるなどあり得ない。僕はとりあえず、金属板の地図をみる。
「え・・なんだこれ・・?」
僕は目を丸くしてしまった。なぜならその地図は、もはやゲームで言うそれとは全く違うからだ。記載されているのは、ここのマップデータだが、まるでどこかの研究所の案内板のようだった。部屋の名前が書かれており、その名前もいかにも研究所っぽかった。最近思い出したことだが、僕の父親は科学者であったので僕はよく遊びに行ってた。そこで同じような名前をみたのだ。「仮眠室」とか、「主モニター室」、「データ閲覧室」は僕も見覚えのある名前だった。けれど、「実験体格納室(近日建設予定)」というのは知らなかった。
「実験体・・?」
僕は、何かいやなものを感じながらその地図を後にする。とりあえず、須郷の部屋に行かなくてはいけないのだ。僕は地図をもう一度見た。須郷がいそうな部屋は見つかった。おそらく、いまいるフロアCよりも二つ下のフロアAにあり、下に降りるには、各フロアの中心にあるエレベータを使うらしい。僕は急いでそこへ行き、フロアAへといく。エレベータを降りると、ダッシュで駆け出す。やがて、目指すべき部屋、「中央研究室」の表示が見える。電子ドアを叩いた。すると突然、ドアが倒れ、粒子の破片と化した。僕は急いで部屋に入る。
「須郷・・伸之っ!」
僕は、元凶の名前を呼んだ。部屋を見渡すと、たくさんの機械がある。そして部屋の中央には、一つの脳みそが、液体カプセルの中に収納されていた。
「なんだよ・・これ?」
「ふふ・・驚いたかね?」
「!?お前は・・!」
後ろを振り向くと、男がいた。端正な顔立ちに、毒々しい緑色の長衣をまとい、刺繍が施されたブーツを履いている。その男こそ・・
「須郷!!」
「やれやれ・・理解してないのかい?僕は確かに須郷だけど、この世界では僕の名前はオベイロンだ。」
「おまえ・・まさか・・こんなところで研究しているのか?空中都市はどうした?アルンへの転職はどうした?・・答えろよ!」
僕は、怒りの声を荒げる。しかし須郷は、ヒッヒと毒々しい笑いを浮かべる。
「君・・お父さんも泣いてるよ?何でそんな戯言を信じているのかね?ALOっていうのは僕にとっては最高の研究所なんだよっ!ゲームなんて所詮はただのはりぼてなんだよ!」
「ふざけんなぁぁ!!世界樹のてっぺんを夢見ているプレイヤーが何万人いると思っている?何万人のプレイヤーが時間を犠牲にしていると思ってるんだ!?それがただのハリボテだぁ!?ふざけるな!」
僕の、全プレイヤーの叫びに全く動じず、鼻で一蹴した。
「あほらしいね~いったろ?ここは僕にとっては研究室だって」
「・・そういえばここに行く最中にいろんな部屋を見つけたよ。なんだよ?"実験体格納室"って?」
須郷は相変わらずニヤニヤしている。
「知りたいのかい?あれはね、僕の研究に必要なんだよ。その名の通り、実験体を格納する場所さ」
「・・モルモットとかか?」
「ふふっ、そんな訳ないじゃないか。"
「なっ・・」
僕は絶句した、。人体実験だと?そんなこと許されるわけない。
「デスゲームがクリアされたら、すぐさま
須郷は、完全に裏返った声で大笑いする。
「僕がどんな研究をしているか、知りたいかい?」
僕は聞きたくもないと、口を開こうとしたが、須郷は続けた。
「それはね…人の心のコントロールさ!意識や記憶を改ざんし、僕の意のままにする!これぞ神の所業だ!つまり、僕が神になるための研究なんだよ!!」
ーー狂っている。
「さて・・君には少し僕の研究を手伝ってほしい。君のお父さんも協力しているんだ。ほら」
