問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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アカメが斬るの短編のようなものを出すつもりだったのに、あれおかしいな?全然仕上がって無いや………( ̄▽ ̄;)



ま、まあ予定は未定ですし、楽しみになさってた方すみません、私のスケジュール管理のミスが原因です_l ̄l●lll


第三十四話 虚刀流、闘いの火蓋を斬って落とす

賊が十六夜達と変わらない年齢であろう少女に更に幼い少年の組み合わせに、しかし七花は動じなかった。蝦夷の踊山でのこなゆきとの闘いが無意識下で子供相手に油断しないように警告を発しているのかもしれない。

しかしそんな中でも最初から容認することしか許されていない話はいつかの奇策士のようで、あるいはその白髪に目を奪われたのか、七花は虚を付かれた。

 

 

「殿下ぁ〜、それじゃ七花さんも萎縮しちゃうでしょう?ここは私が。それでは七花さん、具体的な話をしましょう」

「──ああ。まずは話だけでも聞かせてくれ」

「了解です。端的に言うと貴方を私達のコミュニティーに迎え入れたいのです。要は引き抜きですね」

「引き抜き、ねえ……?」

 

そう言って七花は目の前の少女の腰の革ベルトに固定された数本の短刀を見た。どう見ても真剣であり、七花は当然訝しんだ。

しかし、そんなことは織り込み済みと少女はあくまで快活に話を勧めた。

 

「まぁーこんな格好じゃ信じられないかもしれないけど、自衛の為だと思ってください」

「俺にはそんな護衛紛いな事しなくてもいいってリンに言ったんだが聞かなくてな」

「そう言わないでよ、殿下。殿下にもしものことがあったら私達どうなっちゃうのさ」

「あー、そっちの話は後にして取り敢えず俺を引き抜きにかかった理由とか教えてくれない?俺は十六夜なんかと違って大した戦果も上げて無いぜ?」

 

七花がこう言うと、二人は惚けた顔をしていた。七花が心配をしそうになった時、殿下は笑い出し、リンと呼ばれた少女は困った表情だった。

 

「あの〜七花さん。………それ本気で言ってます?」

「嗚呼。誰の目にも明らかだろ。俺はただ標的である敵を斬っるだけなんだし」

「………………私達、火龍誕生祭に参加してて、その時確信したんですよ。貴方は私のコミュニティの方が合っているって」

「どうしてそう言い切れるんだ?俺は箱庭に来て間もないし、大して名を挙げた訳でもない。あんたを確信させた確たる証拠ってのは一体なんなんだ?」

 

七花は不思議で仕方なかった。目の前の二人も中々の実力者であろう。肌に突き刺さる内に秘めた気迫がそれを物語っていた。だからこそ、『ノーネーム』ほど人材に困ってはいないのではないかと考えていた。それに何より、自分に合ったコミュニティと言わしめるだけの根拠に興味があった。

りんはその言葉を待っていたかのように、笑みを深めて告げた。

 

「七花さん、その答えは───貴方が闘争を欲してるからですよ」

 

 

七花の時は一瞬、止まったかのようだった。

そんな七花を気にせずリンは話を進めていく。

 

「貴方の戦闘を火龍誕生祭の時拝見しました。素晴らしい腕でした。しかも私が見るからに現状に全く満足していないように見えました。私達のコミュニティはこれからの大戦の大きな火種を抱えています。ですから、貴方の望む闘いを約束できると思います」

「一ついいか?」

「ハイ、なんでしょう?」

 

七花が少し顔を俯かせて聞いていた為、かなりイイ線行ってるんじゃ……と内心考えていたため不意の七花の言葉に顔には出さないが動揺した。

 

「あんたたちは何だ?」

「………それは、」

「俺達は魔王連盟、つまり魔王が集まるコミュニティみたいなものだ」

「殿下!?」

「リン、こいつはそういう上面だけの言葉じゃ動かんだろ。それで俺達が魔王の連なるコミュニティと知った今お前は俺達と共に来るか?」

 

幼くもその身から放たれるカリスマに七花は心が震えた。常人であれば心酔されてしまいそうな程ですらあった。だが、年を重ねれば大きな器となることは間違いなく、七花自身も目の前の少年がどのような道を進むのか気にならなかったと言えば嘘になる。

七花の応えは否だった。七花の胸中にはある確信めいた予感が、会話を始める前からあった。不忍を掲げた元忍者の時のようないつか矛を交えるであろう、という予感。

首を横に振った七花を見て、殿下は残念さとやはりかといった色を浮かべた。肩をすくめやれやれと少し大げさにポーズを取ると、すぐに拳を構えた。

 

「さて鑢七花、お前を仲間にできなかったのは惜しいが、俺達の所属まで教えて、お前はこれを袖にした。このままタダで帰れるだなんて思っているわけではあるまい?」

 

リンが一歩下がると同時にその場の空気が冷えていったようだった。今までは所属不明、だがこれから先は敵対関係だだ、と言外に殿下が七花に示した。一方の七花は、左手を前に右手を脇腹の辺りの高さで構える”鈴蘭”をとっていた。汎用性のある”待ち”の構えであり、殿下の気迫に応えたものであった。

 

「悪いがこちらはおおっぴらに名乗れる身分では無くってな。俺の名を手向けには出来ないぞ」

「気にするな。俺も今回は一振りの一刀としてお前斬ってやるさ。かかって来いよ」

 

少年は地を砕き、男は不敵に構えて、闘いが始まった。




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