言い訳をさせて下さい……
実際は出来てたんですよ。しかし、11時頃になってから手直しをしていた分を保存出来てなくて、それどころかその前まで書いていた部分を一部蒸発させてしまいました。
思わず、端末を見て(’ω’)ファッ!!?ってなって固まってました……
すみませんでした
逆廻十六夜は珍しいことに、感傷に浸っていた。
あるときは、読書をしながら。
あるときは、黒ウサギを弄りながら。
あるときは、黒ウサギのウサ耳を引きながら。
暇な時間を大いに割いて練り上げていた『code:黒ウサギはどこまでオモシロオカシクできるのかッ!』は無残にも、目の前で焦げ粕としてそこに在った。
「あーあ、もったいねえな……」
「こんな自然の摂理に反した怪植物なんて滅んでしまえばいいんですッ!!」
黒ウサギは即座に反応した。
黒ウサギとしても、笑いで済ませることができない性能に背筋を寒くしたのだ。天敵を可能な限り迅速に処理することは最早本能と言っても差し支えなかった。
そんな黒ウサギの焦燥を知ってか知らずにか、軽い調子で十六夜はこみあがってくる複雑な感情を飲み下した。
「まあ、いいか。これまでの道中で十分な………とは言えないがそこそこのリターンはあった、か。──オイ黒ウサギ!!俺はそろそろヘッドホンを持っていった奴を捕まえてくる」
「ハアハア、………おや?十六夜さん、行方に心当たりでも…?」
「ああ、それじゃあなッ!」
収穫祭前夜祭の前日、十六夜はヘッドホンを何者かに隠されていたが、実を言えば、十六夜はアンダーウッドに来る前からおおよそ、否、ほぼ完璧に犯人を特定できていた。
更衣室のかごの毛玉で気付くなというのもかなり無茶な相談だったが。
(春日部が裏で糸を引いてるのかとも思ったが、そんな事はなさそうだったし。残る可能性は三毛猫の独断って線か。取り敢えず春日部も混ぜてOHANASIだな)
考えをまとめながら来た道を戻っていく十六夜だったが、打ち切りを余儀なくさせられた。突然の激震がアンダーウッドを襲ったからだ。
「何だ地震か?それにしちゃ初期微動も何もあったものじゃなかったが……」
そこで十六夜が言葉を切ったのも無理なかった。あまりに大きな足が振りかぶられているのが窓へと視線を移した目に写ったからだ。
ギリギリ、と力が込めらられているのが分かる。同時に十六夜の口角も上がり、興奮がその身を焦がす。
「いいぜ、お前。中々だ!!ヤハハハハハッ!!!」
唸り声をあげて振り抜かれた脚と十六夜の拳が衝突したのは、十六夜が歓喜の叫びをあげた数瞬後だった。
結界は、面をした巨人が足を潰して宙を浮く形で決着した。
そこで、黒ウサギが追いついたように十六夜の後ろに付いた。
「十六夜さん!これは………!」
「ギフトゲームが開催された様子はねぇし、どうやら無法者のようだな」
「なんと………ッ!」
「キレるのはひとまず後回しだ、黒ウサギ。お前はさっさとお嬢様や春日部にこのことを伝えて、アンダーウッドの地表の連中を頼むって伝えてくれ。俺は、地下の連中を叩きのめしてから地表に向かう」
はい!!、と言って黒ウサギは駆けていった。
黒ウサギが視界から外れたのを見て十六夜は再び獰猛な笑みを浮かべて巨人達を眺めて言った。
「ざっと見たところ、三十ってとこか。………さぁてせいぜい楽しませてくれよ?」
このあたりで手こずっているようじゃ七花に勝つのはいつになるか分かったもんじゃないしな、と内心で十六夜は呟く。
十六夜は手頃な壊された建物の木材を手にとって、巨人の群れる一角にぶん投げた。
少し時を遡り、問題児の女性陣はアンダーウッドの自然の香りを堪能していた。
「………木の根と藁葺きの匂いがする」
「こういった趣きの部屋は初めてだからなんだかワクワクするわね」
「…………落ち着く香りで、寝ちゃいそう…」
うとうとと眠たげに首を傾ける耀を見て、クスリと笑う飛鳥。
そんな彼女たちの平穏は無粋な無法者によって幕引きとなった。突然のことで二人は尻もちをついてしまった。しかし、すぐに体勢を立て直した。このあたりは彼女たちが箱庭で鍛えられた適応力と言えるだろう。
耀は確認のために飛鳥に問いかけた。
「…………飛鳥。これって、自然のものじゃないよね?」
「ええ、そうだと思うわ。それにギフトゲームによるものでもなさそうよ。”契約書類”がばらまかれているわけでもないし。……本当に無法者のようね」
飛鳥は吐き捨てるように言った。以前、ガルドという下衆に遭遇した時のことと重ねて感じたのだろう。彼も卑怯な手段でコミュニティを拡大させていた。その男は灰となり、今は亡き者であるが、思うところがあったのだろう。その声には怒りが露になっていた。耀も同様に楽しみを壊した敵に対して闘志を燃やしていた。
その時、ドアを破らんが如き勢いで黒ウサギが現れた。
「お二人ともここにいらしたんですか…………緊急事態ですッ!現在アンダーウッドは魔王の残党とおぼしき集団に襲われております!!地下の巨人は十六夜さんが受け持つということでしたので、我々は地下に入ってくる敵を討滅しに参りましょう!」
黒ウサギの言葉に二人は間もなく頷き、外へ出た。七花も強大いだが二人からすれば十六夜も負けず劣らずの強敵だ。彼らに負けてはいられまいと気合を入れた。耀は空を翔け、飛鳥は黒ウサギに抱えられて、地下街を駆けていていた。外には、壊された建物が点在していて敵の脅威を伝えていた。
道中で、黒ウサギは邪魔な敵を金剛杵で焼き、地下街を走り去っていった。
一方その頃、七花はとある場所でリンと向き合って交渉を始めていた。