僕は、須郷が指さしたものをみる。それは、部屋の中央にあった脳みそだ。ということはまさかーー
「あれが、父さん・・?」
「その通りだ。君の父さんは僕の実験体第一号になったんだよ」
「ふざけるなぁ・・!」
僕がそうすごむと、須郷は、やれやれというように首を振る。
「いっておくが、君の父さんが悪いんだ。君のお父さん、名前は雨宮和也、だったかな。彼は、ALOでの僕の研究を粉々にしようとしたんだ。僕の、神になる研究のね!だから殺してやった。現実世界でも仮想世界でもね。そして脳が生きている内に、脳だけ生き返らせてこうして実験体にしているんだ。」
「・・てめえぇ・・」
「そして殺しているところを、ALOのプレミアムアカウントで来ていた君に見られたんだよ。僕は父親と同じように、君も手に掛けようとしたが、すんでのところで止めた。殺さなくても、口封じはできると。だから、君を眠らせて記憶改ざんを行った。そして同時に、」
須郷は、僕をじとっとみる。
「現実での君の肉体だけを殺し、意識だけをゲームに閉じこめたんだ!だから君は、ログアウトできないんだよ!」
あまりにも話が大きすぎる。現実の僕は死んでいる?そんなバカな…
「君の名前もいってやろうか?本当の名前を。」
僕の顔をのぞき込む。何か僕から大事なものを奪いそうな、感じがする。
「君の名前は雨宮翼、だよ」
そのとき僕の頭に、何かが貫いた。そう、僕の記憶が戻ったような感覚だ。僕の頭に、くるくると記憶のフィルムが回っている。父を殺し、僕を閉じこめ、さらにこれからたくさんの人間を犠牲にしようとしている。許さない・・!
「しかしまあ、このゲームで過ごして8ヶ月か。そろそろ僕の実験体になるかね?」
須郷は、下品な笑みを浮かべる。
「だれが・・!」
僕は牙をむく。
「仕方ないね~なら、僕の下僕を用意しよう!システムコマンド!アバター1をログイン!」
須郷は上空へと叫ぶ。すると、真っ白い天井だったはずが、いきなり黒くゆがみ、そこから一人のアバターが現れる。
「君のHPが全損した時点で君は意識を失うように設定しておいたよ。デスゲームの仕掛けをちょっといじっただけで可能なんだ。」
意識を失う=僕の本当の死、ということか。ゲスな野郎だ。
僕は、じっと現れたアバターを見つめる。体は黒に染められている。背中には2本の剣がつっており、黒いコートをまとっている。顔が真っ黒に染められているため、表情が読めない。
「さて、アバター1。そこにいる、ツバメが相手したいらしいから相手してあげてくれたまえ」
「・・了解」
僕は、とりあえず短剣を抜く。このアバターを壊し、須郷の陰謀を破壊する。僕がやるべきことはそれだけだ。
「須郷・・僕は、おまえを絶対に許さない。こいつを倒し、お前を・・」
僕はかすれた声でいった。そして、ギリッと歯をならす。
「殺すっ!!」
そういい、僕はアバターに向かって地を蹴る。アバターは、右手に1本の剣をもつ。そして、僕の短剣を受け止める。僕は、いったん離れ、アバターの右目にピックを投げつける。しかし、そのアバターはあいた左手の甲で受け止める。
「ちっ!」
僕は、アバターに飛びかかり、左拳を振り上げる。アバターは首をひねってかわし、僕のがら空きになった胴を蹴りつける。さらに僕の顔面を左拳で殴り飛ばす。僕は数メートル飛んで、地面にぶつかる。僕は足を振り上げて、反動で立ち上がるが、眼前にはアバターの黒い剣が血の色へと変色し、ものすごいスピードでつっこんでいく。僕はそのまま体を貫かれる。
「・・ありえない・・なんで・・!?」
