ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
一応、ガストレア・ヒューマン編は完結です。
「あのバカ……っ!!」
社長は拳を固める。
「ど、どうすんですか!?」
「……人命に被害が出ないよう、一般人を避難させる!!里見くん、延珠ちゃん、手を貸してくれ!!今から車で市街地に向かう!!」
「はい!!行くぞ延珠!!」
「あぁ!!」
「社長!私たちは!?」
私は訪ねた。
「実緒と木更を頼む!!安全な所へ!!」
社長達は走り去っていった。
「心音さん。」
ティナは実緒を負ぶった。
「少し離れた所に、小さい小屋がありました。そこに行きましょう。」
「う、うん!」
私は木更さんを負ぶって、脚を進めた。
「真…………!!」
お願い、死なないで。
私は………あなたを失いたくないの。
「ここがベストかな……。」
見上げたのは、廃ビル地帯と市街地の丁度境界線に位置する高層ビル。14階建てだ。
俺はガストレアの方を向く。恐らく……あと10分でここを通過する。
NHライフルの解除チャージ……30分チャージまで、残り8分。
「やってやるよ……!!」
俺は駆け出し、階段を上がった。
市街地はパニックになっていた。突如現れた超大型ガストレア……その姿に市民達は怯え、平常心を失っていた。
「落ち着いて避難しろ!!」
蓮太郎たちは市民を避難地まで誘導する。
ガストレアが市街地に到達するまで、残り5分。
既に大方の避難は完了していた。
「明崎さん!!この辺りは大丈夫です!!」
「分かった……!!」
信也はガストレアの方を向く。距離は遠いもの、その巨体ははっきりと見える。
「真………!!」
「これでよし。」
実緒の手当を済ませ、木更さんが目を覚まし、彼女に今の状況を説明した。
「そんなことが……不甲斐ないです。何も出来ないなんて……」
「大丈夫です、木更さんのせいじゃないですよ。」
私は彼女の肩を叩いた。
「徳崎さん……」
「……優しいんですね。」
ティナちゃんが私に言う。
「…………そう、かな。」
私は小屋の外を覗いた。
「真………。」
私はただ、祈るしか無かった。
真が、無事な事を。
巨大ガストレアは目と鼻の先にいる。
チャージ完了まで残り2分。
「キシャアアアアアアッ!!」
奇声を上げ、ゆっくりと進んでくる。
俺は狙いを定める。
「俺は……これ以上失うつもりは無い………!!」
グリップを握る手に力を込める。
「俺は………生きるために戦う…。」
残り1分を切った。俺は脚を踏ん張る。
「この身が壊れても……護りたいものがある!!」
ガストレアが近づいてきた。間もなくこのビルと接触する。残り30秒。
「…………人間は確かに愚かかもしれない……けど、愚かだからこそ、変わろうと努力するんだ……。烏丸…………お前の理想は……叶わなかったな。」
残り10秒。
「く………このままじゃ市街地に!!」
ガストレアが近づいていた。もうすぐ市街地に侵入される。
「真……!!」
信也は拳を固め、祈った。
「…………」
「心配なのでしょう?真さんの事。」
「え?」
ティナちゃんが歩み寄る。
「行ってください。実緒さんは私と天童社長におまかせください。」
「で、でも!!」
「大丈夫です…あとで、追いかけます…!」
木更さんとティナちゃんの目は、力強さを感じた。
「……はい!!」
私は駆け出した。市街地のガストレアに向かって。
『発射可』
「うおおおおおおおっ!!」
俺は引き金を引いた。
「っ!!?うわああああああああああっ!!」
俺は反動で、ビルの屋上から放り出された。
そして、そのまま飛ばされ、宙を舞い……
「ぐはっ………!!」
地面に叩き付けられた。
「く……っ」
意識が………遠のいて…………………
放たれた弾丸は……ガストレアの身体を貫通した。
ガストレアは叫びを上げる事無く、爆発して肉片へと化し、溶けていった。
「!?ガストレアが……!!」
延珠は目を見開く。蓮太郎が一言呟いた。
「天の梯子の凝縮版……その通りだな。」
「真……やったか。」
信也は微笑んだ。
「!?」
ガストレアがいない。という事は、真が勝ったのか。
「真!!」
私は、人民の避難した市街地を走り回った。
「真!?どこ!?」
NHライフルの反動で、飛ばされているはず。どこまで飛んだのかを予測しつつ、探す。
「心音さん!!」
遠くから、社長達が駆け寄る。
「皆さん!真は!?」
「分からん……とにかく手分けして探すぞ!!」
「何ですって!?分かったわ、そっちに向かうわ。」
木更は蓮太郎からの電話を切った。
「真くんがいないらしいわ。探しにいくわよ!!」
「はい。」
ティナは実緒を負ぶって、木更と共に小屋を出た。
「真!?いるなら返事して!!」
どこなの……真!!
「………!?」
交差点の真ん中。NHライフルが地面に突き刺さっていた。私はそれを引き抜く。
「重っ……」
この辺りにいるはずだ。私はライフルを肩に掛けて走る。
「真……きゃっ!!」
躓いてしまった。立ち上がろうと起き上がる。
「……!!」
いた。ガラスの破片に囲まれ、倒れていた。
私は真に駆け寄った。
「真!!?」
抱える。胸に耳を当てた。鼓動は聞こえる。
気を失っているだけのようだ。
「よかった…………!!」
私は通信で皆を呼び、真を連れて病院へ向かった。
室戸先生の所に真は寝ていた。
搬送されてから3日間。真は目を覚まさなかった。室戸先生曰く、脳にも衝撃の影響が出ているらしい。そもそも生きているだけで奇跡だと。骨折もあったようだがある程度治っているらしく、本当に身体的な異常は無いとの事だ。
私はあれからずっと、真の側にいる。
「……真…。」
ベッドで眠る真の手を握っていた。
温かさは感じる。
「………ん……。」
「!」
真の瞳が開いた。彼は身を起こす。
「真……!!よかった、目が覚めて…」
「………君は?」
…………え?
「君は……誰?」
「な、何言ってるの………?私よ!?心音!!あなたの相棒!!」
「相棒………?」
「やはりか……」
室戸先生が歩み寄る。
「恐らくと思っていたが……予想通りだったな。」
「予想……?」
「ことりあそび君は……記憶を失ってしまったようだ。」
私はその言葉に……肩を落とした。
窓の外は、大雨。
私がその場に崩れ落ちたと同時に……雷鳴が鳴り響いた。
ありがちな展開ですが、やってみたかったwwww
最近いろいろと心がモヤモヤします……はぁ、なんだろうなこの感覚。
とりあえず、頑張ってみますwwwww