ドラえもん のび太の仮面冒険記   作:Δデルタ

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また物凄い時間を掛けてしまい、申し訳ありません…。なかなかモチベーションが上がらず、ポケモンやモンハンをやりまくっていたらまた時間があるかかってしまいました…。投稿に時間はかかりますが失踪をするつもりは一切ないので、待っていただけたら嬉しいです。それではどうぞ!


エピソードⅡ

畳の下に広がる宇宙船の中の景色を見つめていたのび太たち三人だったが、途中でドラえもんがこの現象の原因に気付く。

 

「なるほど…何かの拍子で時間と空間がずれて、この畳と繋がったんだな!」

「そんなことあるの?」

「滅多にないけどね。それに、そういう事ならのび太くんが見た夢のことも説明がつく」

「どういうこと?」

 

ドラえもんの言葉に疑問をもった幸が、説明を求める。

すると、ドラえもんはのび太と幸に畳と宇宙船の繋ぎ目の部分を見るように言う。

その通りにのび太たちがそこを覗き込むと、そこにはすき間があり、そこからは終わりの見えない妙な空間が見えた。

 

「ドラえもん、これって…?」

「多分、のび太くんの夢はこのねじれの所為だと思う。ロップルくんたちの必死の思いがこのねじれを通じて、のび太くんに伝わったんだよ」

「でも、なんでのび太だけ?私やドラえもんには全く伝わってないのに」

「それは…おそらくのび太くんの体質というか、そういうのに敏感なのかもしれない。正確なことはよく分からないけど…」

 

ドラえもんの説明でひとまず納得した、のび太はもう一度眼下に広がる宇宙船内の景色を見る。

夢の通りならば小型の宇宙船のようだったが、それでも中々の広さがありそうという印象だった。

そうしていると、チャミーが話しかけてくる。

 

「はいはい、ちょっとどいて」

「ああ、ごめん」

 

チャミーはのび太たちを一旦退かせると宇宙船の中に飛び込んでいく。

それを見たのび太はチャミーにひとつ尋ねる。

 

「僕たちもそっちに行ってもいいかい?」

「いいわよー」

 

のび太はチャミーの思ったよりも軽い返事に少し困惑しながらも、宇宙船に飛び込む。

それを見ていたドラえもんと幸は、のび太の突然の行動に驚く。

 

「ちょ、のび太くん⁉︎」

「やれやれ、のび太ったら…。私たちも行こうか」

 

2人ものび太を追って飛び込んでいく。

しかし、宇宙船の中に入った瞬間、体が背中側に引っ張られる。

その事に驚きながらも、幸は何とか体勢を立て直して着地する。

ドラえもんも宇宙船のドアを閉めながら飛び込むと、難なく着地する。

先に来ていたのび太は、見た目はタヌキでもそういった性能はやはりネコ型ロボットなんだなと心の中で思ったが、もちろん顔には一切出さない。

そんな失礼なことを考えているとは思ってないドラえもんは、辺りを見回す。

 

「縦と横がずれてるんだ。ねじれて繋がった影響かな?」

「どうしたの?さあさあ、中にどうぞ」

 

チャミーは、自分なりに考察しているドラえもんたちを促すと奥へと進んでいく。

それに続いてのび太たちも進もうとするが、あることに気付く。

 

「それにしても、凄く空気が爽やかだね」

「そうだね。それに妙に体が軽いような気がするよ」

 

のび太の言う通り、宇宙船の中はかなり空気が綺麗なようで、地球とは比べ物にならないくらいだった。

体が軽いのも空気が綺麗で気分がいいからなのかなと考えていると、チャミーの悲鳴が聞こえてきた。

 

「ど、どうしたんだ⁉︎」

「とにかく、行こう!」

 

急いでのび太たちがチャミーの行った方向に進むと操縦室に到着し、そこには倒れているロップルとその体を心配そうに揺らしているチャミーの姿があった。

それを見た3人は急いで駆け寄ろうとする。その時、倒れていたロップルが目を覚ました。

 