僕はそうぼやく。ALOでは、剣が変色して相手にすさまじいスピードでダメージを与える技など存在しない。
「驚いたかい?"向こうの世界"での技の力は?確か名前はソードスキルだったかな。この技の名前は、片手剣の技で《ヴォーバル・ストライク》だよ」
ばかな・・!ほかのゲームのシステムを組み込むなんて・・
「さて、もう面倒くさくなってきたな。アバター1!おまえの真の力を見せろ!」
須郷がアバターにそう叫ぶ。すると、もう一本の白い剣を左手に装備した。
「2刀流・・?」
僕は、2刀流という概念自体は経験したことがある。2刀流に挑戦しようとした者はいたらしいが、何せ2つの剣を同時に操るのだ。かなりの難易度である。多くの人はあきらめたという。
だが、そのアバターの2刀流はすさまじい者だった。僕が高速で繰り出す攻撃を見事パリィし、逆に僕の隙を突いてくる。
「さてと、これで終わらせよう!システムコマンド!アバター1《スターバースト・ストリーム》発動!」
須郷は上空に叫ぶ。すると、アバターはそれまでしていた攻撃を急にやめる。僕はしめたと思い、短剣を突き立てるがーーーー
ーーーーパキイイイイイン!
「な・・」
僕の短剣がへし折れる。そして、そのへし折った剣の一撃が僕の体を裂く。しかし、残酷なものでこの技はまだ終わっていない。僕の体を裂いた一撃目が終わる前にはもう2撃目が迫ってきた。僕はなすすべもなく受けてしまう。3撃目、4撃目と繰り出される剣筋はもう見えなかった。そして、神速の攻撃が終わり、アバターが少し下がる。僕はもうほとんどの力と気力を失っていた。そして、両の剣が僕の体を深々と貫いた。どうじに、僕のHPバーは0になった。この連撃の数は、16だった。
「あ・・ああ・・ぁ」
僕の頭が、重くなる。何もかもが崩れていった。
「くっくっく・・あはは・・あひゃひゃひゃひゃあああ!!」
須郷の笑いが響きわたる。だが、それすらもうどうでもよくなった。
(ごめん・・ロックァ・・ユウコさん・・)
僕の意識はそこでとぎれていった。
俺は、ユウコと共にアルンの街のテラスで、ずっとはなしていた。今日、7月15日ーーツバメが世界樹ヘと行った日から一日後だーー俺たちはアルンの街でデートをしていた。そして、一通り遊んで、ゆっくり休んでいた。
「あ~楽しかった!」
「だなぁ・・しっかし、俺あれが一番受けたわ、あの笛吹男!」
「そうそう!結局笛折っちゃったよね~」
「あっはははっ!ツバメも一緒にいたらよかったのにな…」
「むっ・・デートなんだから2人じゃないとだめでしょ?」
「そりゃそうだけどな…そういえば何の報告もないな…どこにいるんだろう?」
「フレンドリストもoffになっているしね・・」
俺は、ふうとため息をついたそのとき、懐かしい声が聞こえた。
「ロックァ」
「つ、ツバメ!」
俺は声を張り上げて、かれに近寄る。がーー
「よるな。お前を討滅する。」
「え・・つ、ツバメ君・・?」
俺たちはツバメの言動がおかしいということに気づいた。よく見ると、目の色が黒のはずが赤になっている。さらに、俺たちに向ける殺気が異常だった。
「ど、どうしたんdーー」
俺の言葉が終わらない内に、ツバメの短刀が迫る。俺はすんでのところでかわし、頬をかすめる。
「もう一度言う。」
ツバメが息を吸い込む。
「ロックァと、ユウコを、僕は殺すっ!!」
・・いかがでしたか?
次回は、ツバメ君と、ロックァのデュエルです!お楽しみに!!
それと毎度ながら、オリキャラ募集しています!
また、評価、感想なども受け付けてますのでどうぞよろしくお願いします!