彼らは何を背負って戦うのか
彼女らは何を想って戦うのか
太陽の光を反射してキラキラ光るアンノウンの群れの中を、トールギスⅡリペアが駆け抜ける。
操縦桿を器用に動かして、正確にアンノウンを斬っていく。
搭乗者、ルクレツィア・ノイン。
ガンダムパイロットに勝らずとも劣らない操縦技術を持っている。
「久しぶりに戻ってきたが、やはりゼクスの言うとおりだったか…!」
トールギスⅡリペアは、持ち前の瞬間加速でアンノウンの攻撃を回避している。
しかし、セオリーに忠実な戦い方をするノインにとって、トールギスという機体は特殊すぎた。
「やはりまだ慣れがッ!!」
だからと言って手を抜くような女ではない。
(私はゼクスについて行くと決めたのだ)
(それなのに、こんな弱くてどうする!!)
ノインは、操縦桿を強く握り直した。
「はぁぁああぁぁあ!!!!」
ノインはトールギスⅡリペアを一気に加速させた。
ものすごいGが全身を襲う。
「負けるかぁ!!!」
ノインの攻撃スピードが一段速くなった。
トールギスは全てのMSの原点となった機体であるが、それにしては癖のある機体である。
武装はドーパーガンとビームサーベルというシンプルなものであるが、重装甲と高機動を両立させた結果、パイロットへの負担がとてつもなく大きくなった。
動きも、どうしても直線的になり、マニュアル通りの戦い方では乗りこなせない。
「うあッ!!」
アンノウンのエネルギー砲が頭部右側に直撃した。
『ノインさん! 援護します!』
トールギスⅡリペアの元にグランが駆け寄った。
「感謝する。」
トールギスⅡリペアとグランが背中を合わせた。
「無理しないでいきましょう。貴重な戦力ですから。」
「無理な相談だな。」
ノインは、軽く笑って答えた。
「あの方は、無理を承知で戦い続ける。あの方について行くには、私も…ッ!!!」
「面白い人ですねっ!!!」
2機が同時に正面の敵に斬り込んだ。
ミデンはグランビットを操りながらビームサーベルとビームピストルで交戦する。
グランビットの操作方法は大きく分けて2つ。
一つは、声で指示を出してプログラムされた陣形を取らせる方法。
もう一つは、パイロットの脳波で1基ずつ操作する方法。
今、ミデンがとっている方法は後者だ。
グランビットはミデンのイメージ通りに自在に動き回る。
モニターに映るアンノウンを1体も逃さず目で追って行く。
「危ない!」
トールギスⅡリペアの背後にアンノウンが回ったのを見逃さず、グランビットを向かわせた。
が、その時にグランに一瞬の隙が生まれた。
「しまった!」
アンノウンが3体同時に一列になって襲いかかってきた。
先頭の1体がエネルギー砲を拡散させた。
グランはそれを両腕受け止めるが、2体目のアンノウンが飛び上がってエネルギー砲を放ち、下から3体目のアンノウンがブレードで斬りかかる。
小規模ではあるが、連携をとっていた。
「くっ…厄介になってきた…!」
グランはビームピストルで丁寧にアンノウンを撃ち落とす。
「これがさらに拡大して、上質なものになったら…」
(正直、勝ち目はない…ッ)
アンノウンは徐々に小規模の連携をとりはじめた。
そこに、ヒルデ駆るウイングゼロが羽ばたいてきた。
「ヒルデさん!」
バスターライフルはとうに壊れ、ビームサーベルのみで戦っていた。
機体各部には損傷が目立っていた。
「ごめんなさい、少し…力を貸してください。」
ヒルデの苦しそうな声を聞くと、トールギスⅡリペアとグランが集結した。
「アンノウンは少しずつですが、連携を取り始めているようです。」
「あぁ、少し厄介なことになってきたな。」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ヒルデはゼロと必死に戦っていた。
なんとか正気を保ってはいるが、精神的な限界が近い。
「前回は、すぐに撤退してくれたんですが…」
戦闘時間はとうに5時間をまわっていた。
「敵が撤退するまで終わらない戦いか…」
「私は…デュオの力に…なれるなら……何時間でも戦います…!!」
ヒルデはウイングゼロを飛翔させた。
ウイングゼロは、パイロットの苦痛を隠すかのように、美しく翼を振るい、戦場を舞った。
破壊兵器のガンダムのなかでは少し浮いているかもしれない。
しかし、その中に秘める破壊性能はガンダム内最強である。
その原点であるトールギス、その派生機のトールギスⅡリペアも、気高く戦場に存在し、敵を墜としていく。
グランもそれらに劣らず、持ち前のオールレンジ攻撃でアンノウンを相手する。
「グランビット、もっと速く!!」
ミデンは、救護カプセルで眠りにつくレイの顔を思い浮かべていた。
ミデンの目から、ふと、涙がこぼれ落ちた。
「レイが、もう…!」
ミデンの想いに応えるかのように、グランビットの反応速度が上がった。
「ガンダムに乗らなくていいようにする…だから…!!」
グラン・ビットは、規格外のスピードだしていた。
そのスピードは、アンノウンを圧倒していた。
「ミデン!!」
「ヒルデさん!!」
「ノインさん!!」
女たちのガンダムは、限界を超えた性能を発揮していた。
彼女らの想いが力になったのだろうか。
アンノウンの数は、大きく減っていった。
完全に圧倒している。
「「「はあぁぁあぁぁぁあ‼︎!!」」」
彼女らの猛攻の甲斐あってか、アンノウンは撤退していった。
戦闘開始から5時間30分後のことだった。
どうも星々です
だいぶ戦力も揃ってきて、面白くなってきました
今回は女中心で組み立てました
Wって、女たちが強いんですよねw