問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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最近、Twitterを始めました。
けれど、あまり活用できてない気がします。

そんな私の近況はさておき、本編スタート!!


第三十八話 虚刀流、贈り物を受け取る

飛鳥は訝しさと面白いものを見つけたようなものをそれぞれ合わせた顔色をして言った。

 

「彼岸花、かぁ〜。七花さん、一体誰に送るつもりなのかしら?」

「………彼岸花って確か、死者への弔いの意味と新たな門出を祝うって意味があった気がする」

「………まあ、コミュニティの一員として気になることであろうが、一つ用件を。まずは今宵の夕食時にもう一度ここに来て欲しい。十年前アンダーウッドを襲った巨人族の魔王について話したいことがある」

 

耀は変わらない声音で続け、サラは雰囲気を締めなおすように告げた。魔王と言う言葉に反応して、その場の全員の緊張感が一気に跳ね上がった。

 

 

所変わって七花はというと、白髪の少年と年端もいかない少女を引きずって”サウザンドアイズ”を目指していた。道中度々、殿下達との関係を尋ねられたり、職質もどきをされたりと七花のイライラはかなりのレベルまで溜まっていた。

 

「だけど、それもここまでだな。ようやく、”サウザンドアイズ”が見えてきた」

 

検を孕んだ七花の空気は目的地が見えたことで確実に薄れていた。そんなほっとした空気も束の間であった。通りを勢いよく駆けてくる者がいた、しかも七花を狙って。

 

「ヒャッッッホォォオオイ!!しちりんではないかあべしっ!!」

「危ないだろ、白夜叉。俺が倒れちまうじゃねぇか」

 

七花はその影、白夜叉を思いっきり蹴り飛ばした。珍しくイライラしていた七花の目の前に、鬱陶しいテンションをした白夜叉が来たのだ。ある意味仕方のない結果であると言えるだろう。蹴られた方の白夜叉は割と洒落になっていなかったようで、腹部を抱えて蹲って、絞り出すように言った。

 

「うぐぐ………始めて小僧に蹴られた時とは比べ物にならん、威力だったぞ……」

「そうか良かったじゃないか、被虐趣味のあんたにとっちゃ、ご褒美みたいなものだろ?」

「誰が被虐趣味か!?………それを言うならおんしも大概だと思うがの。年端もいかぬ少年少女を引きずるとはのう」

「嗚呼、白夜叉。今日はそのことできたんだよ。実はこいつら魔王連盟だとかいう連中っぽいんだけど」

 

その一瞬、白夜叉の時は止まった。

人に限らず、星霊であっても大きなことを受け止めるにはひと呼吸必要なんだと、七花は冷静に思考をしていた。

 

「はぁ!?ペストとの一件から間もなくまた絡まれるなんてどうゆうことじゃ!?いったいおんしはどんな星の元に生まれてきておるんじゃ?そもそもなんでおんしそんな重大なことさらりと言っておるんじゃ?ねえ、こんな事おかしいよね?おかしいじゃろ!?もっとこう、なんかあるじゃん!!?リアクションとか緊迫感とか」

「───どうどう白夜叉。俺の処理が追いつかなくなる前になんとか収まってくれ、頼むから」

 

まさに怒涛の勢いだった。

これには七花は思わず引いていた。具体的には、薩摩で奇策士とがめが『ちぇりお』を誤解していた時ぐらい引いていた。

取り敢えず白夜叉を諌めて、七花と白夜叉はいつもの白夜叉の私室に向かった。

 

「ふむ。なるほどのう。どうやらおんし、かなり目がつけられておったようじゃの。それは、コミュニティの面々が居なくなったタイミングを見計らって接触してきたことからも明らかじゃの」

「そうなんだよな。どうも、ペストの時からずっと見られてたらしいぜ」

「ほう……まだ名もそれほど上がっておらん時期からとなれば、中々の目利きじゃのう。して、そやつらは一体どうしたのじゃ?」

「手足折って、関節外して縛って引き摺ってきた」

「………おんし容赦ないのう」

 

白夜叉は七花のあまりの徹底ぶりに流石に度肝を抜かれていたが、七花としては当然のであった。それほどのことが必要なほど彼らは手強く、そして扱いづらかった。何故なら

 

「あいつら、もしかしたら”ノーネーム”を襲った魔王のこと知ってるかもしれないじゃないか」

「……成程、確かに捕虜や人質としても有効に利用できるかもしれないのう」

 

そう、かつて”ノーネーム”を襲った正体の掴めない謎の魔王。その足がかりにでもなればと思い、七花はここまでわざわざ殺さずに連れてきたのだ。

 

「では、身柄は私が責任を持って預かろうかの。おんしも手当はしたとはいえ、刺された部分を癒さなくてはの」

「そうだな、俺最近かなり怪我とかしてばっかだし、ここらでしっかり回復しておきたいとこなんだよな。あ、そうそうその女の方、瞬間移動みたいなことするから気をつけてな」

「………おんし、ホントどうやって勝ったんじゃ……」

 

白夜叉は呆れた声を出しつつ、内心では密かに七花の成長を楽しんでいた。

永い退屈を埋めるに足る好敵手の存在を白夜叉は待ち望んでいた。現在の白夜叉は地位と神格の二つの意味でしがらみがあった。そんなしがらみを解いて、七花と死力を尽くした決闘を望むほどに白夜叉は飢えていた。

そんな渇望をひた隠し、白夜叉は七花に言った。

 

「そうじゃった。おんしに渡さなくてはならんもんがあったんじゃ」

「この前の合宿の報酬ならしっかり貰っているぞ?」

「いやいや、そうではなくもっと個人的なものじゃよ」

 

そう言うと、白夜叉はギフトカードを取り出してニヤリと笑った。すると部屋は光に包まれ、すぐに収まった。直感でだが、以前のような世界そのものをひっくり返した感覚はなく、ただ光が出ただけだと分かった。

すると、七花と白夜叉との間に先程までは無かったものが畳に置かれていた。

 

「”サラマンドラ”から、おんしが武御雷との闘いで駄目にしてしまった服を火鼠の衣で編み直した上着と、”ペルセウス”からヘルメスの靴の擬似神格《レプリカ》を草鞋として組んだ一品じゃ」

 

白夜叉はただ笑みを深めてそこにいた。

待ちわびた好敵手をただ待って。

 

 




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