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それでは、ゆっくりして行ってください。
「そっかぁ。俺あの後二日も寝てたのか。それで、昔の仲間のレティシアだっけ?を取り戻すために”ペルセウス”に喧嘩売ったと」
七花は白夜叉から寝ている間の出来事をざっと聞いていた。曰く、書類を溜め込んで付けないだとか、ギフトゲームをドタキャンするとか、黒ウサギに鼻の下を伸ばししまくりだとか。
それにしても
「なんだか話聞いているだけだと、小物な感じがするな、そのリーダー」
「うむ。何と言っても、伝統あるコミュニティの跡取りとなるが昔から決まっておった為、増長してしもうたのだろうな……」
「仕方無いじゃないか?何時までも栄光のままであるなんてこと土台無理だしな」
「耳が痛いのう。じゃが、その通りじゃな。そこで一つおんしに頼まれて欲しい」
「聞くだけ聞いてやるよ」
白夜叉の昔を懐かしみ、今を憐れんでいた顔に、真剣さが増した。七花もただ説明だけで終わるとは思っていなかったので居住まいを正した。
「”ペルセウス”のリーダー、ルイオスは元はコミュニティを預けるにたる人物だったのじゃがのう 。跡取り決まってからは」
「権力に眩み、堕落したと。んで頼みってのは?」
「ルイオスの性根を叩き直して欲しいのじゃ。”ノーネーム”には”ペルセウス”に決闘を申し込む策を授けた。じゃからおんしにはそこで目一杯暴れて欲しいのじゃ」
「委細承知。依頼どうりの働き見せてやるさ」
七花の返事に白夜叉は笑みを深くした。
そうして白夜叉は酒を取り出し、下戸な七花と共に朝は明けていく。
日も十分に登り出した頃、黒ウサギは”サウザンドアイズ”支店を訪れていた。そこで目にしたのは、
「だから言ったじゃねーか。もう飲みすぎだってよ」
「う、うりゅひゃいぞしちきゃぁ〜。わらしは酔うてなんか、おらんからなぁ!!」
わっはっはっはと明らかに酔い潰れている白夜叉とそれを抱える七花だった。
その後、店の前で黒ウサギに抱きついた白夜叉が嘔吐したとかしなかったとか。
七花は迎えに来た黒ウサギと連れ添って”ノーネーム”本拠へと向かっていた。
「うう、酷い目にあったのですよ〜。白夜叉様に合う度、露出の多い服を着せられたり、水路に落とされたり、挙句ゲロを…………」
「まあ散々な目にはあっているな。それにお仲間のこともあるしな」
「白夜叉様から聞いたんですね……。いざとなったら黒ウサギが」
「”何物も誰かの為に何かをすることは出来ない”てのが一年の旅で学んだことでな。生憎お前の主張は聞く気がない。まあ白夜叉が十六夜に策を授けたって言ったし、大丈夫だろ」
黒ウサギは言おうとした事を遮られ、自身の献身を踏みにじられたと思い、反論しかけたが押し黙った。七花も考えあってのことを理解できたからだ。
数日語、十六夜が帰ってきた。なにやら”ペルセウス”に決闘を申し込む為の宝玉を取ってきたそうだ。
「な、こ、これは!?」
「でも十六夜君。今度からはちゃんと誘ってよね。」
「ああ勿論だ。七花の奴も元気そうだし、これで抜かり無く”ペルセウス”に挑めるな」
「白夜叉に十分休ませてもらったしな。何でも馬鹿高い医療用ギフト使ったらしいから、傷一つ無いぜ」
「あら、それではある程度の働きは期待してもいいのかしら?」
「まあ、城一つ落とせってのはなしで頼むわ。あれは流石にキツイ……」
「………まるでやった事があるみたい」
「あああるぞ。流石に城の中の奴全員と闘った訳じゃないけど……ってどうした?」
全員絶句だった。耀も冗談のつもりだったのに事実だとは思わなかったのだ。
十六夜はこの時、高速で思考を続けていた。七花の話では、おおよそ戦国時代のはずだった。しかし、十六夜のいた世界の歴史にそのような記述はなかった。この時点で、十六夜は七花が全く異なる時間軸から来たことを確信した。だが、十六夜はそれを頭の隅に留め、高揚した。
(ハッ、戦国時代ってことは録に銃火器も無い世界で、一人で城一つ落としただと?面白すぎんだろ!!やっぱコイツとはどっかで勝負しときてぇな……)
「そうギラギラすんなよ、面倒だな〜」
七花は十六夜にこう言って、闘争心を抑えさせた。
一方十六夜は驚いていた。自分の闘争心はとても同じコミュニティの仲間に向けるべきものではなく、完全に自制出来ていた。事実、黒ウサギ達も驚いた顔を十六夜に向けていた。
しかし七花は違った。本来の研ぎ澄まされた感覚が、白夜叉との戦闘で更に深く鋭くなっていた。
その為に気付くことができたのだが、今回は逆効果だった。
「何でバレたんだか、完全に隠せてたと思ったんだがな。まあいい。分かったんなら俺と勝負しようぜ」
「あ、火付けちゃったか」
「十六夜さん!?駄目ですよ、同じコミュニティで殺し合いなんかしては!!?」
「黒ウサギの言う通りよ!十六夜君、今すぐやめなさい!!」
「…………こんなこと意味が無い」
「黙ってろ。これは俺とコイツの問題だ。外野は引っ込んでろ」
「貴方ね!!!」
「もうやめてください!十六夜さん!!」
「十六夜、言い過ぎ」
パン!!!
