問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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若干空きました。
理由は最近Twitterを始めて慣れずに手間取ってました。
すみません

そういう訳で前置きはここまで、本編スタート!


第三十七話 問題児達、連盟の長と語る

大樹内部の地下都市を一望できる貴賓室に一同は集まっていた。

 

「では改めて、私は”一本角”の頭主を務めるサラ=ドルトレイクだ。姓からもわかるように元”サラマンドラ”の一員でもある。さて、それでは、両コミュニティの代表者にも自己紹介を求めたいのだが、……ジャック。やはり彼女は来ていないのか?」

「はい。ウィラは滅多なことでは領地から離れませんので。ここは参謀である私からご挨拶を」

「そうか、北側最強と謳われる参加者を招いてみたかったのだがな」

「……北側、最強?」

 

その見過ごせない一言に問題児達は顔を見合わせた。その顔は、好奇心に満ち満ちていた。もしここに七花がいたならば『白夜叉の時のこと忘れたのかよ………』と言っていただろう。

 

閑話休題。

 

「六桁最上位とも言われている実力派だ。足を運んで貰えただけで良しとしようか」

「ヤホホ、五桁は強力な個人よりも組織を重んじています。私達はその点でまだまだ、と言ったところでしょうか」

 

サラからの探りもするりと流し、ジャックは道化のようにヤホホと笑う。するとサラは今度はジンに標的を変えて話を降ってきた。

 

「そうだな、強力な一個人では五桁は維持できない。ジンもそう思うだろう?”ペルセウス”がそのいい例だ」

「ええ!?どうしてそのことを!?」

「ふふ、誤魔化すな。最下層の”ノーネーム”が五桁の”ペルセウス”を打ち破ったのはもう有名な話。例の”黒死斑の魔王《ブラック・パーチャー》”を倒したのもお前たちだろう?」

「そ、それは………」

「隠さずとも良い。今の”サラマンドラ”に魔王を倒す程の力は無かったからな。強力な助っ人によるものだと考えていた。故郷を離れた私だが、礼を言わせてくれ。…………”サラマンドラ”を助けてくれてありがとう」

「い、いえ………」

(まあ実際は、七花によるところが大きいけどな)

 

サラが赤髪を垂れさせ礼を言った一方で、十六夜は内心愚痴のようなものを呟いた。飛鳥も同様で、笑顔ではあったがどこかぎこちないものだった。

耀はサラの話はほとんどスルーで、彼女の頭の龍角に目を奪われていた。サラもそれに気づいて苦笑しながら彼女に訪ねた。

 

「そんなに私の角が気になるか?」

「うん、すごく立派な角。サンドラみたいに付け角じゃないんだね。でもいいの?角二本あるのに”一本角”のコミュニティで?」

「我々”龍角を持つ鷲獅子”は確かに身体的特徴でコミュニティを形成しているが、何もそれだけではない。そうでなければ、四枚の羽の幻獣などは参加できないからな」

 

それもそうか、と耀は納得した。

 

戦闘担当の”一本角”と”五爪”

運搬を担当するのは、”二翼”、”四本足”、”三本の尾”

農業及び商業全般を行う”六本傷”

これら総じて”龍角を持つ鷲獅子”連盟という。

 

「今回の収穫祭は”龍角を持つ鷲獅子”の復興も兼ねてが力の入ったものになっているから、南側特有の植物を仕入れたと聞いている。後で見に行くといい」

 

問題児一同が首を縦に振り、その植物に思いを馳せていると、耀は黒ウサギと目が合った。そしてサラに向き合い聞いた。

 

「南側特有の植物って事は………ラビットイーターとか、」

「そんなピンポイントに的を絞ったオモシロオカシイ植物があって堪り」

「在るぞ」

「在るんですか!?」

 

サラは冷静なままさらりと答えた。問題児達はニヤリと笑ってさらに問うた。

 

「それじゃあ………ブラックラビットイーターは?」

「どうしてダイレクトに黒ウサギを狙うんですか!?そんなマニアックな一品、ある訳が─」

「在るぞ」

「在るんですか!!?何処のお馬鹿様が、そんな対兎用最恐プラントをッ!!?」

「何処の馬鹿と言われても発注書ならここにあるのだが」

 

黒ウサギは姿が霞となるような速度で発注書をサラからもぎ取り、そして見た。そこには明らかに丸めた馬鹿っぽさを醸している文字でこう書かれていた。

 

『対黒ウサギ型ぷらんと:ブラック★ラビットイーター。八十本の触手で対象を淫靡に改造することを目的とした植物である。黒ウサギの雷に対してある程度の耐性を持ち、黒ウサギの速度を広域に触手を伸ばし、囲うことで封殺する事が出来るものが望ましい。大体こんなトコだったかな?」

「─────……………………ふ、ふふふふふふふ分かっていましたともこんなことをするお馬鹿様は十六夜さん、貴方ぐらいだろうと」

「発案者俺、監修白夜叉でこの企画は提供させてもらっているZE☆」

「白夜叉様がそちらについてるなんて現実味がありすぎです!!起訴も辞さないのですよッーーー!?」

 

黒ウサギがグシャリと握り潰した先を十六夜が引き継いだ。魂の叫びと共にがくりと膝をつき、項垂れる黒ウサギ。対照的に問題児達はイイ表情をしていた。

やがて黒髪を緋色に染めて、むくりと立ち上がり表情の無い顔で礼儀正しくサラに言った。その礼儀正しさが恐怖に一層拍車をかけた。

 

「サラ様収穫祭にお招きいただき誠にありがとうございます。黒ウサギは行かなくてはならない場所ができましたので、失礼ですがこれで退室させて頂きます」

「そ、そうか。ラビットイーターなら最下層の展示場であったはずだ」

「それではッ!」

「ヤハハ、行かせねーよ。黒ウサギをあれで弄るって決めたんだからな。おとなしくしてもらうぜ?」

 

これから決死の戦いに臨むような雰囲気の黒ウサギの前に逆廻十六夜は立ちふさがった。

 

白夜叉と夜な夜な語り明かす事もあった。

構成にいきずまることもあった。

───ただ黒ウサギを弄る為に

 

その期待が今まで十六夜を押し進めてきた。

 

だから、過去の自分が期待した物《感動》のために逆廻十六夜は立ち上がった。

 

 

 

 

 

だが、黒ウサギの本気はそんな十六夜の予想を超えていた。

 

気が付けば真横にいた。そして振り向けば、応接室の扉の前にいた。

 

「クソッ、俺が見失うなんて………」

「今回ばかりは本気で絶滅させて頂くのですよ!!!」

 

流星のように二人は応接室を出ていった。サラと飛鳥は呆れたように溜め息をつき、ジンは恥ずかしそうに身を縮めた。

 

「ハア、噂以上の苦労人のようだな………。もう一枚は割とまともだったのだが」

「もう一枚?」

「おや、君達は噛んでいないのか?」

「うん。一体誰からの注文なの?」

 

サラは一枚の発注書を取り出して静かに言った。

 

「彼岸花十本、発注元は”ノーネーム”の鑢七花だそうだ」




久しぶりに絵を書いてみましたが、上手く描けてないなぁ〜っと再確認しました(泣)

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