「大丈夫?」

「⁉︎何だ、君達は!どうやって中に⁉︎」

「いや、僕たちは怪しいものじゃ…」

「さては、お前たちが海賊か‼︎」

「海賊だって⁉︎」

「どうやら、かなり混乱してるね。このままじゃ勘違いされそうだよ」

 

のび太はロップルを心配して声をかけるが、ロップルの方はのび太たちの存在に気付くと驚いて起き上がると、その場から飛び退く。

のび太は怪しいものではないということを伝えようとするも、ロップルが捲し立てているためにうまく伝わらない。ドラえもんも幸もどうやってこの場を収めようかと頭を悩ませていると、チャミーが横からロップルに飛びつく。

 

「落ち着いて!のび太さんたちは海賊なんかじゃないわ!」

「チャミー、それは一…体…」

「ロップルくん、しっかりして!」

 

混乱するロップルを落ち着かせるためにのび太たちのことを説明しようとするチャミー。

だが、ロップルは意識が朦朧として倒れかけてしまう。

チャミーは急いでその体を支える。

それを見たのび太は、ある道具を催促する。

 

「ドラえもん、お医者さんカバンだして!」

「分かってるよ!お医者さんカバン〜!」

 

ドラえもんはお医者さんカバンから聴診器を出すと、それをロップルの体に当てる。

少しすると、お医者さんカバンの画面にロップルの診断結果が表示される。

 

《カナリ衰弱シテイマス。シカシ、処方スル薬ト栄養ノアルモノヲ食ベレバ、スグ二良クナルデショウ》

 

すると、お医者さんカバンからカプセル型の錠剤が2粒出てくる。

ドラえもんはそれをロップルに飲ませると、四次元ポケットからグルメテーブルかけを出すと、床に広げる。

そして、栄養のとれそうなメニューをどんどん言っていくと、グルメテーブルかけにはそのメニューが次々と現れる。

その光景にロップルとチャミーは目を丸くする。

しかし、2人のお腹からは空腹を告げる音が鳴る。

それを聞いたドラえもんは笑顔を浮かべる。

 

「好きなだけ食べてもいいよ」

「本当にいいのかい?」

「うん、さあどうぞ」

 

ドラえもんがロップルの質問に笑顔で答える。

2人は少し遠慮がちに手をつけ始める。

だが、そこからの2人の勢いは凄まじかった。

最初の一口を食べると、相当な空腹だったらしい2人は怒涛の勢いでどんどん料理を食していく。

そのまま1品目を完食した2人は2品目、3品目とかなりのハイペースで食べていく。

驚くのび太たちを尻目に、ドラえもんが少し多めに出した料理をものの数分で完食してしまった。

 

「はぁ〜、美味しかった!ごちそうさまでした」

「もうこれ以上食べられないわ」

「それは良かった」

「うん、元気になったみたいで何よりだよ」

「助けてくれてありがとう。えっと…」

 

すっかり元気になり満足気な顔をする2人に、のび太たちは笑顔になる。

ロップルはのび太たちにお礼を言おうとすると、途中で言い淀む。

それを見た3人は、自分たちがまだ自己紹介していないことに気が付き、自己紹介していく。

 

「僕は野比のび太」

「ぼく、ドラえもん」

「僕は海東幸。トレジャーハンターさ」

 

3人の自己紹介を聞いたロップルは、3人にお礼を言うと自分も名乗り返す。

 

「助けてくれて本当にありがとう、みんな。僕はロップル。こっちはチャミー。それで君達はどうしてここに?」

「それが…」

 

ロップルが3人にそう尋ねると、一番状況を把握しているであろうドラえもんが代表して説明をしていく。

そして、ドラえもんが説明を終えると、ロップルは腕を組んで首をかしげる。

 

