なんとか話の辻褄を合わせるのに苦労してました。
あと、プチ入院してました(コロナではありません)。
酒が入らなきゃ、俺、話書けないんよ……。
【ザンジバーランド】
ザンジバーランドは中東のロシア、中国に隣接する場所に樹立された武装蜂起によって興ったテロリストの国家である……と、西側諸国やロシアによって言われている。
それはある意味半分程度は当たっているが半分以上は悪意に満ちた西側諸国やロシアによるプロパガンダである。
そもそも、このザンジバーランドは旧ソビエト連邦に征服され国を奪い取られた少数民族達がゲリラ化して反ソ連と独立を掲げて戦っていた頃の中心的な拠点のあった地域であり、彼らがソビエト連邦崩壊後に半ばそのどさくさに奪還した国である。
そう、彼ら少数民族は自分達の祖国を取り戻したというだけなのだ。
だが、何故にロシアだけでなく西側諸国が悪意を持つのかと言えば、西側諸国や周辺諸国はソ連崩壊後のどさくさにその領土を削り取ろうと画策していたからである。
いつの時代どんな国も虎視眈々と自国の領土を増やせるチャンスが舞い込めば、必ずそれを狙うものである。
例えば近隣の国家の領海の島を言いがかりのようなこじつけで実行支配している国家や、『我が領土』と言って国際社会に喧伝し歴史捏造を行い、少数民族の国を自国の領土として組み込み押し通そうとする国家などザラにある。
そんな火事場泥棒などどこの国家でもやらかしているし、まして崩壊し弱った国の領土とあれば、狙わぬ国家など平和ボケした日本くらいのものだろう。
だが、結果としてどの国も直接的に動けなかった。その理由は様々あったが、概ねはアメリカに政治的にも軍事的にも睨まれていた事や、また、諸国間で牽制しあって足を引っ張り合ったり、とかそんなもんである。
そんな中で各少数民族達は集結し、他国の思惑なんぞ知ったことかと自分達のかつての土地をとんでもない勢いで奪い返し、そして独立国家を樹立した。
近隣諸国の意地汚い国家元首達の妬みや、いかばかりか。
その妬み故に西側諸国はザンジバーランドに言いがかりをつけて世界の敵として『傭兵達が武装蜂起して土地を乗っ取った』などと貶める為に喧伝した。また、『周辺国への脅威』などと言い掛かりをつけて樹立間もないザンジバーランドに幾度も攻め入ったが、しかしザンジバーランドの防衛は強固であり、その全てを撃退され多大なる損失を被った。
そんな中、ザンジバーランド暫定政府は着実に世界に対して、そして国連に対して自分達少数民族がザンジバーランドを治めるに足る正統性を訴え、また『民主主義国』であると社会・共産主義国の多いこの地域に民主主義国が出来た事のメリットを特にアメリカに吹き込み、世論を味方につけた。
また、国連に加盟しているが武力や政治力に乏しい近隣の小国に様々な支援を行うことで同盟を結び、味方に引き入れてどんどん国際的な地位を確立すると同時に政治的防衛を行って行き、ついにはたったひと月前に国連加盟国入りを果たす事に成功したのである。
無論、少数民族達が結束しただけでは、それらの偉業は無理であった。
そう、民族独立と国家樹立の影には……というにはものすごく目立ち過ぎていたが……あの民間傭兵会社『MSF』と『ビッグボス』がいたのである。
故に傭兵達が『武装蜂起』して国を創った、と言われていたわけであるが別にビッグボスとMSFがこの国を作ったわけではない。
単にいつものようにいつものごとく、ゲリラ達をフルトン回収して仲間にして、敵性勢力と戦っていたら、気がついたら仲間の大半がこの地域の少数民族の皆さんで、さらに戦って戦って、その果てに気がついたら一つの国が出来るくらいに拠点群が拡大され、少数民族達が『俺達の国』を『ビッグボス』が取り返してくれたぞ!!』と、勝手に盛り上がり、そこをザンジバーランド民主主義連合国なんぞという名前を付けて独立宣言を世界に向けて行ったからである。
