遅くなりました。m(__)m
今回は、悩みまくって書きました。
ここが私の限界でした。
指摘や批評は感想にてお待ちしています。
それでは、ゆっくりしていってください。(^o^)/
「おんし達が望むのは挑戦か?それとも対等な決闘か?」
白夜叉の一言で世界がひっくり返った。
少なくとも、七花はそれ程の衝撃を受けた。
そこは太陽が水平に進むゲーム盤(セカイ)だった。
しかし、七花が驚愕させられたのは、ゲーム盤へ来てからの白夜叉の圧倒的存在感だった。表層に現れたのは、全体の微々たるものなのだろう。だがその僅かな力の片鱗でも七花は高揚していた。
それはある意味当然なのかもしれない。鑢七花の本質はどこまでいっても刀なのだ。武器は使われてこそ真価を発揮する。
気が付けば、彼は全身に鳥肌が立っていた。
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は”白き夜の魔王”おんし達が望むのは試練への挑戦か、それとも対等な決闘か?」
白夜叉の荘厳な声が響く。とても先程までの少女とは思えない凄味に再度息を呑む三人。
十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じながら、白夜叉を睨んで笑う。
───まだ誰も七花の猛りに気付かない。
「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」
「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるということかの?」
「ああ。これだけのゲーム盤が用意出来るんだからな。あんたには資格がある。───いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」
なんとかしてひねり出したであろう一言に、白夜叉は堪え切れずに高らかに笑った。十六夜の可愛らしい最大限の譲歩に白夜叉は遂に腹を抱えて哄笑した。
「くくく………して、他の童達も同じか?」
「………ええ。試されてあげてもいいわ」
「右に同じ」
苦虫を噛み潰した様な表情で返事をする二に可愛げのある意地を張ったものだと白夜叉は扇子の下で薄く笑った。そして、試練を始めようとして、
「なあ、白夜叉。俺と決闘ってのをしようぜ」
ようやく七花の猛りに気付いた。白夜叉はその気配に少し呆けて、すぐに訝しげな表情をした。
それは他の問題児達も同じだった。
唯一黒ウサギだけが慌てふためいていた。
「な、何を言い出すんですか!?白夜叉様はかつて”白き夜の魔王”と呼ばれた、箱庭の星霊ですよ!!!」
「どうでもいいさ、そんなこと。重要なのは白夜叉がこの申し出を受けるか、否かだ」
「どうでもいいって…………」
「七花、お前正気か?」
「ああそうだ。こんなに闘いたいって思うのは生まれて初めてかもしれないぐらいだ」
確かに白夜叉は出鱈目な存在である。”星霊”であり”神霊”でもある箱庭での代表的な強者であろう。
しかし、そんなことで七花の衝動を錆び付かせることにはならない。
七花は過去へと思いを馳せる。元々、とがめとの旅の中でも、否定姫であっても闘争を愉しむという事はなかった。
しかし、この時は違った。
「おんしは実力を測れる者だろうと思っておったんじゃがのう………。何故に闘争を求む?」
「俺が闘いたいから。理由なんざそれで十分だ。人は、刀だって何かのために何かをする、なんてこと結局出来ないんだしな」
「ほう……。そこまで言うのならば、言葉は不要だの。この決闘受けようではないか!!」
白夜叉は一気に覇気を高めた。
七花は笑みを潜め、刀としての鋭さを高めていく。
その様子に白夜叉も僅かに高揚した。
「虚刀流七代目当主、鑢七花。推して参る!!」
「白き夜の魔王、白夜叉。来るがよい!」
「行くさ!ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな!!!」
「ほざけ、子童が!」
両者は、激突する。
その時のことを逆廻十六夜は生涯忘れないだろうと思う。
「はあぁぁぁぁ!!」
「ッ!!?」
白夜叉は反射的に背後に扇子を振り抜いた。
七花は虚刀流の足捌きを駆使して行った背後からの不意打ちを反応されて驚いたが、反撃の扇子を無視して攻撃を行った。
結果、脇腹から胸にかけて浅く傷を負った。七花の攻撃は白夜叉に当たりはしたが、有効打とは、ならなかった。
(こ、こやつ。反撃が重傷になり得るのを解った上で突っ込んできおった!これは面白いのう♪下層はこういう輩がいるから飽きん!!)
一方七花は、
(おいおい、冗談だろ。不意打ちからの”鏡花水月”の衝撃逃すなんて……。でもだからこそ!!)
