問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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遅れてすいません。徒釘梨です。

最初に言っておきます。
フラグになりましたーーこの1話じゃあ終わりませんでした!!

ゆっくりしていって下さい。


第九話 虚刀流、終幕へ

七花が”ペルセウス”の騎士を煽り、奮い立たせた時、黒ウサギとジンは相手の士気の高さに驚き、敗北も覚悟した。

十六夜は口元に笑みを作り、この後の戦いを楽しみにし、同時に現状を打開するために頭を働かせた。

耀は索敵のために高めていた聴覚が機能しづらくなったことに顔を顰め、更に集中しようと、他の五感も高め始めた。

飛鳥は同じ囮役として、自分以上に敵を引き付けている七花に僅からなず嫉妬した。

 

(七花さんは同じ囮役で私以上に仕事をしている………おそらくあの外道のギフトを打ち倒せるのにも関わらず。どうして囮を引き受けたのかはわからないけれど、負けていられないわね!!)

 

そう意気込んで半刻も経たないうちに、七花が声をかけてきたが、信じられなかった。七花は自分が目の前で相手していた以上の人数と闘っていた筈なのに、まるで外傷が無かった。

その事に気付いたのか、相手のペルセウスの騎士達でさえ呆然とした。飛鳥は闘いに集中していて気にもしなかったが先程までの騎士達の雄叫びも、今では静まり返っていた。

飛鳥達はそのまま、半ば思考停止の状態で褐色の光を浴びて石化した。

 

 

 

七花は表情には出ていなかったが、大いに焦っていた。いきなり光が発したので、顔を腕で隠した。すると囲んでいた騎士達が石のように動かなくなっていたのだ。

そこまで考えて七花は、はたと気がついた。

 

”これ敵の石化のギフトじゃないか”、と。

 

「そういや、白夜叉と酒飲んでた時そんなこと言ってような気が「GYAAAAAAAAAAAAAAAーーー!!!!」…………当たりみたいだな」

 

 

声は上から聞こえてきたので、最上階をへ駆ける七花。七花は十六夜の正確な実力を知っている訳ではないが、今回の相手くらいなら勝てるだろうと推測していた。やたら絡んでくるのは鬱陶しく思っていたが。

その為、十六夜が元魔王、アルゴールを石床に叩きつけていることに別段動揺しなかった。

 

「ハハッ、今のは本当に悲鳴みたいだったぞ!!」

「おお、やってるやってる。黒ウサギ達は大丈夫だったか?」

「し、七花さん!?どうしてここに!!?」

「黒ウサギ、それはちょっと傷つくぞ……」

「七花じゃねぇか、ヤハハ。お前なんで石化してないんだ?」

「そ、そうだぞ!!お前一体なんのギフトを使ってアルゴールの石化から逃れた!?」

 

七花は黒ウサギの幽霊でも見るような目に傷つき、十六夜の問いにだるそうな顔をした。

十六夜の十六夜の質問には流石のルイオスも興味を持ったのか、焦ったように便乗してきた。

しかし、当の七花は

 

「なあ黒ウサギ、あれがルイオスって奴なのか?」

「え、ええそうですが…………ってどうしてそんなに深い溜息をつくんですか!?」

「はぁ、いや白夜叉には悪いけど無理っぽそうだなあ〜って思っただけだよ。はぁぁぁ」

「ボクの顔を見て溜息をつくなああァァァ!!………もういい、アルゴール!!!宮殿の悪魔化を許可する!」

「RaAAaaa!!LaAAAA!!」

「そういや、ゴーゴンにはそんな伝承もあったな………」

 

七花の度重なる溜息についに堪忍袋の緒が切れたのかルイオスが切り札を出し始めた。ルイオスは再び余裕顔戻ったが、十六夜は冷静に分析をしていた。七花はもはやルイオスに対して考えることをしていなかった。

騎士達に活気を与えることでルイオスにまともなリーダとなるように下からコミュニティの質を上げていく、などと普段使わない頭を酷使していた。しかし、それも実物を見てしまい、あまりというか全く周りを顧みない人物であることがわかったので、白夜叉には悪いが、このことを七花は放棄した。

今七花の頭の中は、『面倒だ』と『このギフトゲームのオチどうしよう』だった。

一つ目はともかく二つ目は同じ”ノーネーム”の仲間の石化を解くにしてももう一度ルイオスと交渉をしないといけないだろうが、可能とも思えない。

なんだかんだ言っても結局は考えている七花を他所に、

 

