問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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どうも、徒釘梨です。

最近は感想の部分を見ながら書いていたりします。
皆さんありがとうございます。これから頑張ります。

今回は、いくつか虚刀流の技を出していますが、アニメの微刀 簪をもとにしてます。

評価や批評待ってます。
それではゆっくりしていってください。


第八話 虚刀流、囮役をこなす

十六夜が格好つけた時に一緒にいなかった七花だが、大した理由があるかというと否である。

理由は簡単。「囮だったら二箇所同時の方がいいんじゃねえか」という発想からだった。

 

そんな訳で、今彼は白亜の宮殿の入口とは真逆に来ていた。壁の側を走ってきたので今だ誰にも見られていないが、囮役を買ってでたのだ。すぐに見つかると考えて派手に行こうと方針を決めた。

それは奇しくも、尾張城に侵入する時と同じように、

 

「虚刀流四の奥義”柳緑花紅”!!!」

 

尾張城では門だったが、今回は只の壁だった。それ故に単純な強度の心配もあったが、不思議と失敗する気がしなかった。

結果、壁は大きな穴を作り、七花は悠々と侵入した。

しかし、ペルセウスの守りもざるではない。しっかり配置に付かれていたが流石に度肝を抜かれたのか唖然としていた。そんな中七花は不敵に笑って告げた。

 

「さーて、斬られたい奴からかかって来い。ただしその頃にはあんたらは八つ裂きになっているだろうけどな」

 

 

 

ペルセウスの騎士は目の前の光景に目を奪われていた。

 

挑戦してきたのはノーネームであり、緊張して臨むような相手ではないと彼は考えていた。

しかし蓋を開けてみれば、上へ登る階段は小娘一人に抑え込まれていた。

 

それだけだったらまだ良かった。

本当に厄介だったのは入口とは真逆から来た一人の男だった。

そいつは始めに挑発してきた。刀が無いのにどうやって斬るのかと馬鹿にし、舐められたものだと思った時には部隊の一人が宙に舞った。

そこからはあっと言う間の出来事だった。

完全に不意を突いたと思った一撃も、囲い込もうとする戦術も、カウンターを喰らい、囲い切る前に抜けられた。

歴戦の誇りあるペルセウスの騎士たちが歯牙にもかけられず、倒されていった。彼の戦意は死にかけていた。

俯く彼に、男は言った。

 

「あんたら何やってんだ?」

 

 

七花は不思議だった。

壁を壊し、侵入した時は虚を突かれたようだったが、その後の対応は中々のものであった。それ以前に彼らにはコミュニティを守るという意思が顕れていた。

それだけの実力があるのにルイオスにリーダーをさせて、好き勝手やらせているかがずっと疑問だった。だから、お前ら何やってんだと尋ねた。

 

「お前ら、誇りも決意も、覚悟すら無いようなお坊ちゃんに任せてていいのかよ。本気で居場所を守りたいんなら、アホリーダぶっ倒してでも止めろよ。そんなこともできないんだか

ら、俺達に、”ノーネーム”なんかに負けちまうんだよ」

 

七花が言い終わった頃には、ペルセウスの騎士たちに諦めは無く、闘志は今まで以上に燃え上がっていた。

 

「”ノーネーム”の奴にここまで言われてんだぞ、根性見せろやァァァ!!!」

「相手は一人だが、魔王と戦うつもりで挑め!!」

「”名無し”風情がペルセウスを舐めたことを骨の髄まで後悔させてやるぞ、テメェら!!!!」

 

体裁をととのえる言葉遣いをかなぐり捨て、雄叫びを上げ迫ってくる騎士の一団を見て、これなら白夜叉の依頼も果たせそうだと七花は思った。

指揮官が堕落していくのは、外部もだが、内部にも対抗して来る者がいなくなるからだ。だから七花は内部にルイオスに否を言える人物を作る事で、ルイオスの増長を抑えようと考えた。

囮役になってから、悩んだ末の策等ではない。断じてだ。これは奇策なのだ、そうなのだ。

 

「白夜叉への義理立てはこんなもんだろ。こっからは暴れさせてもらうぜ」

 

七花は薄く笑って一団へ駆け出していった。

 

 

「虚刀流、野苺!」

 

中庭に七花の声が響く。七花は飛び蹴りで手前の者を気絶させた。彼に負けるものかと、騎士たちは陣を組んで囲みにかかる。七花は綻びを立て直される前に、

 

「虚刀流、桜桃!!」

 

本来は掌底を連続して繰り出す技を、一発に一人の割合で繰り出した。前方の敵を迎撃しきった七花は後ろを振り向きながら、

 

「虚刀流、牡丹!!!」

 

後方回し蹴りで二人を捌くと、最後の一人に、

 

「からの、木蓮!!!」

 

空中での二段蹴りを繰り出し沈めた。七花は、倒れていった騎士達が若干笑っていたように見えたが気の所為だと思った。

一連の動作で残りの敵を倒しきった七花は僅かな達成感と、ほんの少しの疑問が湧いていた。

 

(さっきまでやたら調子良かったような………まあいいか。面倒だし。それにしても、あんだけの人数を相手にするのは尾張城の時以来だな)

 

感慨に耽っていた七花だが、未だに足音や声が途絶えないので、加勢に行こうと歩を進めた。

 

 

 

〔とある騎士視点〕

 

ペルセウスの騎士として、何より武芸の道の者として彼は、ノーネームの着流しの男、鑢七花に敬意を払っていた。

正確に現状を把握する能力。

迎撃の際の無駄の無い攻撃。

そして何より、彼の研鑽された体術。

これらは全て天性の才能では無く、長い時間を懸けた末の技術であることをこのペルセウスの騎士は理解できていた。

 

(これ程の武人に倒される私はなんと幸せだろうか………)

 

このギフトゲームが終わったあとはもう一度一から鍛えなおそう、そんなことを考えながら、彼は意識を手放した。

 

これと同じ考えを持ったペルセウスの騎士達がノーネームの門を叩くことになるのは、また別の話。

 

 

 

 

音のするのは上へ登る階段の前の広場だった。そこには、飛鳥と水樹が陣取り、騎士達を押し返していた。

この分だと加勢は不要だったと方針を変え、とりあえず最上階を目指そうと考えて、七花は走り出した。その前に飛鳥にちゃんと言っておいた方がいいだろうと思い、

 

「飛鳥〜。外の連中は大体倒したから、俺は先に上に行ってるぞ。」

 

そう言いながら、水樹の側を通りすぎて、階段を駆け上がっていった。七花を見て、飛鳥はぎょっとしたようだったが、七花は気にせず先を急ぐ。

 

 

七花は、階段を登った先で増援に向かおうとしていたであろう小隊と運悪く遭遇した。そこで七花は身体に力が湧いてくるような気がしたが深く考えようとはしなかった。

七花はすぐに臨戦体制に入り、戦闘を開始する───その時、世界が褐色の光に包まれた。




すいません、今回は少ないです。
通信の調子が悪くなったり、データが消えかけたり、家族にスマホごと壊されそうになったりで、色々ありました。(私、スマートフォンで投稿しています。)

次回で1巻を終わらせるつもりです。
フラグにならないといいなあ〜

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