「じゃあまずは…忍術として基本とされる分身の術だ」
「え?分身の術なんて出来るんですか?」
「そんなに難しいものではない」
イタチは未→巳→寅の術で印を結んだ。
「分身の術!」
ボワンとイタチの分身が出てきた。
「す、すご~い!」
佐天は分身に触れた。
「あれ?」
しかし何も感じることなく透き通ってしまった。
「それはあくまで分身を作るだけのものだ。実態はない」
「えぇ~ないんですかぁ…」
「実態があるのは影分身の術というものなんだが、かなりの技術が必要になる。今の君では無理だ」
「そっか…残念だなぁ」
「まあ、そう気を落とすな。とりあえずやってみろ」
「…わかりました」
佐天はゆっくり印を結んだ。
「分身の術!!」
ボワンと佐天の分身が現れた。
「…ふぅ」
そこに現れた分身は弱々しく今にも消えそうな分身だった。
「分身の術が苦手でチャクラコントロールが得意とは、順序がデタラメだな」
そして佐天は何回も何回も分身の術の練習をし続けた。
そして、20分後…
「分身の術!!」
やっとしっかりとした分身が現れた。
「…いい出来だ」
「やった~!」
「よし、今日はここまでにしようか」
気がつけばすでに夕方で空が暗くなりはじめていた。
「はぁ~お腹空いた~」
今日の修行は終わり、喋りながら帰っていた。
「思ったんですけど…イタチさんって忍者だったんですね」
「…そうだ」
「忍者なんてこの世界にいたんだ~」
「いや、この世界にはいない」
「…どういうことですか?」
イタチはここの世界の人間ではないことを言う決心をつけた。
「本当は、俺はこの世界の人間ではないんだ」
「この世界の人間ではない…?」
さすがにそれを聞いた佐天も動揺するしかなかった。
「俺は忍の世界に住んでいて、ある日突然この世界に飛ばされたんだ」
「……」
「信じられない話だ。別に信じてくれなんて言わない」
「信じますっ!!」
「え…?」
「私信じますからっ!!」
イタチは黙った。まさかこんなにも簡単に信じてくれるとは思っていなかったからだった。
そして…
「…ありがとう」
とつぶやいた。
「いえ…そんな!練習に付き合ってもらってるし、それにあの能力、というかあの忍術をみると嘘とは思えないし…」
「俺はここに来たということをなんらかの形で何かを残したいと思った。だから涙子の練習に付き合うことにしたんだ」
「そうだったんですか…あ!」
佐天の家まで無事にたどりついた。
「では、今日もありがとうございました!」
「あぁ、じゃあな」
2人はここで別れた。