ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜 作:神武音ミィタ
そろそろガストレア・ヒューマンの回もクライマックスかな。
「うおっ⁉︎」
地面が揺れる。
蓮太郎と延珠は地下に到着したと同時に、揺れを感じた。
「‼︎ 蓮太郎さん‼︎」
木更を負ぶったティナが、蓮太郎たちに駆け寄る。
「ティナ‼︎木更さん‼︎」
「気を失っているだけですが……とりあえず、地上へ向かいましょう‼︎」
「あ、あぁっ‼︎」
「何が起きているのだ…⁉︎」
「わかりませんが…ここは一旦退いた方が懸命です。」
蓮太郎は木更を負ぶって、地上へと戻った。
「グオオオオオオッ‼︎」
咆哮するタイタン。人型でありながら、血に飢えた野獣の様な叫びを上げる。
「この化け物っ‼︎」
社長は両手の銃を放つ。
しかし、タイタンには意味が無かった。弾丸は手で弾かれる。
「何っ⁉︎」
「せやぁっ‼︎」
実緒が飛び上がり、ランスを肩に突き刺す。だが、タイタンは二本指で実緒を摘み、そのまま壁に投げつけた。
「かは……っ。」
実緒はそのまま気を失った。
「実緒‼︎」
「このっ‼︎」
駆け出した心音は刀をタイタンの足元に振るう。しかし、傷つけられてもタイタンは怯むことをせず、片足を上げた。
「‼︎ 貰った‼︎」
『発射可』
俺は5分チャージのNHライフルを放つ。
「っ‼︎」
タイタンは吹っ飛ばされ、地面に倒れた。
重い音と共に、振動が走る。
「真‼︎」
心音は俺に駆け寄った。社長も、実緒を負ぶってこちらに来た。
「どうするの?」
「……社長、実緒の手当てをしてくれ。」
「⁉︎ お前……まさか‼︎」
その通りだ。あいつは……俺が倒す。
「……使いたくはなかったが…NHライフルを10分チャージを叩き込めば、勝機はある。」
「無茶だ‼︎ お前の身体がどうなるか知らんぞ‼︎」
「無茶でもなんでも、やらなきゃいけないだろ‼︎」
社長は俺の顔を見つめる。
「……お願いだ。このまま何もしなければ…皆死ぬかもしれない。」
「社長、私からもお願いします。」
タイタンが立ち上がる。こちらにゆっくりと足を進める。
「く………っ‼︎死ぬなよ……‼︎」
社長は実緒を負ぶったまま、その場を退いた。
「………心音。」
「時間稼ぎ頼む………でしょ?」
流石俺の相棒……分かってんじゃねぇか。
「ただ、無理はするな。お前を死なせるわけにはいかないからな……。」
「あら、心配?優しいわねっ。」
「うるせーよ。」
タイタンが近づく。俺は後ろに下がり、NHライフルにスタンドをセット。チャージを開始した。
心音も刀と銃を構え、身を低くした。
「はぁっ‼︎」
心音は駆け出し、タイタンに攻撃を仕掛けた。
それに反撃するタイタン。しかし、心音はそれを身軽に躱す。
「これ以上……死なせない‼︎」
「はぁ……はぁ………‼︎」
信也は地上に上がり、実緒を地面に寝かせた。気を失っているだけのようだ。
「明崎さん‼︎」
近くにいた蓮太郎たちも駆け寄る。
「皆、無事か‼︎」
「木更さんが気を失っているだけですが……そんなことより、真と心音さんは⁉︎」
「………あいつらなら、大丈夫だ。」
信也は拳を固め、言った。
「くっ………‼︎」
巨体のくせに何でこんなに素早いの⁉︎
私はかわしながら、タイタンに銃撃と斬撃で牽制する。しかし、私の行動パターンが読めるようになってきたのか、私はさっきからギリギリで躱している。
「はぁっ………はぁっ……‼︎」
息が上がってきた……そろそろ、不味いかも。
ダメだ、真のチャージが終わるまでは…‼︎
「っ⁉︎」
私は躓いてしまった。
タイタンは私に手を伸ばす。
「‼︎ きゃあっ⁉︎」
私はタイタンに握りしめられた。
「くっ……‼︎」
「‼︎ 心音‼︎」
『発射可』
俺はタイタンの頭に狙いを定めた。
「うおおおおおおっ‼︎」
俺は脚に力を入れて踏ん張り、トリガーを引いた。
「っ⁉︎ ぬわあああっ‼︎」
俺は吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
「っ‼︎」
弾丸はタイタンの頭部を貫き、吹っ飛ばした。心音が離れ、そのまま地面に倒れる。
「きゃっ‼︎」
タイタンは壁に叩きつけられた。
辺りに静寂が広がる。
「っつつ………」
俺は立ち上がり、心音に駆け寄る。
「大丈夫、か?」
「うん、大丈夫………。」
俺たちはタイタンの方を見た。
「やったの………?」
「………多分な。」
安堵した……その時だった。
「………‼︎」
首の無くなったタイタンの死体の腹部が………怪しく蠢く。
「なっ⁉︎」
「そんな……まだ生きているの⁉︎」
蠢いていた腹が………食い破られた。
「キシャアアアアアアアアッ‼︎」
そこから出てきたのは……ガストレアだった。そのガストレアはその巨体さ故に天井を突き破った。
「きゃあっ‼︎」
天井が崩壊したことで、揺れが酷くなる。俺は心音の腕を掴んだ。
「上に登るぞ‼︎」
俺たちは地上へ向かった。
「な、なんだ………⁉︎」
突然の大きな揺れ。すると、床にヒビが。
「‼︎ 逃げろ‼︎」
信也の指示に従い、その場にいた全員は廃ビルを出た。
「な、何だよ今度は⁉︎」
廃ビルが崩壊していく。そこから出てきたのは……
「キシャアアアアアアアアッ‼︎」
「⁉︎ 馬鹿な…ガストレア⁉︎」
しかも、かなりの規模だ。かつて、蓮太郎と延珠が倒したステージ5…スコーピオンと同じ程の大きさ。
もはや生物の原型すらとどめていない。
「こいつは……‼︎」
「社長‼︎」
良かった、廃ビルから避難したみたいだ。俺と心音は社長たちに駆け寄る。実緒と木更は気を失ったままだった。
「真‼︎ 心音‼︎ あれは一体⁉︎」
「わからねぇ……ただ、タイタンは恐らくウイルスに汚染されていたんだろう。人にガストレアの力を人工的に宿す……やはり無理だったんだ。」
ガストレアは市街地に目を向けた。そしてゆっくりだが、その液体と固体の混合物のような身体で脚を進める。
「このままでは街が……‼︎」
「……っ‼︎」
俺はNHライフルのチャージを始める。
「⁉︎ おい、まさかそれを⁉︎」
「………10分チャージでタイタンの首を飛ばした…。おまけに、こいつのマックス威力は10分じゃない…。」
「…………‼︎ 真……まさか‼︎」
俺は走り出した。
「ま、真‼︎」
俺はガストレアを横目に走る。恐らく、こいつがここから市街地まで到達するのにかかる時間は……30分。
そして、マックス威力………そう、NHライフルにはリミッターがあった。これは恐らく、紅音の気遣い。もしもの時以外は外すな………そういうことかな。
だが……‼︎
「今は、そのもしもなんだよ‼︎」
俺はリミッターを解除した。残り時間が表示される。残り22分。
やってやるよ……‼︎俺は走る速度を上げた。
次回の話が終わると、しばらくクールダウンの期間に入るかと。
うん、このパターンで行こうかな(笑)