「ふふふ、面白いのう。こんなちゃちな得物ではなく、しっかりしたモノを使おうかの」
そう言って白夜叉は、ギフトカードから日本刀を取り出した。一目で分かる程の業物に対しても、七花の反応は変わらなかった。否、白夜叉が本気を出しつつあることに更に悦びを覚えていた。
「今度はこちらから行くぞ!!」
白夜叉は七花へ向けて弾丸の様に進んできた。
七花は体を捻じり、突きに対して並行に揃えて
「虚刀流、菊!!」
真ん中からへし折った。
「なんと!?」
「からの虚刀流、”柳緑花紅”!!!」
鎧通しの”柳緑花紅”を直接ぶつけられ、白夜叉は土煙を上げながら転がっていった。
黒ウサギと問題児達は高いレベルでの戦闘に唖然とし、我に返り七花の勝利を祝おうとして、
「あの刀を折るとはの。いやはや驚いたの。これは私も本腰入れんとの」
白夜叉は呵呵と笑って、なんともない様に立ち上がった。
服に付いた埃払いながらも、七花からは目を逸らさない。白夜叉は獲物として七花を見ていた。
「ま、そんなことだろうとは思った。あの程度で倒されてくれる相手でもないしな」
七花もまるで警戒を解いてはいなかった。衝撃を空中でうまく逃がされた感覚があった上に、拳をぶつけた時に感じた重量は体験したものの領域を超えていた。
白夜叉は自身の恩恵たる太陽のそのものギフトを発動し、その余熱は七花を焦がした。
「おいおい、流石に規模が違うぜ。勘弁してくれ」
「そういう割に楽しそうだの、おんし。安心せい、この太陽がそのままおんしを襲うことはない」
するとみるみる太陽は圧縮されて、先程の刀と似た大きさになった。が、感じ取れるエネルギーは比較にならないと七花は思った。それでも、圧倒的な差を感じてもなお七花は笑うことをやめられなかった。
「今理解したぜ、白夜叉。俺は刀としてだけじゃなく、一人の人間としてもお前と闘いたいってことがなぁ!!」
「おんし、嬉しいことを言ってくれるではないか。久しいのう……こうして真っ向から私に挑んで来るものなど何時以来だろうか。よろしい、虚刀流 鑢七花。私も真っ向から、とことん仕合おうではないか!」
そうして両者は再び向かい合う。
しかしそこからは一方的な展開だった。
本気を出した白夜叉の刀状の太陽は変幻自在に形を変えて七花を追いかけ、確実にダメージを重ねていく。
白夜叉の炎の刀はまるで太陽から噴き出す紅炎の網の様にも見えた。
七花は白夜叉のギフトに追い詰められ、直接喰らわないにしても、余波で体の自由を奪った。徐々に動かなくなる体を七花は意思と気合で動かし続けた。
肩を抉る痛みも、腹を焼く熱さも、全てを捻じ伏せて七花は白夜叉の隙を窺い続けた。
それでも白夜叉に容赦はなかった。認めた相手への敬意の為でもあったが、それ以前に、
(あやつの目はまだ死んでおらん。先程からプレッシャーも強くなってきておるし、油断はできんのう)
この闘いの最中、七花の意識自体は徐々に戦闘風景を俯瞰的に見る様になってきていた。
白夜叉の僅かな癖や視線から自分への攻撃の選択肢を予測し、それと実際の誤差を修正するということを無意識下で続けていた。奇しくも、姉の七実の見稽古の前段階のことをしていた。
ここで話を変えよう
七花こと『虚刀 鑢』も他の変体刀と同じ様に作品のコンセプトがある。
頑丈な刀、良く斬れる刀、全く同じ大量の刀、脆く軽い刀、全身を覆う堅固な刀、重い刀、使用者を生かす刀、人を模した刀、使用者を活かす刀、使用者を試す刀、使用者を犯す刀、離れいても斬れる刀。
その中で『虚刀 鑢』は進化し続ける刀であった。
初代 鑢一根から始まったこの系譜は七花の代で完了へと達したが、しかし、完成はしていないのである。
故に、虚刀流そのものの本質は未だに発展途上であった。そして、七花の才能と、とがめと否定姫との旅の経験を以て花開くのは時間の問題であった。
そして、左右田右衛門左衛門との闘い、姉をも超える化け物、白夜叉との死闘によりそれは成された。
変化は静かなものだった。
鮮血をまき散らすことも厭わずに動いていた七花が、構えを解いたのだ。だからといって白夜叉は手を緩める訳がない。この機を逃さず、命をも刈り取るつもりで、太陽のギフトを触手の様にして七花を包囲し、押し潰そうとした。
次の瞬間、白夜叉に怖気が立った。
七花は慣れた道を行くかのように、自然に、無駄無く、ついでにというかのように、白夜叉の包囲を突破した。
何より白夜叉を驚かせたのは
(あ、あやつ………僅かだが神格が!?)
そんな白夜叉を嘲笑うかのように、七花は音も、気配すら消して、ただ神格のみを魅せて白夜叉に近寄った。白夜叉は襟を掴まれようやく気付いたが、既に七花の距離だった。
「虚刀流 蒲公英(たんぽぽ)」
七花が手刀を放った。
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びっくりしています。
登録して下さった方、見ていってくれる方に感謝
してこれからも頑張ります!!
どうかよろしくお願いします。
あの、ところでUAって何ですか?