「もう生きて帰さないッ!この宮殿はアルゴールの力で生まれた新たな怪物だ。!貴様には足場一つも許されていない!貴様らの相手は魔王と宮殿の怪物そのもの!このギフトゲームの舞台に貴様らの逃げ場は無いものと知れッ!!」

 

 

「そうかい。それじゃあ宮殿ごとぶっ壊しゃいいんだな」

 

ルイオスが叫ぶという形で状況を進ませ、十六夜が台無しの一言を呟いた。そうして振り下ろされた拳を、

 

「待った」

 

七花は足払いでコケさせて空を切らせた。

十六夜は青筋を立てて七花に詰め寄ってくる。

 

「おい七花。俺にはお前が邪魔をしたようにしか見えなかったんだがァ?」

「?それ以外になんかあったか?」

「……殺すッ」

「オイオイ、さっきの一撃で石化された連中が壊れちまって、治せないなんてなったら寝覚め悪いだろう?」

「………………じゃあどうするんだよ?」

「まあ、俺は囮役やってたからルイオスとは闘えないけど、アルゴールならいいんだろ?だから、そこを叩く」

 

思ったより七花が考えていて、ある程度正論だった為、十六夜は沈黙してしまった。とは言うものの、思慮の足りない七花に論破されたことに十六夜は不満顔だった。その事に気付いた七花は、

 

「あ、もしかして十六夜って、精神年齢幼いのか?」

「……!!!」

「それじゃ俺がアルゴール倒すってことで」

「あ、待てコラ!抜けがけしてんじゃねーぞ!!」

「十六夜、お前がルイオス倒して来いよ〜。その方が効率良いだろ」

「うるせえ、あんなカスよりそっちの元魔王の方が面白そうだ!!」

「今回は俺に譲れって、少しは被害考えろよ」

 

痛い所を突かれて、渋々だったが十六夜は七花に譲った。目はさっきまでおちょくられたことを値に持っていたが。

 

「んじゃまあ、さくっといきます、かッ!」

 

虚刀流七の構え、杜若。

現代のクラウチングスタートのような構えからの前後自在の足捌きだが、しかし今や七花は自然体の構えからでも使うことが出来た。

故に、その場にいる者達全員が例外無く虚を突かれた。

 

「Ra!!?」

 

気が付いた時には、もう既に七花の間合いであり、アルゴールは何をすることも出来なかった。

七花は間合いを詰めたその加速を殺すこと無く、次の一撃を放った。

 

「鏡花水月!!!」

 

鳩尾に叩き込まれた掌底はアルゴールを沈めるには充分足りたようで、そのまま膝から崩れ落ちた。すると術者が気絶したからか、悪魔化は解除されていた。

 

「さて、後は任せたぜ十六夜」

「ああ。とは言っても、殆どいいとこ取りされちまってるがな」

「嘘だ、アルゴールが……あんなにあっさり………。こんなの嘘だぁァァァァ!!」

 

現実逃避を図るルイオスを特に表情を変えずに十六夜は見て、言った。

 

「ああそうだ。このままゲームで負けたら………お前達の旗印。どうなるか分かっているんだろうな?」

「な、何?お前達の狙いはあれを取り返すことだろう!?」

 

想定外のことに上擦った声を出すルイオスだったが、十六夜は笑って言った。

 

「そんなのは後でも出来るだろ?そんなことより、旗印を懸けて次のゲームと行こうぜ。───次はお前達の名を戴こうか。そうやって”ペルセウス”が永遠に活動できないように名も、旗印も、徹底的に貶めてやる。コミュニティが存続出来ないぐらい徹底的にだ。」

 

ルイオスは自分達のコミュニティの崩壊の足音がすぐそばにまできていることにようやく気付き震え出した。

頼りの元魔王も一瞬で倒されたことも加わって、ルイオスは精神的に壊れた。

 

「あ、ああああああああァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

七花は白夜叉に”ルイオスの性根をたたきなお

せ”と言われていたが、これは荒療治と自己暗示して沈黙していた。

十六夜はがっかりそうに溜息をつき、しかし獰猛に笑うことはやめていなかった。

 

「望み薄だが一応言っとくぜ。俺を楽しませろ!!」

 

十六夜とルイオスは拳を繰り出した。




まにわにをどこに入れるかいい案が浮かびません。

1巻は後一話のつもりです。
もう自分なんて信じられない!!

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