問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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ついにここまで来たっ!


第五十話 虚刀流、沈黙を選ぶ

間食を取ることで一息つくのを見計らって、ガロロは切り出した。

 

「さて今後の方針だ………なにか意見のあるやつはいるか?」

「私は此処に残ってゲームの謎解きを続けるべきだと思う」

「………ほう?そりゃまたなんでだ?」

「さっきまでご飯を食べてる間にジャックと確認したんだけど、私達はこのゲームのペナルティ条件を満たしたみたい」

 

そう言ってギフトカードを出すと、見たことのない紋様が浮かんでいた。ジャックからはこのマークがペナルティ条件を満たしてしまった場合に浮かぶ主催者側の旗印と聞いていた。

ペナルティの内容は十日後に血の海に沈んでしまうものだったのを感じさせない平静さで耀は話を続ける。

 

「主催者権限で審議中の今なら、子供達も戦うことなく探索することができる。今だけが、安全に城の中や廃墟を探索できる機会なんだよ」

「確かに耀さんの言う通り子供達の参加はゲームクリアに大きく貢献するでしょう。………しかし、彼等の意思はどうするのです?本人達の承諾は得ているのですか?」

 

耀の提案に少し難色を示したジャックやガロロは子供達の方を見た。彼らは怯えながらも、熱を孕んだ確たる意志を持って答えた。

 

「…………ご心配有り難うございます。しかし我らもアンダーウッドの同士の端くれ。何より、誇りを踏みにじられたまま黙っていられるわけがありませんっ!!」

「………おし、わかった。若いのがここまで言うんだ。腹を括ろうじゃねえか。だが耀嬢ちゃん、無闇に探すような事はしねえよな?」

「それについては私から提案………と言うか勝利条件の暫定的な回答があるというか………」

 

耀は今までの凛とした空気から一転、トーンを落として歯切れの悪い言い方をした。しかし、他の者は一気に色めき立った。

 

「春日部嬢は謎が解けたのですか!?」

「解けたって程じゃないけど……辻褄は合うかなって……」

「マジかよスゲーじゃん!!」

「ああ、大したもんだ。休戦初日から謎が解けたんなら勝ち目も見えてくるぜ!!」

「それじゃあ私の考えが正しいかを確認する為にいくつか質問してもいいかな?」

 

全員からの称賛の声と期待の眼差しに、間違えてたら取り返しつかないなぁと肝を冷やしながら自分の推測の裏付けをとるため耀は尋ね始めた。

 

 

 

 

 

 

所戻って、”アンダーウッド”会議室では──

 

「えぐっ、………ひっく、………」

「ほらペストも泣き止んで。僕も困っちゃうよ?」

「………うん。ジンが困らないように………わたしも、がんばる」

 

『『『いや、誰だお前』』』

 

度重なる羞恥の連続とコンプレックス(ひんぬー)で癇癪を起こしたペストはジンの天然ジゴロの才能によって治まった。その結果、ペストは若干の幼児退行とジンへの依存を抱えてしまった。

この事で問題児達は黒ウサギからOSEKKYOUを受ける事になった。一番の原因はここに来る前の白夜叉の過剰な着せ替えごっこだっただろうが。

 

「そんなことより話進めようぜ?」

「いや七花。ここで進行を促せるなんてお前すげーな」

「まあ訳知りだし。あとこれで終わりなら俺寝たいんだけど」

「い、いや待ってくれ。魔王の出現は”アンダーウッド”だけではないのだ」

 

サラの話によれば、東の"サウザンドアイズ"、北の”サラマンドラ"、"鬼姫"連盟と最低でも三体の魔王が興っているようだ。これでは援軍は望み薄だろう。

七花は面倒さをありありと示す溜息をついて言った。

 

「なあ魔王ってのはそうポンポン湧いてくるもんなのか?」

「いいえ、むしろ出現が少ないからこそ”天災”と比喩されるのですが──」

「ここまで来るともう可能性は一つだ。魔王を統率して動かしている組織があるってことだ」

 

会議室の緊張に畏怖と悲愴が混ざった。

十六夜が真剣に発言いる中で、七花は『実はその事知ってたんだけど』だなんて言えねえなと考えていた。

七花から見て、十六夜があまりにも自信満々で”──俗に言うどやがお”──だったのでどう話したものかと頭を掻いた。




感想や見て頂いた皆様のおかげで50話まで来れました。

これからも稚拙な文章ですが、よろしくお願いします!

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