「銀河系地球?う〜ん…僕たちの住んでるコーヤコーヤ星じゃあ、聞いたこともないな」

「コーヤコーヤ星?ドラえもん知ってる?」

「いや、聞いたこともない星だ」

「ってことは、のび太の部屋が遥かに離れてる宇宙につながってる状態なんだね」

「これは大変なことだぞ…!」

 

お互いに聞いたこともない程に離れた宇宙がのび太の部屋の畳の下を通じて繋がっているという異常な事態に、焦りと困惑の表情を浮かべるドラえもん。

するとロップルが、もしかしたらワープに失敗したのが原因かもしれないと言う。

そこで、幸がある事を思いつく。

 

「それなら、もう一度ワープすればいいんじゃないかい?」

「それが、ワープのための装置も動かなくて。直そうにも道具が無いし、あったとしても僕に直せるかどうか…」

 

ロップルは話していく中で、現実を再確認させられ段々と目を伏せていく。

ロップルは自分の力ではどうしようもない状況と自分の無力さに絶望しかけていた。

それは表情からも見てとれた。

それを見たのび太は、何とかしてあげたいという気持ちに駆られた。

隣を見るとドラえもんも同じだったようで、2人の目が合う。

そして、2人は互いに言葉を交わすこともなく、しかし力強く頷く。

 

「ロップルくん。その故障している場所に案内してくれない?」

「え?でも…」

「もしかしたら、直せるかもしれないんだ。だから、お願い!」

「のび太くん、ドラえもん…。どうして僕たちのためにそこまでしてくれるんだい?」

 

ロップルには不思議で仕方なかった。

ドラえもんたちとは、今ここで初めて出会っただけの仲に過ぎない。

にも関わらず自分たちに食事を与えてくれて、そして次は宇宙船まで直そうとしてくれている。

とても、初めて出会った人にわざわざすることとは思えない。

そんなロップルの心情を読み取ったのか、幸はクスッと笑うと口を開く。

 

「そういう人なんだよ、この2人はね。目の前で困っている人を放っておけないんだ。甘すぎるんじゃないかって思うくらいにね」

「…ありがとう!」

「お礼なんかいいよ。僕たちは、自分がそうしたいと思ったからやるんだ」

「そうだよ。さあ、早く故障してる所へ案内して?」

「わかった、着いてきて」

 

そう言うとロップルは立ち上がって3人を案内する。

途中で、目的の部屋であるメカルームに続く扉がのび太の部屋とつながっているために進めないということがあったが、そこはドラえもんの出した“通り抜けフープ”であっさり解決した。

ロップルたちはドラえもんの道具に驚いていたが、気を取り直して案内を続ける。

通り抜けフープを潜ると倉庫に出た。

倉庫には大きな袋が棚や床に所狭しと置かれていた。

気になったのび太はロップルに尋ねてみる。

 

「ロップルくん、これは何?」

「春に蒔くための野菜とか穀物の種だよ。僕たちはこれを買ってコーヤコーヤ星に帰る途中だったんだ」

「なんでロップルくんがそんな事を?」

「以前はコーヤコーヤ星の定期便がやってたんだけど、不気味な宇宙船に襲われるようになってからは無くなってしまってね」

「さっき言ってた海賊の仕業なのかい?」

 

幸がそう尋ねると、チャミーが激しく憤りながら答える。

 

「ええ、きっとそうよ!今回だって種を買った帰りに襲われたのよ!」

「色々と工夫してみたんだけど、それでも駄目だったみたいだ」

「なんて奴らだ!」

「手口もバレないようにやってるから、警察も動かないんだ」

 

ドラえもんはロップルの話を聞いて怒りが隠せない様子だった。

のび太も表情を歪めて、静かに怒る。

すると、目的の部屋についてロップルが足を止める。

 

「着いたよ。ここがメカルームだよ」

「「うわぁ…!」」

 

