ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
自分でここまでやっておきながら、実はちょっと、いやかなり心配です(笑)
「ハハハ……死体愛好家でしかない私に恋愛相談とは……君も好き物だね…ハハ……。」
「わ、笑い事じゃありませんよっ。」
真の病院に迎えに行くついでに、室戸先生に相談に乗ってもらっていた私。
「それで?自分は俗にショタコンと言うやつではないのかと、不安な訳かい?」
「まぁ、そんな所です。」
「ふぅむ………俗に言うそう言った類の言葉の基準は曖昧だな。ロリコンにショタコン………幼女と少年……うーむ、基準は確かに難しいな。人によるだろう。逆に聞こう。君のショタコンの基準は、どの程度なのかな?」
「どの程度……ですか。」
真は今、15歳。私は24……その差、9つ。真が二十歳で、私は29……三十路⁉︎ 三十路の一歩手前⁉︎
「………年の差9つって、どうなんですかね?」
「………私は別にアリだと思うぞ?私的には、ショタコンとは二桁程年の差が離れた方が、それに値するかと…。」
「は、はぁ………。」
「まぁ、気長に頑張りたまえ。ただ……」
少し表情を硬くした室戸先生。
「ことりあそび君は、記憶喪失だ。あまり無理なことはしてはいけない。それを分かっておいてくれよ…?」
そ、そうか。やっぱり、第一にそこだよな。
「分かりました。」
「じゃ、頑張りたまえよ、恋する乙女。」
室戸先生は怪しげに微笑む。
私は何も言わず、病室を後にした。
病室を出た所で、真が座って待っていた。
「あ、心音さん。」
「おまたせ、真。」
「何の話……だったんですか?」
「あ、あぁ……まぁ、色々ね。真の記憶の話もだけど…他にもね‼︎私も色々有るのよ…えへへ。」
「あの……あまり無理しなくても大丈夫ですよ?」
心配そうな表情……キュン…ッ‼︎
はっ‼︎いかんいかん……‼︎
「大丈夫。無理はしてないよ?ホントに。」
真の頭を撫でる。
んもー、可愛いなぁ……。
「は、はい………。」
「よし、じゃ帰ろっか。」
私と真は横に並びながら帰路についた。
その日の夜。
夕飯を終え、風呂から上がった真はソファに座り、テレビを見ていた。
見ていたのは、ガストレアのニュースだった。
私は真の隣に座った。
「………俺、あんな奴らと戦っていたんですよね…。」
「信じられない?」
「はい………今の俺には…怖くてしょうがないです。」
ガストレアに関する記憶も無くしている……それ故の恐怖心、か。
「大丈夫だよ。今のあなたは、戦う人じゃないから…ね?」
「はい………。」
暗い表情………こんな真、見たことない。最早、気の弱い1人の男の子だ。
私は……真を思わず抱きしめた。
「え……ちょ、ちょっと…心音さん……?」
「大丈夫。あなたは、私が守るから、ね?」
……………ヤバい。
鼓動が速まっているのが、自分でもわかる。
どうする?この後……私は………‼︎
私の理性が崩壊しようとしかける寸前だった。
「こっ、こここっ、心音さんっ⁉︎」
実緒とリコちゃんが風呂から戻ってきた。
「あ………ち、違うの‼︎なんか…そう‼︎記憶を思い出させるスキンシップを…」
「心音さん…そんな大胆に…はぅぅぅ………」
実緒は回路がショートしたようだ。その場に倒れこむ。
「実緒おねえちゃん?大丈夫ー?」
リコちゃんが揺さぶる。
やれやれ………やっちゃったかも。
「リコちゃん……もう寝なさい…実緒は私がベッドに連れてくから。」
「はーい。」
リコちゃんは部屋に入っていった。私は実緒を抱え、部屋の彼女のベッドに寝かせた。
「実緒おねえちゃん、大丈夫かな?」
「大丈夫よ。じゃ、おやすみなさい。」
「おやすみなさーい。」
私は彼女たちの寝室の電気を消した。ドアを閉める。
そして、真に歩み寄った。
「ご、ごめんね?なんか変な感じになっちゃって……い、嫌だった?」
「………………」
真は胸を両手で抑え、うつむいていた。
「真……?」
「…………なんか、少しだけ思い出せたかもしれません。」
え?まさかの私のハグ、効果あり⁉︎
「ほ、ホントに?」
「心音さん。」
「うん。」
「俺たちって………」
「うんうん。」
「…………『恋人同士』…だったんですか?」
「………………うん?」
今、何て言った…?
こ、い、び、と………コイビト?
どうも、徳崎クリステルです……じゃなくて。
「あ、あの、真?私たちはあくまで仕事仲間だったわけでね?えっとね?まぁ、確かに私は真のことが好きだったのかも?しれないけどさ、何ていうかそれはえっと……」
「………っ。」
真は立ち上がり、私に抱きついた。
「ほぇっ⁉︎ ちょ、真⁉︎」
「………心音さん…。」
ま、待って待って‼︎ちょっと、真⁉︎
そんな大胆な……あぁ、いっそこのまま……ってバカー‼︎
「ま、待って…‼︎」
私は真の肩に手を置いて離す。
「あ………ご、ごめんなさい……。」
真はうつむく。
「あの、心音さん……。」
「も、もう寝るね‼︎おやすみ‼︎」
私は部屋に入り、ベッドに飛び込んだ。
枕に顔を埋め、タオルケットを頭から被る。
ヤバいヤバいヤバい……‼︎
どうしようどうしようどうしよう…‼︎
「好きになっちゃってる……私、真が好きになっちゃってる…‼︎」
私はとりあえず、深呼吸。そして、深呼吸しているうちに眠りについた。
「心音……。」
「真………。」
何故か向かい合っていた私たち。そして……真が小さい黒い箱を取り出し、それを開けた。中に入っていたのは…キラキラと輝く、指輪。
「心音……俺には、お前以外あり得ない……結婚しよう。」
「ま、真……そんな。こんなはしたない女より、もっと可愛い娘がいるだろうに……」
「はしたないわけないだろ……?俺の恋人なんだからよ……?」
そのまま抱きつかれる私。
「ま、真ぉ……‼︎」
「大好きだ、心音……」
「わ、私も……‼︎」
顔が近づく……あぁ……後少しで……‼︎
「………はっ‼︎」
私は飛び起きた。ゆ、夢か。しかしまぁ、なんてロマンチックな夢なんだろうか。
「うーん………」
私は、自問した。
「………妄想?」
そろそろ心音ヤバいかな?(笑)
ホントに、ショタコンとロリコンの定義ってなんでしょうか?僕は室戸さんの意見を支持しますけど(笑)