次の日の朝、佐天はイタチより早く廃工場についていた。
「はやいな」
「やる気満々ですから!」
「じゃあ早速今日の練習だが…」
「うんうん!」
「変化の術を覚えてもらう」
「おぉ!!」
「その名の通り、自分の姿を他人の姿に変化する術だ」
イタチは印を結んだ。
「変化の術!!」
イタチが変化したのは、目の前にいる佐天だった。
「わ、私が目の前に…すご~い!」
「まあこれもそう難しくはない術だ」
「よ~し!頑張っちゃお~!」
イタチの予想通り、佐天は数分で術をモノにした。
「難しくはないとは言えさすがだな」
「そんなことないですよ~」
「そういやまだ術の会得難易度を教えてなかったな。難易度はE・D・C・B・A・Sの6つだ。分身の術や変化の術などはEにあたる」
「そんなにあるんだ~…じゃあ私にSの術を教えてください!!」
「…悪いがそれは無理だ」
「…実力がないからですか?」
「違う。Sは俗に言う奥義や極意、禁術というもので、簡単におしえていいものではないんだ」
「…禁術ってなんですか?」
「禁術は、強すぎるあまり危険な術とされ、悪用されないように禁じられている術を意味するんだ」
「そんなに凄い術あるんですね…なんか危険そうなんで私やっぱりいいや」
「まあ俺から教えられる術はCランクぐらいまでだな」
「Cってどれくらいのものなんですか?」
「俺の使う豪火球の術がそうだ」
「あんな凄いのでCランクかぁ…」
「まあ練習あるのみ、だ」
「は~い!」
「次はなんの術を教えようか…」
佐天は脇を締めてワクワクしている。
「…そうだ、そこに落ちている石を俺に向かって全力で投げてこい」
「え、これをですか?」
佐天は言われるがまま拾って投げる体制に入った。
「えいっ!!」
結構なスピードでイタチの方に飛んできた。
そして、ヒットした瞬間鈍い音がした。
「イタチさん大丈夫ですか!!ってあれ…イタチさんが木になっちゃった…」
「それは変わり身の術だ」
イタチは佐天の後ろに移動していた。
「うそっ、いつの間に!」
「この術は相手から攻撃を食らう直前
に何かに入れ替り、相手に攻撃が当たったかのように錯覚させる術だ」
「あ!こういうのはよくドラマで見ます!」
「ドラマ…か…」
佐天のドラマという言葉をきいたイタチは少しがっかりしたようだった。
「ま、まあとりあえずやってみようか」
「はいっ!」
修行をしてから佐天はグングンと成長していき、修行を始めてから1ヶ月後、
遂にイタチの修行を終えることになった。
「うぅ…」
「泣くな涙子、別に俺がいなくなるわけじゃないだろ?」
「そうですけど…修行…終えるのいやです…」
「これからは自分で腕を磨いて行けばいいさ」
「はい…」
「じゃあ修行の卒業祝いに俺がバイトして貯めた金でパフェを奢るよ」
それを聞いた佐天は急に顔色を良くして、
「やった~!!!」
と大はしゃぎし始めた。そして気がつくと佐天は工場の外に出ていた。
「イタチさん!!早くいこうよっ!!」
イタチと佐天は前に行ったファミレスに行くことにした。
向かっている途中に御坂に出会った。
「あら。2人ともどうしたですか?あ、まさかデートだったりして…」
「違いますよっ!いつもの練習です!」
佐天はすごく動揺して御坂の一言に反論した。
「冗談ですよ!ってことは、今日はもう終わったってこと?」
「はい!やっと卒業できました!」
「へぇ~!よかったじゃないですか!じゃあ私ファミレス行くからもう行きますね!」
「え!?私たちもファミレスに行く予定だったんですよ!」
「本当ですか!?じゃあ一緒に行きましょうか!」
「はい!」
こうして3人でファミレスに向かうことになった。