で、現在に至る。
「……どうしてこうなった?」
と、顰めっ面でこの場にいる『MSF』と『旧愛国者達』のメンバー達を睨んでいるのはこのザンジバーランド民主主義連合国の初代大統領につい数日前に祭り上げられた『ジョン・ジャック・シアーズ』である。
そんな名前で紹介されても誰だそれ?となるだろうから付け加えておくと『ビッグボス』である。
いや、ビッグボスの完全なるクローンであるジョージ・シアーズ(ソリダス・スネーク)ではない。本物のビッグボスその人である。
へー、そんな名前だったんだ、と思われるかも知れないが、『ジョン』という名前以外は偽名みたいなものである、その辺はまぁ、お察し下さいと言っておこう。
「……ボス、カズを止めなかったあんたが悪い」
スーツ姿のオセロットが、やはりスーツ姿にされたビッグボスの襟の所に赤いバラの造花をピンで止めた。なお、ビッグボスにスーツを着せたのはパス・オルテガ・アンドラーデである。
「似合ってるぜ、スネーク!」
と拍手しているのはかつてスネークイーター作戦でシギントと呼ばれていた技術要員『ドナルド・アンダーソン』であり、サイファーのメンバーだった男である。
また、その隣でやはり拍手している白衣の女性はやはりスネークイーター作戦において医療スタッフとして参加していたパラメディック、『クラーク博士』である。彼女もサイファーのメンバーだったわけだが、何故、敵対していたサイファーのメンバーがザンジバーランドにいるのか、と言えば。
サイファーの創始者ゼロ少佐こと『デイヴィッド・オウ』が暗殺され、サイファーが壊滅してしまったからである。
そう、1975年、ピースウォーカー事件と呼ばれた自動核報復歩行兵器『ピースウォーカー』に端を発する事件の後、デイヴィッド・オウは『サイファー』の実働部隊『XOF』の指揮官『スカルフェイス』の裏切りにより何らかのウィルス兵器に感染させられ、それにより数日後に死亡した……と、記録には残されている。
実際にはゾンビ化し、その状態を生存していると言うならば、デイヴィッド・オウは約二週間は生きていた事になるが、それもクラーク博士のウィルスの分析が終わるまでの間であり、最後は焼却処分されたという。
その後に、今までサイファーが掌握していたアメリカの裏の有力者達『ファミリー』がサイファーに対して反乱とも言える行動を開始、大統領の暗殺や政党の敗退などが起こり、サイファーのメンバー達はその後、カリブのマザーベースにて合流し、デヴィッド・オウが生前に用意していた『遺産』の数々……デイヴィッド・オウ達の手で運用されさらに金額が膨れ上がった『賢者達の遺産』や情報網など……と、新たな敵である『アンブレラ』に関する情報、そしてXOFのスカルフェイスの動きなどをビッグボスに渡したのである。
なお、EVAはカズと共に現在、国連人権委に出席し、その足で人権大国フランスの大統領との会談を行う予定であり、ザンジバーランドには現在いない。
「カズの仕業かぁぁぁっ!!」
「きゃっ!」
怒るビッグボス、そして、きゃっ!と可愛く悲鳴を上げたのはパスである。というかピースウォーカー事件から約10年経っているのにパスはまだ少女のような外見である。……まぁ、胸とかはやや、いや、げふんげふん。
何故、ビッグボスはそんなに怒るのかと言えば簡単である。
ビッグボスは大統領になどなる気は無かったのである。また、仲間達との当初の段取りでは『国民投票による民主的な選挙』を行うことでザンジバーランドが民主主義国であると諸外国にアピールする、となっており、自分達はそれに関与しないとなっていたのだ。
また、ビッグボスがスーツを着ているのは、当選した初代大統領に対して祝辞を述べ激励する為である。この国においてはビッグボスは英雄であり、その英雄に祝われれば初代大統領も喜ぶだろうというオセロットの案による。
