イタチたちは無事に研究施設にたどり着いた。
「さあどうぞ、入ってください…」
イタチはあまりにも文明の違いに驚かずにはいられなかった。
「ここまで文明が違うものなのか…」
「なにかいいましたか…?」
「……いえ」
「では行きましょうか…」
イタチは研究員の2人の後をついて行きある部屋にたどり着いた。
「この部屋の真ん中にある椅子に座って待ってください。私たちは上にある調整室のガラス越しで見ていますので」
イタチは部屋の中に入った。
「それではそこに座ってください…今から検査します…」
その部屋は大きくて、真ん中にポツンと一つだけ椅子があった。
イタチはすごく心配していた。
……………
「どういうことだ!」
「能力値からしてLevel5なのになぜ、無能力者の判定がでる!!」
「こいつは一体何者だ!」
「こいつのDNAマップを取れるか!?」
「今から取ってきます!」
「くそっ…この数値が正しければLevel5でも第1位を超えるかもしれん…」
ガラスの向こうで研究者たちが会話をしているのが見えた。声は聞こえなかった。しかし、イタチの写輪眼で口の動きを読んで会話の全てを聞き取っていた。
「DNAマップ…俺の細胞といったところか…」
部屋の扉から先ほどの研究者2人が入ってきた。
「今から注射をしてもらいます…」
「俺はそこまでしてもらうつもりはない」
「いいから黙って注射をされろ!」
研究者の1人がイタチの手を掴んだ。
その瞬間、イタチの身体はカラスの束に変化し飛び立って消え失せた。
「ど、どういうことだ!」
「やつはどこにいった!」
イタチはその部屋にはいなかった。というより先ほど座っていたイタチは影分身だった。
能力を測ったあとに言い合いしていた研究者達の目を盗んで影分身をしていたのだった。
すぐイタチのオリジナルは上から覗いていた調整室の上の通気口に身を潜めた。
「くそっ、あの男のDNAマップを使ってクローンを生成し、Level6へのシフト計画をしようと思っていたがやはり無理か…」
「Level6?Levelは0から5のはずだったが…どうやらこの世界も訳ありのようだな…」
研究者達が調整室から全員出たのを確認し、調整装置の上に置いてある書類を呼んだ。
「これは…!」
『「妹達」を運用したLevel6への進化法』
【学園都市には七人のLevel5が存在するが『ツリーダイヤグラム』の予測演算の結果、まだ見ぬLevel6へたどり着ける者は、1名のみと判明した。この被験者に通常の『カリキュラム』を施した場合、Level6に到達するには250年もの歳月を要する。我々はこの『250年法』を保留とし、実戦による能力の成長促進を検討した。その方法は『超電磁砲』を128回殺害することでLevel6にシフトすると判明した。しかし『超電磁砲』は複数確保するのは不可能であるため、クローンという『妹達』を流用してこれを代える事にする。20000体の『妹達』と戦闘シナリオをもってLevel6へのシフトを達成する。】
超電磁砲というのはまさに、御坂美琴本人であった。
「…彼女のクローンが殺され続けているということか…なんということを!…先ほど研究者たちが言っていた俺のクローンを作ってLevel6へのシフト計画もそれと同じ理屈だったのか…彼女はこの事を知っているのか?」
だが、これを見てやるべきことがあることに気がついた。
「そんなことよりここから早く退散したほうがいいな」
イタチは忍び足で研究施設を去っていった。