新機動戦記ガンダムW 〜試されしガンダム達〜   作:星々

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時に想いは力を超える

彼らは何を背負って戦うのか
彼女らは何を想って戦うのか





第6話 〜女たちの戦い〜

太陽の光を反射してキラキラ光るアンノウンの群れの中を、トールギスⅡリペアが駆け抜ける。

操縦桿を器用に動かして、正確にアンノウンを斬っていく。

搭乗者、ルクレツィア・ノイン。

ガンダムパイロットに勝らずとも劣らない操縦技術を持っている。

「久しぶりに戻ってきたが、やはりゼクスの言うとおりだったか…!」

トールギスⅡリペアは、持ち前の瞬間加速でアンノウンの攻撃を回避している。

しかし、セオリーに忠実な戦い方をするノインにとって、トールギスという機体は特殊すぎた。

「やはりまだ慣れがッ!!」

だからと言って手を抜くような女ではない。

(私はゼクスについて行くと決めたのだ)

(それなのに、こんな弱くてどうする!!)

ノインは、操縦桿を強く握り直した。

「はぁぁああぁぁあ!!!!」

ノインはトールギスⅡリペアを一気に加速させた。

ものすごいGが全身を襲う。

「負けるかぁ!!!」

ノインの攻撃スピードが一段速くなった。

トールギスは全てのMSの原点となった機体であるが、それにしては癖のある機体である。

武装はドーパーガンとビームサーベルというシンプルなものであるが、重装甲と高機動を両立させた結果、パイロットへの負担がとてつもなく大きくなった。

動きも、どうしても直線的になり、マニュアル通りの戦い方では乗りこなせない。

 

「うあッ!!」

アンノウンのエネルギー砲が頭部右側に直撃した。

『ノインさん! 援護します!』

トールギスⅡリペアの元にグランが駆け寄った。

「感謝する。」

トールギスⅡリペアとグランが背中を合わせた。

「無理しないでいきましょう。貴重な戦力ですから。」

「無理な相談だな。」

ノインは、軽く笑って答えた。

「あの方は、無理を承知で戦い続ける。あの方について行くには、私も…ッ!!!」

「面白い人ですねっ!!!」

2機が同時に正面の敵に斬り込んだ。

ミデンはグランビットを操りながらビームサーベルとビームピストルで交戦する。

グランビットの操作方法は大きく分けて2つ。

一つは、声で指示を出してプログラムされた陣形を取らせる方法。

もう一つは、パイロットの脳波で1基ずつ操作する方法。

今、ミデンがとっている方法は後者だ。

グランビットはミデンのイメージ通りに自在に動き回る。

モニターに映るアンノウンを1体も逃さず目で追って行く。

「危ない!」

トールギスⅡリペアの背後にアンノウンが回ったのを見逃さず、グランビットを向かわせた。

が、その時にグランに一瞬の隙が生まれた。

「しまった!」

アンノウンが3体同時に一列になって襲いかかってきた。

先頭の1体がエネルギー砲を拡散させた。

グランはそれを両腕受け止めるが、2体目のアンノウンが飛び上がってエネルギー砲を放ち、下から3体目のアンノウンがブレードで斬りかかる。

小規模ではあるが、連携をとっていた。

「くっ…厄介になってきた…!」

グランはビームピストルで丁寧にアンノウンを撃ち落とす。

「これがさらに拡大して、上質なものになったら…」

(正直、勝ち目はない…ッ)

アンノウンは徐々に小規模の連携をとりはじめた。

そこに、ヒルデ駆るウイングゼロが羽ばたいてきた。

「ヒルデさん!」

バスターライフルはとうに壊れ、ビームサーベルのみで戦っていた。

機体各部には損傷が目立っていた。

「ごめんなさい、少し…力を貸してください。」

ヒルデの苦しそうな声を聞くと、トールギスⅡリペアとグランが集結した。

「アンノウンは少しずつですが、連携を取り始めているようです。」

「あぁ、少し厄介なことになってきたな。」

「はぁ…はぁ…はぁ…」

ヒルデはゼロと必死に戦っていた。

なんとか正気を保ってはいるが、精神的な限界が近い。

「前回は、すぐに撤退してくれたんですが…」

戦闘時間はとうに5時間をまわっていた。

「敵が撤退するまで終わらない戦いか…」

「私は…デュオの力に…なれるなら……何時間でも戦います…!!」

ヒルデはウイングゼロを飛翔させた。

ウイングゼロは、パイロットの苦痛を隠すかのように、美しく翼を振るい、戦場を舞った。

破壊兵器のガンダムのなかでは少し浮いているかもしれない。

しかし、その中に秘める破壊性能はガンダム内最強である。

その原点であるトールギス、その派生機のトールギスⅡリペアも、気高く戦場に存在し、敵を墜としていく。

グランもそれらに劣らず、持ち前のオールレンジ攻撃でアンノウンを相手する。

「グランビット、もっと速く!!」

ミデンは、救護カプセルで眠りにつくレイの顔を思い浮かべていた。

ミデンの目から、ふと、涙がこぼれ落ちた。

「レイが、もう…!」

ミデンの想いに応えるかのように、グランビットの反応速度が上がった。

「ガンダムに乗らなくていいようにする…だから…!!」

グラン・ビットは、規格外のスピードだしていた。

そのスピードは、アンノウンを圧倒していた。

「ミデン!!」

「ヒルデさん!!」

「ノインさん!!」

女たちのガンダムは、限界を超えた性能を発揮していた。

彼女らの想いが力になったのだろうか。

アンノウンの数は、大きく減っていった。

完全に圧倒している。

 

「「「はあぁぁあぁぁぁあ‼︎!!」」」

 

彼女らの猛攻の甲斐あってか、アンノウンは撤退していった。

戦闘開始から5時間30分後のことだった。

 




どうも星々です

だいぶ戦力も揃ってきて、面白くなってきました
今回は女中心で組み立てました
Wって、女たちが強いんですよねw

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