だが、蓋を開ければビッグボスが当選していた。
そう、カズことカズヒラ・ミラーがこっそりビッグボスを推薦し、大統領候補にしていたのだ。
結果、ザンジバーランドの国民の皆さんは喜んでこぞってビッグボスに票を投じたわけである。
「俺が苦労して各族長達を口説き落として候補になってくれと頼んだのが水の泡だ!!」
そう、立候補するのを渋っていた各民族の族長やゲリラのリーダー達をビッグボスは大統領候補として出馬するように頼んでいたのだ。
大統領ならば選挙などせずにあなたがなってくれ、という各族長やゲリラのリーダー達に、自分はこの国では余所者だから立候補するつもりは無い、と言ってたのがこのザマである。
なお、投票率がほぼ100%、投票用紙に書かれた名前の大半、約90%が『ビッグボス』であった。ビッグボスが口説き落として立候補させた各族長やゲリラのリーダー達さえも自分に票を入れずに投票用紙に『ビッグボス』と書いて出した。
「あんたのカリスマは留まることを知らないな。さすがビッグボス」
オセロットが爽やかに笑い、ギロリとビッグボスは睨んだが、そんなものでこのオセロットが怯むわけはない。肩をすくめて、
「なんの忖度も裏工作も無い、国民の意思による投票結果だ。みんなあんたの功績を称えて投票したんだ。今更辞退などして他の候補を大統領にしてみろ、それこそ暴動が起きるぞ」
「ぐっ……、カズぅぅぅ!!」
帰ってきたらカズはビッグボスにシバかれる事になるだろうことは間違いないが、しかしシバかれた所でもう、ビッグボスはカズの計略通りに大統領になってしまったのである。
「はぁ、悪知恵を捏ねさせれば奴の右に立つ奴はいない。ゼロもその辺はかなり評価していたからな。だが、ボス、あんたが大統領になるってのは俺は悪くないと思うんだがな」
オセロットはさらりとそんな事を言う。別にビッグボスがザンジバーランドの大統領になることに関して特に反対していない、むしろ歓迎しているような節がある。
「なに?」
睨むビッグボスを、まぁ聞け、と静止した。
「……世界を一つにする。それが『ザ・ボス』の願いであり、理想だった。俺達はそれを掲げ『愛国者達(パトリオット)』として『サイファー』の活動を始めた。だが、ゼロはやり方を間違えた。まるでキリストが磔刑で死んだ後にその偶像を建ててキリストの教えを破った信徒達のように、本質をすり替えはじめた」
「……代理AI、か」
「ああ。それもその一つだ。奴は自己の死後も目的の為に世界を統括するコンピューターAIを造ろうとしていた。まぁ……シギントがプロジェクトに取りかかる前にゼロ暗殺によってその雛型のみ出来上がっただけに止まったが。そこにあんたがコスタリカで遭遇した核搭載型二足歩行戦車ピースウォーカーのAI……ザ・ボスの生前の人格を再現したものを組み込む計画を進めていた奴はザ・ボスの人格と自分達の人格をAIネットワークで結び、それに世界を統括させようと考えていたらしい。……もっとも、それは実現しなかったが」
「……AIに魂は無い。プログラムにより思考のトレースを行うが、それは無数のイエスとノーを繰り返して判断するだけのプログラムに過ぎない。人工知能は……人じゃない。人の思考をなぞらえてもその人間の亡霊にすらなれない。古い思考をなぞらえて進歩もなにも出来ない哀れな0と1を繰り返すだけのものでしか無い」
シギントは首を振った。
「……何度も、ゼロに俺はそう言ったんだがな」
その言葉を継ぐようにパラメディック、いやクラーク博士が目を伏せつつ言った。
「もう一つは、ビッグボス、あなたの遺伝子よ。……あの子達を産み出した事。『恐るべき子供達計画』。ゼロやあなたがいなくなってからの未来を担うための偶像として産み出された。ええ、プロジェクトのリーダーは私だった。これは私の罪よ。世界で初の人間のクローンを作るという、その事しか私は考えていなかった。……あなたへのエヴァの想いさえ利用して」
