AC-200年 4/18
政府の迅速な対応によって総人口の95%の避難が完了した。
地球の危機を確認してから実に13日のことだった。
「地球圏統一国家は予想以上に対応が早かったわね。」
「お前は政府を見くびり過ぎなんだよ。」
MO-XのMS格納庫の管理コンピュータを凝視しながら少女は冷めたコーヒーに口をつけた。
「疲れたら休むんだぞ。僕たちの仕事はまだ始まってないんだからな。」
そう言って少年は少女の隣の椅子に腰をかけた。
「……おいしい…」
少女は聞こえるかどうかの小さな声呟いた。
「ん?」
少年がその小さな声に振り向いたその時だった。
「こんな所にいたのね?」
扉の方から突然声がした。
大人びた女性声だった。
このMO-Xには何重ものセキュリティとカムフラージュが施されている。
それを突破してくる技術は相当なものである。
「何者だ‼︎」
少年が腰のホルスターから拳銃を抜き取って、現れた女に標準を合わせた。
薄暗くて顔は見えない。
女は銃を向けられても全く動じず、肩まで伸びたブラウンの巻き髪を揺らして歩み寄ってきた。
「…………デュオ、じゃない?」
「デュオ!? デュオ・マックスウェルの知り合いか!?」
女は目を細めてるのがわかった。
「…やはりプリベンターも動いていたのね。」
少女が回転式の椅子を回して振り返った。
「プリベンターの存在を知っている…!? あなた達、何者なの!?」
女は終始驚きを隠せないでいる。
「最初に名乗るべきは貴様だろ。」
少年は銃を降ろさない。
女は咳払いし、口を開いた。
「私はサリィ・ポォ。対抗する力を持つ者を探しているの。」
少年は銃を下ろして手を差し出した。
「僕はレイ・ノマダ。僕たちの力が必要ってわけだね。」
「私はミデン・アナズィ。ここで6年前からレイと暮らしてるわ。」
ミデンとレイはサリィと握手を交わした。
「MO-XにMS工場のがあるって聞いてデュオかと思ったけど、まさかガンダムパイロットじゃない人がいたなんて…」
「ガンダムパイロットとは十分やりあえる程度の腕は持ってるつもりだよ。」
レイは親指を立てて自信を表現した。
ふとサリィがモニターの方へ歩み出した。
「MSは所有してるの?」
「えぇ…」
正面のガラスが透明になり、MS格納庫の様子が可視化した。
そこにはカプセルが並んでいる。
そして、その向こう側に2機のMSが立っていた。
手前側の1機は大きな翼を有し、胸部に球体が埋め込まれている。
その向かいに格納庫されている1機は肩部、腕部、腰部、後頭部に緑色の細長い板のようなものが装備されている機体だ。
「あれは…ガンダム!?」
「手前側のがプテリュクスガンダム、その向かいがグランガンダム、で、これが支援用無人戦闘機の…」
レイがモニターに設計図を表示させた。
「ちょっとレイ、喋り過ぎ。」
「いいじゃないか、この状況じゃあ個人より、地球圏が一致団結して抵抗しなきゃならないだろ?」
「そうだけど…」
ミデンがサリィを横目で見た。
「私がプリベンターだから…ってことね。」
特務機関プリベンター。
5年前に設立された地球圏統一国家大統領直属の組織で、戦争を未然に防ぎ、全ての兵器を撤廃することを目的としている。
つまり、ミデンとレイは、プリベンターの介入対象であるということだ。
「さすがに大統領も、こんな状況では兵器の撤廃とか言ってられないわよ。」
サリィは肩をすくめて言った。
「抵抗力になりうる戦力をプリベンターが破壊しつくしてしまった結果、いざって時に抵抗できなくなったってことか。学習しないな全く。」
「私たちも完全平和を望んでいるけど、ZEROが示した未来は力を必要としていたの。」
ミデンはカプセルを見つめながら悲しげに言った。
サリィはふと、腕時計を覗き込んだ。
「時間がないわ、残念ながら戦力はあなたたちしかいないけど、戦わないことには人類の未来がないの。」
「サリィさん、MSの操縦ができる人ってどのくらい集められますか?」
「プリベンターには1人いるわ。とっておきがね。でも、彼は今、仲間を捜しに行ってるわ。」
「仲間?」
「えぇ…全員集まれば彼含め4人のパイロットが揃うわ。」
「ダメだ…それじゃ足りない…!」
比較的おとなしい印象があるミデンが力のこもった声で呟いた。
「4人か…あと5人は欲しいな。」
「MDで代用するしかないわね。」
「待って…ここにあるMSの他にあと9機も所持してるの!?」
サリィが驚くのも当然だろう。
9機というと、一個小隊が編成できる程度の機体数である。
それをたった2人でプリベンターの目から隠していたのだ。
「いいや、全てここにある。」
レイがカプセルを見つめながら口角を少しあげた。
「え…?」
次の瞬間だった。
カプセルが次々と眩い光を放ち始めた。
「な、何!?」
「…完成した。」
ミデンの目は輝いていた。
数秒して、光が収まり周りが見えてきた。
「…!? あれは!?」
サリィは目を疑った。
今までカプセルがあったその場所に、見慣れたMS立っていたのだ。
「私の知ってるガンダム…‼︎」
「えぇ、これが私たちが所持している機体…ガンダムよ。」
「わざわざ説明しなくても分かるだろうけど、手前から順に、ウイングゼロ、デスサイズヘル、ヘビーアームズ改、サンドロック改、アルトロン、エピオン、グリープ、アスクレプオス、アクエリアスだ。」
「どうやって設計図を…」
「設計図なんて最初から持ってないよ。」
サリィはさらに驚愕した。
設計図なしでどうやって機体を作ったのか。
「そもそも私たちは機体を作っていないわ。」
ミデンがコーヒーを飲み干して言った。
「どういうこと?」
「超時空目標物体召喚システム、通称ソールトシステムで機体を
「召喚!? そんな事が可能なの?」
「可能だからここに9機の伝説が立っている。単純な話だよ。」
宇宙空間に漂う残留思念、宇宙の記憶を受信し、ZEROで演算処理させて形を完成させるシステムである。
理論上、この世に存在した物体ならなんでも召喚できる。
ミデンがシステムの説明をしていると、ふいに扉が開いた。
反射的に振り向くとそこには20歳前後の中国系の青年が立っていた。
「連れてきたぞ。」
低く落ち着いた声で言った。
「さすがね、仕事が早いわ。」
サリィが笑顔で青年を出迎える。
「なっ!?」
「信じ…られない…」
ミデンとレイは現れた青年とその後ろに立っている3人の青年を見て驚いた。
「フンッ…ここまで機体を揃えているとはな…」
青年が見下すように言い放ち、ガラス越しにガンダムを見下ろした。
「凄いですね! これだけあれば戦えます!」
銀髪のアラブ系の青年が続く。
「ちょっとは楽しそうじゃねぇか!」
長い三つ編みを揺らして、もう1人がガラスに飛びついた。
「また道化に戻るか…」
長い前髪のしたから鋭い目でガンダムを見る。
彼らは皆、個性的な性格だった。
が、その目は、どこか懐かしそうだった。
「やぁ、また会ったね…僕のサンドロック。」
「よぉ、相棒…」
「………」
「…哪吒。」
どうも星々です
ものすごいトンデモ設定です、はいw
プリベンターも動き出してますし、現れた4人の青年も(お察しでしょうw)…!!
とても読みにくい文章になってしまってますが、最後までよろしくお願いします
※見切り発車気味ですw