イタチは上条が寝ている入院室にある窓から空を見上げていた。
「あ、イタチさん!来てたんですか」
そこに御坂が紙袋を持って入院室に入ってきた。
「御坂さん。お見舞いですか?」
「ま、まあね。それよりイタチさん身体の方は大丈夫なんですか?」
「あぁ。俺は大丈夫だ」
「う…」
上条の目が覚めた。
「…ん?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?これ、お見舞いのクッキー。デパ地下の高かそうなやつ買ったから美味しいんじゃない?」
「…クッキーというなら手製がベストじゃ…」
「…は?あんた私にどんなキャラ期待してんのよ」
「いやいや。不器用ながら頑張ったボロボロのクッキーってのが…」
御坂から微量の電気が発していた。
「だ•か•ら!!何期待してんのよあんたはっ!」
「み、御坂さん!?ここ病院!俺ケガ人!!」
その光景を見てイタチは和ごまされていた。
「…じゃあ俺は2人の邪魔にならないようここを出ていくよ」
「なっ!そ、そんな邪魔なんかじゃ…」
「では…」
イタチは入院室を出て玄関に向かっていながらこれからどうしようか考えていた。
(俺はずっとここで生きて行かなくてはならないのか…?)
「あ、イタチさん!」
玄関の前に佐天が待っていた。
「俺を待ってたんですか?」
「はいっ!ここに居るって聞いたんで」
「どうしたんですか?」
「少し、相談が…」
佐天は少し顔を赤くして、病院の外にある広場に案内させられた。
「あの…お願いがあるんですけど…」
「…?」
「私を…弟子にしてください!!」
「は?」
「…ダメならいいんです!でも…イタチさん、凄いらしいから…」
「誰から聞いたんだ?」
「御坂さんが、なにかすごい力を持ってるっていってましたので」
「……」
「…ダメですか?」
イタチは空を見上げながら考えていた。
「俺の弟子になって、何をしたいんですか?」
「…大切な人を、私の力で守る力が欲しいんです!」
「今のままでも充分強いと思いますが…」
「…でもやっぱり力があるほうが…もっと守ることが出来るから!」
「…わかった。いいだろう」
「…!!ありがとうございます師匠!」
「…師匠って言われるより先生のほうがいいな」
「わかりました先生!」
「いつから修行…もとい練習ができそうだ?」
「今からでも大丈夫です!」
「なら場所を変えようか…」
2人はすぐに病院を出て、誰もいない廃工場にきた。
「あの…イタチさんってどういう能力ですか?」
「この世界では不明な能力らしいが、実は明白なものなんだ」
「…どういうことですか?」
「…できれば俺の事を詮索しないでほしい」
「わかりました!」
「因みにどういう能力か簡単にというと、自分の身体にはエネルギーというものがあるが、そのエネルギーを俺はチャクラと読んでいる。チャクラには火・水・土・雷・風の5つの種類が存在する。そしてそのチャクラをうまく扱う能力と言ったところだな」
「チャクラ…ですか。でも私は持ってないから無能力者なんじゃ…」
「いや、チャクラは誰にでもある」
「ほんとですかっ!!?」
「あぁ。持っていない人は聞いたことがないな」
「私にもあったんだ…」
「とりあえず、見本を見てもらうか」
イタチは印を結んだ。
「火遁、鳳仙火の術!!」
「すごい…」
「ふぅ…これは術といってチャクラを練り上げると出る技だ。術には忍術・体術・幻術の3つが存在する。今の術は忍術に当たるものだ」
「ちょっと難しいですね…」
「まあ覚えるより実践するほうがいいかもしれないな。まず君の属性を見てみる。この紙を持ってくれ」
イタチは属性を調べるためのチャクラ紙を佐天に渡した。
「その紙はチャクラに反応してそれぞれのものに変化する。燃え散れば火、濡れれば水、砕け散れば土、シワシワになれば雷、半分に斬れれば風だ」
「へぇ〜、なんかすごいですね!」
「とりあえず、その紙を使って自分なりにチャクラの練り方を掴んでみるといい」
「わかりました!」
佐天はこうして、修行の日々がはじまった。