ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
ダメだと思いながらも書き上げた私は、悪い子いらん子……www
森の裏手にある河口付近。明崎 信也はそこで、イニシエーターの川野 実緒を待っていた。
「実緒…………」
大丈夫だ、あいつは……そんな柔なやつじゃない。そう信じていた。とにかく、この後どうするか……あのガストレアが来る前に考えねばと、彼は頭に手をやった。
「…………かなり近づいてきたな……。」
モデル・ホークの能力があれば、双眼鏡やスナイパーライフルのスコープは必要ない。かなり、遠く……1キロ先まで鮮明に見渡すことが出来る。普段は目が疲れるので、戦闘の必要最低限の時しかこれは使わない。
大体700メートルだろうな……変異体のガストレアがそこまで来ていた。土管の近くから捕捉する。
「よし、俺が10歩進んだら撃つ。そうしたら打ち合わせ通りに……頼むぞ。」
「了解です……」
土管の裏にいる実緒に告げる。彼女は俺のボストンバッグを、両手でしっかりと抱えていた。
俺はゆっくりと歩き出す。1………2……3…………4…5、6……7……8……
「グルルルル……」
変異体が通常の肉眼でも確認出来る距離に現れた。
……9…………10!!
俺は変異体に引き金を引いた。弾丸は躱される。こちらに気づいた。向かってくる。
「走れ!!」
俺はそう叫び、走り出す。同時に実緒が走り出したのも確認。よし。さて、と。俺は走りながら、時計を見る。13時12分。時間は15分間。その間、俺は囮だ。奴は俺を追っている。ここまでは計画通りだ。あとは……
「俺の体力が持つか……だろうな。」
森の林を駆け抜けて、私……川野 実緒は河口に出た。そしてバッグを開く。
「よし………」
5分かかったから、あと10分。
それまでにこれをしかけて……
「実緒!!」
遠くから声………信也さんだ。
「信也さん!!無事でしたか!」
「お前もな……ガストレアは!?」
「今、真さんが囮になって時間を稼いでいます!」
「真!?何があったんだ!?」
「話は後です!!信也さん、ちょっと手伝ってください!」
私は信也さんにバッグの中身を見せた。
「これは…………爆弾?」
数分前の土管の裏にて、私と真さんは作戦の打ち合わせをしていた。
「爆弾?」
「あぁ。奴を倒すには、不意を着いた爆破が効率がいいはずだ。」
真さんはフリスビー位の大きさの、丸い円盤状の物を取り出した。これが爆弾なのだろうか。
「こいつは遠隔操作でオンオフが出来る。今はオフだから……落としても爆破しない。」
地面にそれを1つ落としながら説明する。確かに爆発しなかった。
「こいつが今10個ある。奴を河口におびき寄せこれを爆破させる。これを地面に埋めて、奴がこいつの真下に来たところでリモコンでオンにして、爆破する。」
「なるほど……でも、どうやって仕掛けるんですか、爆弾。」
「……実緒ちゃんは先に河口に行って、これを仕掛けてもらう。」
「そ、それって……まさか!?」
「……俺が奴の囮になる。」
「そんな、危険ですよ!」
「大丈夫だ、俺はやられない。」
「でも……」
真さんは、私の頭を撫でた。
「強がってなきゃ、護れないものも護れない………だろ?」
私が言った言葉だった。
「安心しろ……俺は死なない。俺も生き残るんだからな。」
「……はい!!」
「よし。」
真さんは地図を出した。
「今はここ。河口は走って5分程度でつく。河口に着いたら爆弾を10個、一カ所にまとめて埋める。最低でも10分でこれをやってほしい。だから15分間俺は奴を引きつけておく。俺と河口で合流してから、タイミングを合わせて爆破してくれ。」
「分かりました…!」
「頼むぞ。」
「………はいっ。」
「残り2分……」
もう少しだ。俺は変異体と交戦していた。とは言っても、銃弾で牽制しつつ攻撃を躱すだけのことだった。
脚がそろそろ限界かもしれない。痛みまで伴ってきた。もう少し耐えろよ、俺の体。
「そろそろだな……こっちだ!」
俺は変異体に手榴弾を投げつけ怯ませ、走り出す。河口に向かって。
「……よし!!」
「終わったか?」
「ばっちりです!!」
私と信也さんは真さんの爆弾を地面に埋め、100メートル程離れた所へと待機した。あとは、真さんが来るのを待つだけ。あと一分程……。私は爆弾のリモコンを握りしめる。
「生き残るんだ……絶対に。」
色んな人と交わした約束。民警の皆や、私を支えてくれている人たちと。真さんともだ。
「………!!」
向こうから走ってくる人影……真さんだった。
真さんは私たちの元へ。膝に手をつき、激しく息を荒げている。
「はぁ……はぁ……しんどい………」
「真さん!」
「あぁ、もうすぐこっちに来る……爆弾は!?」
「ばっちりです!!」
「グルオオオオ!!」
ガストレアがこちらに向かってくる。あそこだ。少し砂利が盛り上がっている所。そこにあいつが来た時に………!私は爆弾の電源をオンにした。
ガストレアは……その地点に差し掛かった。
「行っけぇえええええっ!!!」
私は爆破のスイッチを押し込んだ。
激しい爆音が鳴り響き、爆風が吹き荒れる。
「きゃあっ!?」
「うわっ!!」
爆風が収まる。
「………」
真さんは爆破地点に歩み寄る。
変異体は……爆発で内蔵が飛び出ていた。再生していないところを見ると、どうやら死んだようだ。
「作戦、成功だな。」
「真さん!!」
実緒と社長が駆け寄る。
「やりましたね!!」
「あぁ……君のおかげで、な。」
実緒の頭を撫でた。
「真……」
社長は俺の方を見る。
「……じゃ、俺はここで。」
俺は立ち去ろうとした。
「待ってくれ!!」
社長は叫んだ。
「………民警に戻ってきてくれ…か?」
後ろを向いて、その顔を見る。社長は力強く頷いた。俺は……脚を進める。
「……検討しとくわ。」
俺はそう言い残し、その場を後にした。
「真さん……!!」
その言葉に嬉しくなった私だった。
「全く……」
信也さんの顔も笑っていた。
「よし、俺たちも帰るか。」
「そうですね。」
私たちは帰還の準備をした。
「ねぇ、信也さん。真さん……戻ってきてくれますよね?」
その質問に信也さんは答えた。
「……きっと、な。」
「あーあ、私の『キマイラ』がやられるとは……」
モニターで森の戦闘を監視していた者がいた。彼の周りには……体中を改造されている動物達が、ホルマリン浸けにされていた。
「まぁでも、予想を越えた良いデータが取れた。彼らにはもう少し、私の実験動物の相手をしてもらいたいな……イニシエーター達、には。」
椅子から降り、白衣をたなびかせる男。
「最強の新人類を産み出すために……ね。」
彼は怪しげな笑みを浮かべた。その手に握られていたのはレポート。タイトルは……
『ガストレア・ヒューマン計画』
民警に復帰か真!?謎の白衣の正体は!?彼の計画とは……って、大体わかるかな?wwwww
とにかく盛り上げてみたつもりな回でした。