メカルームに着いたのび太とドラえもんは表情が一転して、様々な装置や機械が並んでいる光景に驚く。

幸も物珍しそうに見上げている。

ロップルは目の前にある1つの装置を指差す。

 

「たぶん、ここにある次元振動ヘッドに問題があるんだと思う」

「って、言われても…。見たこともない構造だし、どうしようか…」

「う〜ん…そうだ!ドラえもん、壊れる前に戻すのはどう?」

「戻す?…そうか!なるほど、その手があった。タイムふろしき〜!」

 

のび太の言葉を聞いて、ドラえもんものび太の言わんとしていることを理解する。

そして四次元ポケットからタイムふろしきを取り出すと、次元振動ヘッドに被せる。

少しすると、メカルームにある装置に光が灯る。

それを見てロップルの表情が明るくなる。

その時、いつ間にか操縦室に戻っていたチャミーがロップルを呼んだ。

 

「ロップルくん‼︎」

「どうした、チャミー!」

 

チャミーの声を聞いたロップルは急いで操縦室に戻る。

その後に続いて、のび太たちも急ぐ。

そして操縦室に戻ると、窓の外には星々が輝く宇宙空間が窓の外に広がっていた。

その中心にあるコーヤコーヤ星が目に入ると、ロップルとチャミーは大喜びする。

そんな2人を見ながら、のび太たちも微笑む。

 

「よかったね、ドラえもん」

「うん、そうだね」

「…あれ?そういえば、宇宙船が直ったらあの畳の扉はどうなるの?」

「…た、大変だ〜‼︎あの扉が消えたら帰れなくなっちゃう‼︎」

「それはまずい‼︎」

 

のび太とドラえもんは大慌てで扉へと走って行って、体当たりするように扉を開けた。

すると、まだ繋がっていたようで2人は無事に部屋へと着いた。

その後に幸が出てくる。

 

「よかった〜、まだ繋がってた…」

「焦って損した…もしかして、幸ちゃん知ってた?」

「うん。戻るときに確認しといたからね」

「なら、教えてくれてもよかったじゃないか」

「教える前に、2人とも走って行っちゃったじゃないか」

 

そんな話をしていると、ロップルとチャミーが扉の前まで来る。

時折、咳き込みながらも3人にお礼を述べる。

 

「皆、本当にありがとう。ゲホッ!…のび太くんたちのおかげで無事に帰ることができそうだよ、ゴホッ!」

「地球の空気じゃロップルくんたちには汚すぎるみたいだ」

「そうみたいだ。早く閉めたほうがいいよ」

「うん。じゃあ、元気で」

「ええ。じゃあね」

「さよなら」

 

のび太がそう言うと、ドラえもんと幸は畳を戻す。

そして、畳がしっかりはまっていることを確認すると一息つく。

のび太は先程までのことを思い返すと、しみじみと呟く。

 

「こんな不思議なこともおこるんだなぁ」

「ふふっ。世の中には何がおこるか分からないよ、今までだってそうだったみたいにさ」

「確かにそうだったね」

「さあ、2人とも早く寝ようか」

 

ドラえもんの言葉に2人は同意すると、布団を元に戻して眠りにつく。

夜空には数多の星たちが輝きを放っていた。

 

 

とある惑星

 

ロップルたちの住むコーヤコーヤ星からそう遠くない場所に位置する惑星。

あちこちに高層ビルが立ち並び、舗装された道路にはタイヤの付いてない未来的な自動車が走っており、その流れが途切れることはない。

それは経済的に非常に発展していると一目でわかるような光景で、誰もが都会と呼称するであろう街並みだった。

現在の時間は日が落ちてかなり時間が経った深夜のようだったが、それでも明かりのついている建物は多く、その中でも幾つかの高層ビルは一際大きな輝きを放っている。

その内の一つのビルの屋上に1人の男が立っていた。

黒いマントに身を包み、同じく黒のテンガロンハットを被った男。

顔つきは少々痩せこけてるように見えて、常に無表情なのも相まって生気というものが感じられない。

しかし、それに反してマントから時折のぞく両腕は筋肉質でかなり鍛えられている。

そして、腰にはホルスターが装着されており、そこに納められている銀色の拳銃は妖しく輝いている。

 

