「ただいま!」
イタチは靴を脱いで部屋に向かった。
「おかえりイタチさん!あいつに聞いてなんかわかりましたか?」
「まあ、それなりには…でも突然勝負しろって言ってきたもので」
「あいつホントに勝負が好きなんだな。男見つけ次第に勝負挑んでるんじゃねぇか?」
「そうなのか?」
「よくわかんないですけど…」
「そういや彼女、最近悩みとか言ってませんでした?」
「…悩み?そんな相談する前に勝負の時間になりますよ俺の場合」
「そうですか」
「どうかしたんですか?」
「妙に精神的に疲れてそうだったので」
「う~ん、俺はわかりませんね」
「御坂さんの住所ってわかります?」
「まあ一応は…」
「教えてもらっても構いか?」
「いいですよ。けどどうして…」
「明日少し様子を伺おうかと思ってな」
「えっとあいつの住所は…」
次の日の15時ごろにイタチは御坂の住む寮に来た。
(ここがあの子たちの寮か…すごく派手だな)
白井の部屋のインターホンからピンポーンッ!と音がなったので、モニタに映っているイタチの姿を見て躊躇せず部屋に迎え入れた。
「そうですか。御坂さんいないんですか…」
「え、ええ…そそそれにしても、今日は、何の、ご、ご用で…?」
「御坂さん最近様子がおかしかったりしませんか?」
それを聞いた途端に白井の顔がシリアスモードに変化した。
「…やはり白井さんも何か知っているようですね」
「ええ…最近のお姉様は疲れきった姿でいつも帰られますの…」
「どこから帰ってくるか知ってますか?」
「それが、何も教えてくれませんの…」
「そうですか…」
「まあお姉様の事なので大丈夫だとは思いますが…」
「そうですね、今は彼女を信じるしかありませんね」
「そうですわね…」
落ち込んでいた白井もすこし落ち着いたかと思ったら急に顔が赤くなり始めた。
「そ、そういえばイタチさんはどこからお越しになられたのですか?」
「俺は…」
話の線路はそれたが、長々と話をして気がつけば夕方になっていた。
「へぇ~、イタチさんには弟がいたのですか。おいくつになりますの?」
「あいつは13です」
「まあ!わたくしと同期ではありませんか!」
ピンポーンッ!とまたインターホンから音が鳴った。
「は、はいですの~。今日に2度も客が来るとは珍しいですわね」
そこに映っていたのは…
『……あ、えっと…上条…だけど御坂か?』
白井は悶々としながら部屋に招いた。
「お!イタチさんまだいたんですか!」
「2人はお知り合いで?」
「まあ、いろいろあって」
その時、白井が突然何かに気づいたように焦り始めた。
「ま、まずいですわ!寮監の巡回のようですの…!バレたら大変なことにっ!」
「俺は風呂場に隠れていますね」
イタチはすでにそのことに気づいていて自ら風呂のほうに行った。
「あなたはベッドの下にでも隠れてくださいませ!!」
白井は無理やり上条をベッドの下に隠れさせた。
「物音がしていたようだが?」
部屋にノックをして寮監が入ってきた。
「確かにしていましたわね、隣でしょうか」
「御坂は寝ているのか?」
「はいですの。最近深夜寝付けないとおっしゃって、今さっきお休みになられたので、わたくしも是非静かにして頂きたいところですの…ちょっとクレームを言わさせて頂きますわ」
そう言って2人は部屋の外に出た。その時上条はベッドの下にあった書類を見て、しばらくしてベッドから出てきた。と同じタイミングでイタチも風呂場から出てきた。
「イタチさん…この書類…」
「その書類は!…彼女はもう知っていたのか…だとしたらっ!!」
「あんた知ってたのかよ…」
「ん?あぁ」
「こんなことになってるのを知ってるのに、なんで黙ってたんだよ!」
「彼女自身はこのことを知らないなら真実を知らないほうがいいと思い、判断したまでだ」
「だからって!」
「そんなことより、彼女が1人でそれを背負って解決しようとしていることを俺たちが知ってしまった今、やるべきことがあるだろ」
「御坂を…たすけねぇと!」