問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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更新遅くなってすみませんでした。
原因については活動報告で挙げるとします。興味があればどうぞ。

この更新も久しぶりですので、ぜひ感想をいただきたいです。

それでは


第四十八話 老兵は奇っ怪な運命の出会いをする

七実が戦力を拡充させていた頃、南側ではお世辞にもういた空気とは言えず、緊迫した面持ちで会議が行なわれようとしていた。

 

『一本角』からはサラ=ドルトレイク。

『六本傷』からはキャロロ=ガンダック。

『ウィル・オ・ウィスプ』からはフェイスレス。

『ノーネーム』からは逆廻十六夜、久遠飛鳥、鑢七花、そして司会進行の黒ウサギ。

 

司会進行の黒ウサギがおもむろに切り出した。

 

「えーそれでは今回のギフトゲーム、 SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIREKINGの攻略会議を行います! 委任状を受け取ったサラ様とキャロロ様は責任のある発言を心掛けてください!」

「了解した」

「はいはーい♪」

 

サラは少し張り詰めた様に、キャロロは軽い調子で答えた。

そんな彼等を見ていた十六夜はキャロロの鉤尻尾を不思議そうに眺めながら言った。

 

「アンタもしかして──」

「そーですよ常連さん。いつも御贔屓にありがとうございます♪常連さんのいい噂もちゃんと流れてますよ!」

 

感心したように十六夜は相槌を打った。思えば彼女は何かと情報通だったのを思い出し、合点がいったように軽く頷いた。そうして十六夜は悪戯を思いついたようにニヤリと笑い、飛鳥や七花に目配せした。

 

「一店員の筈のアンタが収穫祭に来ていたのはそう言う事か。………しかしそうなると、あの店にはおいそれと行けなくなるよなあ?」

「そうよねえ。コミュニティの作戦も聞かれていた可能性だってあるんだし、怖くて今後は使えないわ」

「あーあ、白夜叉のとことは違った味付けの甘味があって気に入ってたのになあー(棒)」

「此処は一つ『六本傷の旗下に間謀の影あり!』とかなんとかチラシで地域支配者として動かないといけないかね?」

 

十六夜と飛鳥はノリノリで話を進めて行く。七花に関しては、お察しだ。一方のキャロロは顔を青くして食いついた。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよお!?そんなことされちゃったらうちの店やっていけないじゃないですか!!」

「あら?地域支配者には治安維持と発展の義務があるんだもの、諜報活動をしている店を放って置ける筈ないでしょう?」

「見逃して欲しいんなら、相応の態度ってモノがあるよなあ〜」

(よく言うぜ……どうせこれで五割引きにしろ〜とかなんとか言うんだろ。あの店員も哀れだな)

 

唸っているキャロロを見ながら七花は問題児達の次の行動を予想していた。ちなみに七花がこの場を収める気がないのは、実態を暴露したキャロロに責任があると考えていたからである。

キャロロは半泣きで苦々しげに問題児達に提案した。

 

「こ…………これからみなさんには当店のメニューを一割引きに

「「三割だ」」

「うにゃああああぁぁぁぁ!サラ様ぁ〜〜!!」

「これからは自分の役目をばらす頭の悪い発言は止めような」

 

キャロロは思わずサラに抱きつき、サラは彼女を撫でながら窘めた。問題児二人は悪戯の成功をハイタッチで祝った。

キャロロの鳴き声で掻き消えたかに思えた七花の「………意外と少なかったな」という発言は、向かいの席のフェイス・レスに読唇でバレていた。そんな彼女はゆらりと手を挙げて黒ウサギに進行を促した。

 

 

 

 

 

 

その頃、もう一人の問題児こと春日部耀は吸血鬼の古城にて、焦っていた。

子供の救出の為に乗り込んできたのは良かったが、予想外な事に古城には血塊とコケの集合体のような怪物がうじゃうじゃいたのだ。子供の数が十人近くいる状況では地上に連れて行くのもし難かった。

今は程よいスペースの一室を見つけたので一息ついていた。内心ベットで休みたいというのが彼女の本音だった。守りながら安全なルートを探すのは予想以上に神経を削っていた。

しかし疲れているからといって今後を考えないわけには行かない。自分の行動が十人近くの子供の命に影響するのだ。それにただでさえ不安に押しつぶされそうな彼らから耀という導き手がいなくなれば確実にパニックを起こす。そうなってしまえば、全滅は必至だ。

 

(それにあのドロドロした奴、停戦中なのに襲ってきた。………主催者側の行動は制限されている筈だから…………元々ここにいた怪物ってことかな?でもそれだとおかしい。ここは吸血鬼の住処だったんだし、そんなのがこんな所を徘徊しているのは説明がつかない。第一ここは何千mも上空だから寂れてから増えたってのも変だ)

 

耀が襲ってきた敵について考えていると、乱れた猫耳の老人が彼女に話しかけた。

 

「ありゃあ寄生種だな」

「………知っているの?猫のお爺さん」

「ああ。コケに見えるところは胞子で生き物や死骸を苗床に繁殖する菌糸類だ。昔はこのアンダーウッドにもいた怪植物さ」

 

菌によるものだとすれば、風や鳥によって運ばれてきた可能性は十分に有り得る。なるほど確かに筋は通る。

耀は簡素だったが、しっかりと礼を言った。する老いた猫人は快活に笑って言った。

 

「こんくらいじゃあ礼には及ばんよ。それと爺呼ばわりは止めてくれ。俺はガロロ=ガンダックって名前があるんだ」

「そう。気にさわったらごめんなさい。私は春日部耀。よろしくガロロさん」

「何ッ、春日部だって!?」

「うん。そうだけど?」

「(……まさかな)いや、なんでもねえ。よろしくな嬢ちゃん」

 

一人の男を通じて少女と老猫は出会った。

 

 

 




なんとか更新できて良かったです。
今回は話が作れなかったというよりは、久しぶりでどんな感じで書いていたのか思い出せなかったことが大きかったです。

更新はこれからも不定期になると思います。
それでも読んでいただけたら嬉しい限りです。

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