転生してニューゲーム、ただし役職はエキストラ。 作:騎士貴紫綺子規
はいもしもしー。あ、閻魔。久しぶりー、元気だった? 僕様? 変わらず元気だよー。姉さんたちの結婚式が終わってからずっと暇なんだよねー。え? あ、うんそう。七百年前のアレ。つまり僕様七百年間ずっと暇なの。あーあ、神生って本当に退屈だよねー。あはは。
それで今日は何? どうかした? ……え? 下界で銀行強盗があって? ……はっ!? 職員と客含めて総員八十六名死亡!? マジで!? え、なんでそんなことになってんの? 今日明日って死人一桁予定じゃなかったっけ? ……はあっ!? またあの主人公くんがなんかしたわけ!? うーわー、もうアイツいい加減にしてほしいわ。とっとと死ねばいいのに。……うん、まあね。基本あの魂は根強いうえに伝説級だからどうしようもないんだけど。でも義兄さんならどうにかできるでしょ。うん。あの人元は人間だったし。今でこそ創造神なんてしてるけどね。あー、でも加護持ちだしそうそう簡単に死なないかあ……、とりあえず連絡しとくわ。うん。
で、本題は? ……やっぱり。流石に八十人越えは多すぎたね。ただでさえ地獄って忙しいのにさ、もう本当嫌になるんだろうね~。え? 他人事だよ? 当たり前じゃん! だって僕様神様だし?
んー……どうしようとか言われてもねえ……。
……あ! いいこと思いついた! ねえ、閻魔。何人かこっちに送れる? うん、僕様がやる。大丈夫だって! 別に罪になることしてるんじゃないんだからさ。ちょっとなんやかんやしてアレやソレするだけなんだから。失礼しちゃうなー。
あ、いい? よかったー! じゃあ一時間後くらいにまとめて送ってよ。こっちで帳尻合わせはしとくから。はーい。いいんだって。困った時はお互い様だしね! んじゃバイバーイ!
……ふう。あ、ごめんなさいね、皆さん。ようこそ、天界へ。ここでは死んだあなた方に救済措置として別世界への案内を行っております。行く世界や持っていく補正などはランダムですのでご了承ください。え? ……ああ、ランダムというのは「人によって違う」という意味です。行く世界を選べる人もいれば選べない人もおり。持っていくチートを選べる人もいれば選べない人もいる。そういうことですね。来世がどうなるかはあなた次第というわけです。基本的に寿命が来るまでは死にませんのでご安心ください。……え? まあ、そうですね。ですがさすがに救済措置という形をとらせていただいておりますので最低でも四十代後半までは生きられますよ。はい。勿論です。ああ、極稀にトリップの方もいらっしゃいますね。まあ基本的に全員転生なんですが。だって赤ちゃんプレイとか僕様得でしょう? 大丈夫です。オートで「完全原作知識」は全員に備わっておりますので。はい。原作知識が備わっているところにお送りさせていただきます。ですがさすがに死んだ年代はバラバラということもあり原作知識がどこまで備わっているかは個々人によって疎らにございます。その点はご了承くださいますようお願いいたします。
……ああ、そろそろ時間ですね。では、参りましょうか。盛大なパラレルワールドでのゲームを。
……僕様ですか? ああ、申し訳ありません。僕様は娯楽の神、「アガミネ」と申します。日本名ならば「
心の底から「アガミネ様」と崇めなさい。
タイトル通り短編集です。ご注意ください。