「あれだな」

 

その男は数多く建ち並ぶビルの内の一つを見つめると、抑揚のない声で呟き、その場から歩き出す。

ゆっくりとした一定の速度で、どんどん歩いていきビルの端まで来ると立ち止まる。

男の眼下には街灯や走る車の光など夜の景色が広がり、強い風が容赦なく吹いて来る。

それなのに男は微塵も揺るぐことなく、視線を先ほどのビルから外すことはない。

そして、男が膝を軽く曲げた次の瞬間…跳んだ。

普通ならばすぐに真っ逆さまに落下してしまう筈なのだが、男は当たり前のようにありえないような高度まで跳んだ。

それは最早、跳ぶというより飛ぶ。

男は他の建物や間をあっさり飛び越えると、さっきから見つめていたビルの屋上に着地する。

その時、屋上の扉が開く。

 

「おやおや、こんな時間にお客さんだなんて珍しいな。それも空から来るなんてね」

「貴様は…」

 

そこに現れたのは高級そうなスーツに身を包んだ、悪人面の男だった。

悪人面の男性はニヤニヤという擬音がぴったりと当てはまる表情浮かべる。

 

「…今回のターゲットか」

「君がここ最近噂になってる、ガルタイト鉱業が雇ったとかいう凄腕の殺し屋かな?はじめまして、と言っておこう」

「…」

 

その言葉に対し殺し屋の男、ギラーミンは沈黙を貫きながら周囲の状況を伺う。

すると、ギラーミンはあることに気付く。

 

「既に手は打ってある、ということか…」

「流石に気付くか。なら、隠す必要もないな」

 

悪人面の男が指を1回鳴らすと屋上のありとあらゆる物陰から大量の人影が飛び出して来て、誰もいないと思われていたその場をあっという間に埋め尽くす。

その人影を見ると、頭部は白のヘルメットが顔の半分を覆い、バイザー部分の真ん中に不気味な単眼が描かれている。

胴体や肩、手脚の所々にも頑丈そうな白い装甲に覆われており、装甲とは正反対な真っ黒な銃が全員の手に握られている。

それはどうやらサブマシンガンのようではあるが、その形状は他のどの銃器にも似つかない特殊な外観をしていた。

そこ銃から放たれるレーザーサイトの赤い光は全てギラーミンに向けられている。

絶対絶命という言葉が、その状況を正しく表現していた。

にも関わらず、ギラーミンの表情は微塵も崩れない。

 

「おやおや、どうした?恐怖のあまり動けないかい?」

「…」

「凄腕の殺し屋といっても、これではどうしようもないか。すぐに楽にしてあげよう」

 

悪人面の男性が手をあげると、武装した集団は一斉に銃を構える。

それに対しギラーミンは、落ち着いた動作で腰のホルスターから拳銃を抜く。

それを見た武装集団も警戒をよりいっそう高める。

しかし、悪人面の男性は無駄な抵抗だと笑い飛ばす。

その場が重い雰囲気に支配される。

そんな中、ギラーミンが動いた。

拳銃を握った腕をゆっくりと後方へと振り、そこから次は腕を素早く振り上げる。

その途中で拳銃を離すと、拳銃はそのまま真上に放り投げられ回転しながら空高くへと飛んでいって、次第に見えなくなっていった。

 

「は…?」

 

悪人面の男性は空を見上げながら、思わず間の抜けた声を発する。

それはそうだ。

全方位から敵に囲まれている状況で、自分の武器を自ら捨てるなど自殺行為だ。

ギラーミンを警戒していた武装集団も流石に困惑し、注意を一瞬空に向けてしまった。

とうとうおかしくなったか、と結論づけた悪人面の男性は再びギラーミンに視線を戻す。

 