柏手が一つ鳴った。全員一瞬止まった。
やったのは言うまでもなく七花だ。その表情は変わらず気だるさを漂わせていて、それが十六夜の心を逆撫でした。
「おい、十六夜。決闘の話は考えてもいい。だがな、そんな子供の前じゃなくてもいいだろ。」
そう言って、窓の方を指さした。
そこには泣きそうな、と言うより泣き始めている狐耳の少女がいた。
それを見て全員気まずい雰囲気となる。十六夜はガジガジと頭を掻いて
「悪かったよ。思わず熱くなっちまった」
と素直に謝罪した。それに伴って皆謝りあった。
「それじゃ一件落着って事で」
「待てよ。レティシア取り返したら決闘だからな、覚えとけよ」
そう言って早々に立ち去った。プライドの高い十六夜にとってここに留まっているのは苦痛だったのだろう、と七花は予想したが、溜息をついて
「今の一言で台無しだよ、十六夜」
七花の呟きは誰にも聞かれることは無かった。
『ギフトゲーム名 -FAIRYTAIL in PERSEUS-
・プレイヤー 一覧
・逆廻 十六夜
・久遠 飛鳥
・春日部 耀
・鑢七花
・〝ノーネーム〟ゲームマスター
・ジン=ラッセル
・〝ペルセウス〟ゲームマスター
・ルイオス=ペルセウス
・クリア条件
・ホスト側のゲームマスターを打倒
・敗北条件
・プレイヤー側ゲームマスターによる降伏
・プレイヤー側のゲームマスターの失格
・プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合
・舞台詳細 ルール
*ホスト側ゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない
*ホスト側の参加者は最奥に入ってはならない
*プレイヤー達はホスト側の(ゲームマス ターを除く)人間に姿を見られてはいけない
*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行できる
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝ノーネーム〟はギフトゲームに参加します。
〝ペルセウス〟印』
「それじゃ役割分担をするぞ。今回のギフトゲームじゃ大きく分けて三つの役割が必要だ。まず御チビと一緒にゲームマスターを倒す役割。次に索敵、見えない敵を撃退する役割。最後に失格覚悟で囮と露払いをする役割」
「それじゃ俺露払いでいいぞ」
真っ先に七花は露払いを引き受けた。そのことに周りは呆気にとられ、七花は憮然とした表情をした。七花は白夜叉からの依頼に沿える役割であり、連携を必要としない役割であると考えてのことだったのだが、周りの反応に馬鹿にされているように感じたのだった。
「なんだよ、そんなに意外か?」
「あ、ああ。何ていうか」
「その、戦闘狂なのかと思っていたわ」
「……………私も」
「黒ウサギもです。白夜叉様に決闘を申し込む時の爛欄とした顔はもう…………」
「僕も黒ウサギの話からてっきり…………」
全員から戦闘狂扱いされ、流石に七花も少々凹んでしまったが、話を進めるように十六夜に促した。
「ま。七花が囮役になったんだ、十分過ぎるだろ。次に索敵だが、ここは動物のギフトを使える春日部が適任だろう」
耀はコクリと頷いて答えた。
十六夜はジンの肩に手を置き、
「ゲームマスターを倒す役割だが俺がやろう。そしてお嬢様だが」
「分かっているわ、今回は私は露払いでしょ。でも負けたら承知しないんだからね」
伺うような十六夜の言葉に、飛鳥は肩をすくませて答えた。ルイオスに飛鳥のギフトは効かなかった。それを理解していた為、囮役を買ってでられた。しかし適所ではないとしても悔しいのだろう。語調は拗ねたようなものであった。
「悪いな、お嬢様。譲ってやりたいのは山々だが、勝負は勝たなきゃ意味が無い。何せ奴は元魔王を隷属させているからな」
「十六夜さん………まさか……箱庭の星々の秘密に………?もしかして十六夜さんって意外と知能派でございますか?」
「何を今更。そんなことは今はどうだっていい」
そう言って、十六夜は大きく足を引き、正面の大門を扉ごと蹴り飛ばした。
「さあ、ゲーム開始だ!!!」
十六夜が格好つけて開戦の狼煙を上げた時、七花の姿がないことに気付いた者は誰もいなかった。
タイトル詐欺のようですみません。
文字数の関係でここで切りました。
感想待ってます。