問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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どうも、徒釘梨です。

最近不安定な更新だったので、感想を読み返してやる気になって書いてみました。何日これが続くかは分かりません。←オイ

ま、まあ皆さんが楽しんで頂けていれば幸いです。それではどうぞ!


第三十話 虚刀流、その決闘の結末は

「あんの馬鹿者がッッ!!やり過ぎおって!!」

 

白夜叉は武御雷の一撃を感じ取って怒気を込めて吐き捨てた。武御雷のしたことは間違いなく『試す』という事を逸脱していて完全に七花を『殺す』為のものだった。長年の友人としてこの予定にない催しを許したというのに、その信頼を災厄の形で裏切られてしまった。

白夜叉が止めようにも霊格を仏門に納めている白夜叉ではどうしようもない一撃だった。結局彼女は火龍誕生祭の時と同様に何も出来てはいなかった。

 

(これでは七花も………)

 

白夜叉が最悪の想像を浮かべて合う程、状況は危険なものだった。

 

 

 

だが、白夜叉や見物人達の想定を覆し、鑢七花は存命だった。

閃光が全てを覆ったその直前に鑢七花が取った行動、それは更に武御雷に接近して躱すと言うものだった。当たる面積を少なくするという事はそのまま死に至る可能性を下げる事に繋がり、活動可能な部位を増やす事になる。勿論直撃すればその悲惨さは言うまでもないが、七花は虚刀流という性質上相手の刀の刃渡りを正確に把握することに長けていた。だから七花に置いてそんな致命的なミスはなかった。

 

つまり、───

 

「虚刀流、最終奥義!!」

 

左半身が焼け爛れていたとしても、中途半端な奥義の一撃を放つくらいは可能な体勢を整えておくことが出来た。その過程で感覚と肉体を乖離させるなどという離れ技を成し遂げて。

 

「七花八裂・改!!」

 

かくして七花の奥義は成功する。策を練るのが策士なら、命をかけて武御雷の虚を突いた七花の行動はまさしく奇策と言えるであろう。それは奇しくも、彼の所有者であった奇策士が生涯貫き通した生き様に酷似していた。

 

 

 

一方、実を言えばこの時、武御雷は本気の一撃を放ったためか、狂気は薄れていた。しかし拳を構えた七花の一撃は、判断力を取り戻していた神でもどう足掻こうとも躱すことはできなさそうだった。

 

(嗚呼、ちくしょう。早とちんじゃ無かったぜ。こんなに輝かせられるんならしっかりと俺自身の目で見たかったぜ。だがまあそれはそれだ。今は──)

 

「七花八裂・改!!」

 

コイツを耐えられるか、神に祈るしかないかな……と普段のように呑気にその時を待っていた。

 

 

 

鮮血を鮮烈に巻き上げて、七花の奥義に武御雷は地に伏した。そして、

 

「あー、やべ。俺も限界だ。流石にもう無理」

 

鑢七花も共に倒れた。死力を尽くして戦った結果、七花の心中は晴れやかで、緩やかに彼のまぶたは落ちていった。

 

 

 

「救護班いそいでッ!!」「オイ血が足りてないぞ!」「倉庫から医療道具あるだけ持って来い!!」「ああ、俺が今から大国主に療酒を分けてもらってくるわ」「よろしくお願いします、ていうかこうなったのあんたのせいなんですけどねえ!?」「その事は謝ってるだろこっちが下手に出りゃ調子乗りやが、あいた!何すんだ………よ、よう白夜叉。な、なんか様でございましょうか?」「………大国主の件を終えたらツラ貸せ」「な、なんか口調違うくないで…………ああああ、はい今すぐ終わらせてきますんで少々お待ちをおおおおお」「ふう──これで治療は問題ないじゃろう。お、七花気が付いたか」

 

「ああ、ついさっきな」

 

本当は少し前から気付いてはいたが、色々と今までの人物像が崩れ去りそうな会話を流すので精いっぱいだった。

体は軋み、動かすのには痛みを生じた。包帯やギプスで固定されている姿は体は満身創痍と言っても相違無かった。そんな体に眉を寄せつつ白夜叉に訪ねた。

 

「白夜叉。勝負はどっちが勝ったんだ?」

「………全く起き抜けに聞くことがそれかの。勝負はお主が勝ったよ。」

 

白夜叉が溜息を吐きつつ答えた回答に、七花は安堵を感じていた。あの時の七花はアドレナリンや出血による一種の興奮状態で、夢か現かを早いうちに確認しておきたかったのだ。

そんな七花の心中を知ってか知らずか、白夜叉は諭すように続けた。

 

「まずは傷を癒すが良い。次に目が覚めた時には恐らく合宿の報酬と武御雷の阿保からのお詫びと報酬が貰えるだろうからのう。楽しみにしておくがよいぞ」

「合宿はともかく、なんで武御雷が俺にそんなもんくれるんだ?」

「ギフトゲームの形でお主と闘ったのじゃ当然であろうよ。それに黒ウサギのコミュニティのメンバーを危うく死なせかけてしもうたからの。あ奴の事は私が嫌といっても聞かせるから心配はいらん。勿論代表としての儂からもなんらかの形で詫びをするつもりじゃ」

「あんた……そういう……立場だった…け?」

 

七花は寝入ってしまいそうなのを無理して尋ねた。そんな七花が珍しかったのか苦笑して白夜叉は答えた。

 

「当然じゃ。サウザンドアイズ所属だった『ペルセウス』と五桁の『サラマンドラ』が合同訓練なぞ初めてのことじゃ。それを主導した人物が階層支配者だったという方が両方の利があるの……っとさすがに聞いているのも限界じゃったか……」

 

七花は話が病床の七花の理解の限界を超えたため、頭が受け入れを拒否して寝てしまっていた。そんな七花をやれやれと頭を降って、白夜叉は小さな声で飾ることのない本音を漏らした。

 

「よくぞ生き延びてくれた。私と死合う前に死なれては困るからのう」

 

 

心中を僅かに零した元魔王は幼くも妖艶で、可憐でありながら目の前の標的に向けてその牙を光らせていた。

 




ところで、今話題なアカメが斬る!にしちりんがいたら中々面白くなりそうじゃないですかね?近いうちに活動報告にでも乗せてみたいと思います。

それでは感想欄にて批評質問などは待ってます!

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