「……それに関しては、もういい。彼らは俺じゃない。別の人格と意思を持った大人だ。けして、俺の写し身でも偶像(イコン)でもない。もうゼロの思惑で人生を振り回される事も無い。……戦う術は教えた。生き方も。あとは彼らが己の意思で己の心の在り方を得ていくだけだ」
ビッグボスは首を振った。彼の遺伝子を使って産み出された子供達はもう大人になり、一人はアメリカの特殊部隊『FOX HOUND』に入隊し、任務で最近このザンジバーランドに潜入してきたが、産みの母でありアウターヘヴンでずっと彼とその兄弟を育ててきたエヴァが出迎えて母親ムーヴで対応し、その間にビッグボスがFOX HOUNDの司令である旧友『ロイ・キャンベル大佐』に抗議して平和裏に解決した。
というか、隠していたメタルギア(マッドナー博士版)を見られなくて良かった。
なおザンジバーランド土産に玩具のラジコン式二足歩行型ロボットのメタルギアミニ(メタルギアの精巧なミニチュアロボット。話しかけると某キテレツなコ○助的な声で応えてくれる)を渡して、
今度アメリカにも発売する予定だ、と誤魔化した模様である。
後日談として、ビッグボスとエヴァはあとでマッドナー博士に怒られた。
というのもメタルギアミニはマッドナー博士の娘であるカレン・マッドナーの誕生日用に作ったペットロボットだったらしい(なお、作り直したメタルギアミニはカレンには不評だったらしい。曰わく『核搭載型二足歩行戦車のミニチュアロボットなんて貰ってもね……』)。
いや、マッドナー博士のメタルギアはコロコロしてて可愛いやろ。
もう一人は現在、このザンジバーランドの諜報部隊におり、アンブレラと敵対している『H.C.F.』に潜入中である。こっちは最近、アンブレラが関与していると思われるB.O.W.化した男の血液サンプルを送って来た。
〔カズみたいなキザなグラサン野郎で、なんかムカつく。あんまり舐めた口を叩くから痛めつけてやった。動きは早いが『スカルズ』ほどじゃない。血液サンプルも取れたからそっちに送る〕
……ボコられたのはおそらく皆さんご存知の『アルバート・ウェスカー』であろう。
やはり人型に対してCQCは有効である。
とまぁ、彼の息子……と言っていいのかどうなのかはさておき……二人は元気にやっている。
オセロットは言葉を続けた。
「あんたはそうやって未来を否定しない。あるがままに動いて、それだけで人を導いていく。あんたはザ・ボスが託したものを、その『忠』をその背中で見せているんだ。そしてあんたの背中を見た者達が後に続こうとする。もうこの流れは止められない。これは時代が望んだレヴォリューションだ」
オセロットはどうだ、とドヤ顔で言った。なんというかそれは……。
「オセロット、お前、最近カズに毒されてないか?」
そう、如何にもカズが言いそうな事だった。
くすくすくす、とパスが笑う。
「……心外だ」
まぁ、なんにしてもメタルギアの面々はバイオでハザードな世界線と交わって、こんな感じである。
敵がゼロからアンブレラに変わったが、彼らはこのザンジバーランドを拠点に戦い続ける。
「あ、そういえばカリブのマザーベース、なんかヤザン大統領が日本人に売ったってカズが言ってたわよ?」
パスが思い出したように爆弾発言を投下した。
「なんだとぉぉぉっ?!」
まぁ、なんだ。
いろいろ交わるとき、物語は大きく動くのだ。そんなもんそんなもん。←をい。
ビッグボス参戦……は直接はしませんが、なんか大統領になってしまいました。しかも賢者の遺産まで手に入れてるし。
ウェスカー、リキッドにボコられ血液(始祖ウィルス)サンプルを取られる。
マッドナー博士、娘と共にザンジバーランドに協力中。
なお、エヴァはだだ甘ママさんになっており子離れが出来ない、という設定。
パスはこの世界線では爆弾を仕掛けられる前に助けられてます。