「……」
通りを歩いていたので案の定周りからの目が辛かった。
「すいません。こんな格好をしていて」
「ま、まあ仕方ないですよ!好みなんて人それぞれですから!」
「いや、この服は別に俺の好みでもないんだ」
「どういうことですか?」
「色々事情があってこの服しか持ってなくて…」
「そうなんですか…服とか買わないんですか?」
「それにも色々な事情があって金をもってないんだ…」
「じゃあ服買ってあげましょうか?」
「本当かっ!?」
まさかの展開にイタチは心から嬉しそうだった。
「え、ええ。さっき助けてもらいましたし、そんなのでよければ是非」
「ありがとう…!」
「じゃあ今すぐ服屋に行きますか!」
2人は羞恥もあったので若干小走りで服屋に向かった。
「いらっしゃいま…ってあなたさっきの…」
「さきほどはすいませんでした」
「あれ?イタチさんさっきもここに来たんですか?」
「あ、あぁ色々あって…」
「色々かぁ…」
佐天はイタチの反応や動作に変な違和感を覚えていた。
……………
「ありがとうございましたー!」
無事に新しい服に着替えることに成功した。
「そんなに見られると恥ずかしいな…」
「ご、ごめんなさい!」
佐天は新しく着替えたイタチに見惚れていた。
「じゃ、じゃあ気を取り直して早速ファミレスに向かいますか!」
2人は再び歩くことになった。
しかし、周りからの目線はまだ消えていなかった。
イタチはその目線が気になって仕方がなかったが、服装に問題があったわけではなかった。
その目線は女性からの目線だけだった。
よく耳をすましてみると…
「ねぇ、あの人かっこよくない?」
「ほんとだ!ちょーかっこいい!」
それを聞いて一気に安心したイタチだった。
その状況を見ていた佐天は予想通りの競争率だったので少し戸惑い焦っていた。
このまま何事もなくファミレスに入ることができ、席についた。
「今日のお礼に奢りますね!」
「あ、いや。そこまでしてくれなくても…」
佐天は躊躇なく店員を呼んで注文をした。
「この季節限定パフェを二つください!」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「なにからなにまですいません」
「いえいえ!こんなことしかできませんからあたし!」
厨房のほうからキャーキャーと声が聞こえる。どうやらイタチのファンらしい。
「そ、そういえば!イタチさんってなんであんなに強いんですか?」
「……」
「…答えられませんか?」
「俺は……」
あくまでイタチは忍。変なリスクを伴わせなくなったので余計な話はあまりしたくなかった。
少し困ったような顔を見せたイタチを佐天はすぐにフォローした。
「あ、答えられないなら全然構いませんよ!」
「本当にすまない…」
「あぁ!佐天さんじゃないですか~!」
そこに佐天と同期の女の子2人がこちらにやってきた。1人は頭にお花が摘んでいて、もう1人はツインテールの女の子たちだった。
「あ、初春に白井さん!こんなところで2人でどうしたの~?」
「ジャッジメントの仕事の休憩にここのファミレスでこの季節にしかないパフェ食べるために来たんですよ~!ね~白井さん!」
「…」
「白井…さん?」
白井の様子が明らかにおかしかった。
「どうせなら一緒に食べますか~!」
「そうですね!」
初春はイタチの隣に、白井は佐天の隣に座った。
「…この殿方はどちら様で?」
「あ、この方は私が不良に絡まれているところを助けてくれた恩人なんです!」
「…うちはイタチです」
イタチと白井の目があった瞬間白井からなにやら気味の悪い湯気がたっていた。
白井の様子があまりにもおかしかったのでイタチはすかさずに声をかけた。
「あの…大丈夫ですか?」
「うぎゃぁぁぁあ!!」
突然立ちあがり、白井は発狂しながらお手洗いの方に駆け込んで行った。
初春は白井の突然の発狂に心配していた。
「白井さん、どうしたんでしょうか」
「…さ、さぁ?」
佐天は白井が発狂した理由が、イタチが直球ど真ん中ストライクだったからということをわかっていたようだった。
その時、佐天の携帯に着信がきた。
「あ、御坂さんから電話だ!」