ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
とりあえずもっと色々勉強します。
時計は夜の0時ジャストを指していた。
俺と心音、紅音は高層ビル……ミュータントのアジトであろう場所の前に立っていた。ここの座標は紅音が特定したものだ。
物陰から、能力の視野の拡大で入口前を見る。特にセキュリティは働いていない。自動ドアのランプは消えている……。正面から突入は無理か。
「正面からは無理だな。裏口に回るしかない。あるかどうかは別として、だがな。」
「オッケー。じゃあ、行きましょうかね。」
心音はアンクレットを身に付ける。紅音も銃を手にした。
そして俺たちは、ビルの裏口に回った。案の定、入口があった。俺たちはそのドアから入り、階段を上がっていった。
「⁉︎」
モニターを監視していたのはオミクロンだった。すぐ様警報を鳴らし、通信で、他のミュータントに伝えた。
「非常階段に侵入者‼︎ このまま上がれば25階に到達する‼︎ すぐに撃退しろ‼︎」
『そう焦るな、オミクロン……』
「⁉︎ オメガ⁉︎」
モニターにオメガが映る。
『こうなることは想定内………どれ、ここらでゲームでもしてみよう。各ミュータントは配置につけ。出てきた侵入者は捕獲せよ。』
「ゲーム、だと……?」
オミクロンは困惑するだけだった。
「ここは25階か。」
階段を登り終わり、ドアの前に立つ。
「お姉ちゃん、ここって30階建てだよね?」
「えぇ、さっき確認したけど、間違いないわ。」
なら、この先にミュータントが待ち構えている可能性は大いにある……か。
「行くぞ……」
俺はドアに手をかけ、ノブをひねる。
そのままドアを押し込んだ。
「⁉︎」
広い空間。奥の方に階段。
その手前に立つ、3人の三つ子の男。
「出たな侵入者ぁっ‼︎」
「俺たちが嬲り殺しにしてやるぜぇ⁉︎」
「かかってこ……っ⁉︎」
その3人は、その場に崩れ落ちた。
その背後にいたのは………青いツインテールの少女。
その右手には剣が。
「はいはーい、ザコさんは引っ込んでてくださいねー?」
和ロリ……といった服装か、その少女は剣をクルクルと器用に回す。
「んーと……あ、そっかそっか‼︎ ファイの駒か‼︎」
「駒……ですって⁉︎」
紅音がバズーカを構える。
「ま、どーでもいーけど…ファイは裏切ってんのバレて、今は私たちの駒だしねー‼︎」
「な、何⁉︎」
「なんかー、何かやろうとしてー、バレたんだってー、あははー‼︎笑っちゃうよねー⁉︎」
その少女は嘲笑う。
「貴様………‼︎」
「と言うわけで……このあたし、デルタちゃんがお相手しまーす‼︎ どーする?サシ?それとも全員でかかってきちゃうー?」
足で、男のミュータントを踏みつけながら刀を構えるデルタ。
「この……‼︎」
俺が構えた時だった。紅音が一歩前に出た。
「お姉ちゃん……?」
「……わたしがやる。」
紅音はバズーカを下ろし、バッグからトンファーを取り出し、装備した。
「んー?お姉さんが相手するのー?いーよ‼︎勝つのはデルタちゃんだし‼︎」
挑発的な笑みを浮かべるデルタ。
「あんた……それ可愛いって思ってやってる?」
「えー?当たり前じゃーん。だってデルタちゃんは可愛いんだもんっ。」
紅音はその言葉に返すかのように……右手でデルタに挑発した。
「あんたみたいな内面クズに……負けるわけないのよ、このぶりっ子気取り。」
「っ⁉︎ この………デルタちゃん、おこだよぉっ‼︎」
デルタは駆け出し、剣を紅音に振るう。紅音はトンファーで剣を受け止め…
「はっ‼︎」
華麗にサマーソルトを決めた。デルタはよろける。
「いっ………てぇな、こんちくしょうがっ‼︎」
デルタは声を荒げ、剣を振るう。紅音は的確にそれを受け止める。
「甘いのよ………全部っ‼︎」
裏拳ばりにトンファーをシグマな叩きつける紅音。シグマは吹っ飛び、地面に叩きつけられる。
「かはっ‼︎ この……っ‼︎ 何でよ……ただの人間が………ミュータントに負けるなんて……っ‼︎」
「どうしたの?その程度?」
「うる……っさい‼︎」
そこへ………男が現れる。そいつは……
「‼︎ ゼータ……‼︎」
大人しい雰囲気を醸し出したミュータント…ゼータはデルタに歩み寄る。
「おや、苦戦を強いられているようですね?たかが人間に。」
「…‼︎うるさぁいっ‼︎」
デルタは強化剤を取り出す。
「たかが人間相手に強化剤を使うとは……あなたも落ちたものですねぇ?」
「……〜っ‼︎ 黙れぇぇええっ‼︎‼︎」
デルタは……ゼータに強化剤を打ち込んだ。
「んなっ⁉︎ あ、あなた、何をっ⁉︎」
「デルタちゃんの気に入らないものなんて……要らないのっ‼︎」
ゼータを斬り裂くデルタ。ゼータはその場に崩れ落ち、皮膚がボロボロになっていく。
「貴様ぁ……っ‼︎」
ゼータはそのまま動かなくなった。
「何してるんだよ……‼︎仲間じゃないのかよ‼︎」
「こんなやつ仲間じゃない‼︎デルタちゃんの仲間は、デルタちゃんのことをわかってくれる人だもん‼︎」
「てめぇ……‼︎」
俺はマシンガンを構える。
「面倒よ……あんたら全員、斬り刻んでやるっ‼︎」
デルタは駆け出し、斬りかかってくる。
その頃、地下牢では………
「……ファイ様からの指示がない…。」
シグマが、ファイからの連絡を待っていた。
「信也さん………」
「………………」
『もし、あなたのその考えが失敗したらどうするのですか?』
『……お前の好きにしろ。』
『………私に全てを任せると?』
『出来るさ。お前は人間だったんだろ?』
『………………』
『……信頼してくれ、俺を……実緒たちを。』
「……実緒様。」
シグマは……鎌を手に取った。
「シグマ⁉︎」
「……少し下がっていて下さい。」
「わわっ‼︎ちょ、待って待って…」
実緒はリコとともに下がった。
「‼︎」
シグマは鎌を振るう。全ての檻が斬られる。実緒とリコは檻を出た。それにつられ、他のイニシエーターも外に出る。
「武器はそこにあります。」
シグマの指差した先にはロッカー。実緒はそれを開く。武器が入っていた。実緒はランスを手に取る。
「皆は安全なところへ‼︎ あとは私達でなんとかするわ‼︎」
実緒は駆け出し、地下牢を出る。それにシグマも着いてきた。走りながら、実緒はシグマに声を掛ける。
「シグマ……あなた、ミュータントなのに…なんで?」
「……ファイ様は、私の好きにしろ、とおっしゃいました。その指示に従ったまでです。」
「シグマ……」
「私は、今のオメガ様の考えには賛同できません。私は悲しいという感情を感じたくありません。」
実緒は微笑んだ。
「……素敵ね、とっても。」
2人はエレベーターに乗り込んだ。
もうちょっと長引きそうですね……(^^;;
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