「では行きましょうかイタチさん。もう長い間休憩しましたしね」
「…そうだな」
木の葉の里に向かう道中で休んでいたうちはイタチと鬼鮫は里へ再び歩み始めた。
「しかし私たちで九尾の人柱力を捕獲することが出来るんでしょうかねぇ」
「さぁな…」
「まあこちらにはイタチさんがいるから大丈夫でしょうけど」
「…」
イタチは黙っていた。今回里に赴くのは本心別のところにあった。それは、サスケが元気でやっているかを確認するためであった。
2人に重く嫌な追い風が吹いてくる。
「…なに!?」
イタチの目に写った光景が突然すぎる変化をしていて、そこは全く見に覚えのない場所であった。
周りには鬼鮫がいない。ここはどこかイタチには皆目見当もつかなかった。
イタチはすぐにこの状況を何者かによる幻術と思い、幻術を解こうとした。
しかし、幻術を解こうとしても何の変化もなかった。幻術ではなかった。
「…」
周りには見慣れない建物が多く並びたっていて、見慣れない服装をした大勢の人たちが道を歩いている。
どうやら現実でありながら、忍の世界ではないということを推測した。
しかもその人たちがまるで異物を見ているかのような目でイタチを見つめていた。
「なにあの人変な服装して」
イタチはすぐに周りから浮いていることに気がつき、ビルとの隙間に忍び込んだ。
あまりにも情報が少な過ぎたイタチにはやるべき事があった。
「まずは情報収集か…」
彼が考えた情報収集方法は、まずビルの路地で物陰に忍んで、入ってきた人間を拘束して幻術をかけて情報収集するといういたってシンプルな作戦だった。
「俺はいつになったらビリビリ中学生との勝負地獄は終わるんだぁ?」
青年が路地の入り口から逃げ込むように早歩きで入ってきた。
そこでイタチはその青年から情報を聞き出すことにした。
「あの食いしん坊シスターうるさいから早く家に帰らないと」
「…すこしいいか?」
イタチはタイミングよく青年の前に出た。
「あの~、どちら様で?」
「写輪眼!!」
イタチはすぐに写輪眼を相手の目に合わせた。
「……」
その青年はひざまずいた。
どうやら幻術をかけることに成功したようだ。
「ここはどこだ?」
「…ここは…学園都市…」
イタチははっきりとここで忍の世界ではないことに確信した。
「学園都市とはなんだ?」
「…色んな能力者達が…住む地域…」
イタチは能力という言葉を聞いて少しひっかかったようだ。
「能力とはどういうものだ」
「…俺も…よくわからない…」
青年が来たところから誰かが来る音が聞こえた。
すかさずイタチは情報収集を中断し、ビルの屋上に飛び立った。
女の子がやって来て、青年のところに辿り着くのをイタチはビルの屋上から見ていた。
「ついに諦めてひざまずいたわね…さぁ覚悟しなさい!…って、あんた聞いてんの?」
青年は彼女の声に反応しなかったので青年の身体を揺らした。と同時にイタチによってかけられていた幻術が解けた。
「はっ!!…あれ、なんで俺は御坂さんに捕まってるんでしょうか…」
彼女は学園都市で第3位の能力者、御坂美琴だった。
「はぁ?あんたがそこで諦めてひざまずいてたんじゃない!」
「そ、そういえばさっき男が俺の前に立って…ってあれ?」
「話を…そらすなぁ~!!」
その瞬間、彼女の身体から電気が走り、ビルの屋上にまで来た。
「くっ…」
イタチの身体にも電気が走って少し痺れた。
「印を結ばずに発動させることができるということは…忍術とは違うのか…?」
「…?」
その瞬間、御坂は電気を放ったことでイタチの存在に気がついた。
「ん?どうした御坂」
「このビルの屋上から誰かがあたし達を見てる…」
「え…」
御坂はためらわずに屋上に向かって登ってきた。
「気づかれたか…!」
イタチはすぐにそのビルから離れた。
御坂が屋上にたどり着いたときにはすでにイタチはいなかった。
「逃げられたか…まぁいいわ」
御坂は諦めて、青年のいる路地に戻った。
「あっ!あいつもドサクサに紛れて逃げたわね!」
御坂は再び青年のことを追いかけた。