問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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更新が予定より少し遅くなりました、すみません。
後それと今週は更新が厳しそうです。

それではどうぞ


第四十四話 虚刀流、南側に降り立つ

「それではおんしら二人とも気をつけるのじゃぞ」

「ああ。こっちは任せたぜ」

「白夜叉、貴女も気をつけて。なにせ今度は相手が相手ですので………」

 

別れの言葉を交わす白夜叉、七花、レティシアは境界門の前に来ていた。マクスウェルに逃げられた後、ノーネームの本拠に戻り、レティシアを連れて十六夜達に合流するというところだった。

 

「それじゃ行くかとするか」

「そうだな。何かあったとしても十六夜達なら何とかしているかもしれないがな」

 

そう言うと、二人は大して緊張もしていない様に、門を超えて姿を消した。

そのことに白夜叉は頼もしく思い、自分がこれから為すべきことにスイッチを切り替えた。

 

「さて、それでは私も私の戦いを始めるとするかのぅ」

 

階層支配者として、白夜叉も対魔王連盟への準備に取り掛かった。

 

 

 

 

「へえ………南側は大自然が売りなのか」

「そうだな。それ沿うように食事やギフトゲーム等も大自然を活かしたものばかりで面白いぞ?まあそれもこの戦いが終わってからだがな」

 

レティシアはその瞳を少し鋭くして此処にはいない敵を睨みつけた。僅かにではあったが殺気や怒気まで漏れ出していた。

それもその筈で、アンダーウッドの美しかった景観は巨人族の無粋な襲撃によって荒らされてしまっていたからである。地下街もそうだが、地上の街並みは無残にも巨人族の蹂躙の爪痕が窺い知れた。いくら十六夜達の奮戦によって被害はかなり食い止められたとはいえ、復興には相応の時間がかかりそうであった。

七花達は決意を新たに対策本部の置かれている巨大な水樹へと足を速めた。

 

 

 

「そういう訳で私達が来たのだ。………しかし貴女が龍角を持つ鷲獅子《ドラコ・グライフ》の頭となっていたとは思わなかったよ、サラ殿」

「此方も、かの有名な”純血の騎士”が売りに出されたと聞いた時には思わず耳を疑ったが、壮健そうで何よりです。レティシア殿」

「さて、…………では状況を聞こうか」

 

世話話で和やかだった空気もレティシアが切り出した事で緊張感を取り戻した。全員の表情にも真剣さが増す。

 

「責めてきたのは巨人族の生き残り達、それと───」

「…………霧の使い手」

 

ギリと歯ぎしりさせて、耀は言葉絞り出した。同時に飛鳥も顔を顰めて、苦い思い出を想起した。十六夜はまだ見ぬ強敵の存在に不敵に笑っていた。

三者の顔色でレティシアと七花も敵が手練である事を即座に理解できた。レティシアは二人を気づかう瞳へと変え、七花はちろりと闘争心を伺わせた。

そんな二人の変化に気付くことなく今まで顔を俯かせていた耀が、ばっと正面を向き七花に大して頭を下げていった。

 

「七花、私を鍛えて欲しい。さっきの闘いで私は──」

「いいぞ」

「何も──……って、え?」

「だから同じコミュニティの仲なんだし、そんなこと気にしないでさっさと言えばいいだろ?」

 

耀のなけなしの勇気を振り絞っての頼みは七花に当然のように受け入れられた。あまりの軽さに珍しく彼女の間抜けた顔を見られたノーネームの面々は思わず笑ってしまった。気を取り直した耀は顔を赤くして、身を縮めてしまった。その姿も新鮮で、後に話のタネとしてさんざん弄られるのだがそれはまた別の話。

 

 

「ん……それではそろそろ話を戻してもいいかな?」

「サラッ!大事な会議だから時間は無駄にできないし話し合いは大事だし本題に戻ろうようんそうしよう!」

「春日部さん……」

「ヤホホ、それもそうですね。……面白いものも見れましたし」

「ああ、これはかなりのモンだったぜ」

 

微笑ましいものを見たような雰囲気のジャックと、ニヤニヤといつもの軽薄な笑みを浮かべた十六夜は話を本筋へと戻そうとする。それに議長のサラも乗っかり、続けて言った。

 

「……………それでは話を戻すが霧の使い手の琴線はフェイスレス殿の功績で奪う事ができたが、本人には逃げられた。だがこのことによって次の進行では厄介な霧が無い」

「そりゃいいな。聞いた話じゃ面倒そうなギフトだった訳だったし、これで次回は多少楽になるな」

「ああ、そこで龍角を持つ鷲獅子の長としての提案だ。今回の騒動が終了した暁には最も貢献したコミュニティに報酬としてあるギフトを受け取って欲しい。もちろんこの競争の参加条件としてアンダーウッドのゲームを盛り上げてくれるのなら、だが」

 

挑発するように笑みを浮かべて提案したサラに、会議室の面々も沸き立った。

 

「へえ………面白そうじゃない、十六夜クン?」

「ああ無粋な略奪者のせいで消沈気味だった俺のテンションも盛り上がってきたぞ!!」

「………やるからには勝つ!」

「ヤホホ、これは我々も気合を入れなくてはいけませんねぇアーシャ」

「コレはアタシ達へのちょーせんだね!そんでもって耀には今度こそ勝つ!!」

 

各自が奮い立つ中で、七花とフェイス・レスは静かに場を眺めていた。

そして互いがゲームで大きな障害となることに気付いた。フェイス・レスはフッと口角を上げ、七花は面倒そうに溜息を一つついた。

 

 

 

巨人達の最襲撃など問題視していない実力者達の会議はこうして終わった。




使っている日記アプリが不具合を起こして、データがまるごと飛んで焦ったのはここだけの話。

更新したはいいけどテスト勉強出来てないや………

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