「なっ…、いない!ど、どこに⁈」

 

悪人面の男性は慌てて周囲を見渡そうとするが、その必要はなかった。

慌てふためく男性の目の前にギラーミンが現れる。

そして、混乱している男性めがけて回し蹴りを放つ。

その蹴りは男性の首を正確に捉え、首から嫌な音が聞こえると共に男性は目を見開きながら倒れ、そのまま動かなくなる。

 

「な、何だと⁉︎ 一体どういうことだ!」

「…標的(ターゲット)、死亡確認。任務完了」

 

さっきまで自身が銃を向けていたはずのギラーミンが一瞬で集団の後ろへと移動したこと、そして護衛していたはずの男性の首を一撃でへし折りその命を刈りとったことに武装集団はひどく動揺する。

そんな様子を気にも留めず、目的の男性が絶命したことを手早く確認したギラーミン。

それを見た武装集団の1人が我にかえると素早くギラーミンに照準を合わせ、銃の引き金をひく。

その銃はどうやら小型のエネルギーを弾として発射するようで、銃口からいくつものエネルギーの弾丸が飛び出し、ギラーミンに襲いかかる。

 

「ふん、鈍い」

「⁉︎ く、来るn…」

 

しかし、ギラーミンはそれらを身体を反らしてあっさり躱すと、銃を発射した者のもとへ一直線に走る。

それに対して再び照準を合わせようとするがギラーミンが接近する方が早かったようで、ギラーミンは相手の持っていた銃を奪うとそれを相手の喉に押し付けると何の躊躇いもなく引き金をひいた。

銃声と共に辺り一面に真っ赤な鮮血が撒き散らされ、その中に倒れた白い装甲が赤く染まる。

すると、ギラーミンが空に向けて左手を挙げるとさっき放り投げた銀色の拳銃がその手にちょうど収まる。

そして、未だ呆然としている武装集団を見る。

テンガロンハットから覗く無機質な眼を見てしまった武装集団は理解してしまった。

殺らなければ殺られる、ということを。

 

「う、うわぁぁぁぁっ‼︎」

「死にたくない、死にたくないっ‼︎」

「嫌ダァァァァ‼︎」

 

そう理解した瞬間、恐怖に呑み込まれてしまった者達は一斉に銃を乱射しだした。

自分の弾丸が仲間の命を奪おうとも、そんなことはお構いなしに狂ったように叫びながら撃ちまくる。

しかし、それも1分も経たないうちに終わりを迎えた。

そこには、さっきまで生命だった(・・・)筈のものたちが辺り一面に転がっていた。

それを一瞥したギラーミンは来た時と同じようにビルとビルの間を跳び越えながら、闇の中へと消えていった。

その後、さっきまでギラーミンのいたビルは火災が発生し、何もかもが全て燃え尽きてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます! 本当にかなり久し振りなので、誤字・脱字があるかもしれないのであれば報告してくださると助かります。

話が急に変わりますが、ビルドが個人的にとても面白いなと思う今日この頃。皆さん的にはビルドはどうですか? 僕としてはスタークの真意や目的が全く分からない感じが非常に気に入っています。ライダーとしてはグリスが一番気に入っています! この小説でもいつか出せたらいいな…(願望)

さて、今回はここまでにしておきます。もし、こんな超不定期の小説でも待ってくださる読者様方がいるならば、とても嬉しいです。それでは次回予告です。

はるか遠くの惑星に住む少年、ロップルと友になったのび太たち。もう会うことはないと思いつつも、畳をあけると驚きの事実が…! そして、ロップルとチャミーの住む星コーヤコーヤ星を脅かそうとする不穏な影の正体は…。
次回、ドラえもん 真・のび太の宇宙開拓史 エピソードⅢ
全てを破壊し、全てを守り抜け!

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