問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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どうも徒釘梨です。

最近BLEACHを読み返してかなりハマってしまいました←オイ
そんなことしてないで本編書けよって自分でも思いました(笑)

実際この更新もかなりギリギリだったのでミスタイプとかあったら感想までよろしくです。

あと、今回の話は賛否が別れそうです。
そういう意味でも感想書いてくれたら助かります。


第二十六話 虚刀流、”完了”から更に先へ

ペルセウスの白亜の宮殿の食堂は正に葬式状態だった。矜持を捨て、闘気をかき集めて七花に挑んだ末に敗れたのだ。当然である。

 

「俯くな!!」

 

そんな沈み切った雰囲気を両断する者がいた。それは”サラマンドラ”の幼い頭主サンドラだった。

それを見た瞬間、兄であるマンドラは目を見開いた。この訓練のことは確かに伝えてある。しかし、サンドラは興味を持っていなかった。

正確には、持たせないように工作したのだ。サンドラが七花に対して尊敬のようなものを抱いていることは、マンドラも当然知っていた。だからこそ七花の部分はあえて伏せて伝えたのだ。サンドラがサラマンドラの皆から認められるリーダーであるように。自分本位で動くのでは無くコミュニティのために動くリーダーであることをさせるために。しかしサンドラは今ここにいる。

つまりそれは、とそこまでマンドラが考えたところでサンドラは続けた。

 

「私に黙ってこのようなことを進めていたことは不問とする。私への気遣いもあっただろうしな。だが、この体たらくは一体なんだ!!私達があのノーネームの方に劣っているのは、ペストとの闘いの際に理解させられただろう!」

 

サンドラは一度俯いていた全員を見渡して言葉を区切り、静かに告げた。

 

「私達はあの時何もできなかったッ!」

 

サンドラの声には無力さからの悲痛が滲んでいて、マンドラは頬をひっぱたかれたようだった。

確かにサンドラは幼い。故に経験も、知識も、力も足りない。だが、それは他が補える物だ。頭主として重要な上に立つ者の気概を既に彼女が持っている事にマンドラは気付きもしなかった。否、幼さばかりを気にかけて気付こうともしなかった。

周りの同士達を見れば、皆それぞれ思うところがあるのか渋い顔をしていた。

 

 

「いつまでもそうしているというならそれでもいい。だが、私は行くぞ。無力を嘆くのはもうたくさんだ。」

 

一向に訓練に行こうとしない彼らを見かねてか、サンドラはそれから振り返る事無く歩を進めた。

 

 

残された彼らに言葉は要らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかあんたが来るなんてな。予想外だったぜ」

 

少し意外そうに声を上げた七花に、サンドラは表情を緩ませて返した。

 

「そうでしたか?まあ予定にはありませんでしたしね。だからといって手を抜くなんてことはなさりませんよね?」

「それこそまさか、だぜ。だけどいいのか?俺は刀だ。手加減なんて出来ないぜ?」

 

七花は挑発を含めてニヤリと笑って構えた。サンドラはこちらも楽しそうに笑って構えてみせた。顔には先程までの年不風相応な表情は無く、可愛らしい子供らしい笑顔があった。

 

「勿論です。手加減なんかしたら丸焼きにしますっ!」

「ふーん。ならやれるもんならやってみろよ。ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな」

「八つ裂きですかッ!?」

「冗談だ、いくぞ」

 

二人は激突した。

 

しかし戦闘はそれほど苛烈を極めることはなかった。

 

 

距離が0になった瞬間にサンドラは地面に倒れていた。

投げられたと気付くまで少しの時間を要した。地面に倒されるまで完全に気付けなかった。そのことに驚愕しつつも悔しさが込み上げてきた。今の一本だけで力の差は嫌という程理解できた。

七花に起こされてサンドラも二本目に挑んた。

 

 

(近接戦闘ならこちらの方が圧倒的に不利かぁ………。まあわかってたけど思ってたよりも酷いなあ。それじゃあ方策はたった一つ!!)

 

サンドラは大きくバックステップしながら深く息を吸った。七花は動かずただサンドラの動きを注視していた。その事がカンに障り、サンドラは最初に予定していたよりも倍近い大きさの火球を放ってしまった。

 

(ヤバッ!!遠距離なら七花さんも攻撃できないし、闘いになると思ったけど、これは洒落にならないんじゃ!?)

 

放っておいてなんだが心配になったサンドラは爆風から目を守りながら伺うと、

 

「オイオイ、丸焼きって言っておきながら相手の心配か?余裕だなぁ」

 

側方から少し浮いた声の七花がいた。

ギギギ、と音をたてそうな動きで首を回して七花を確認するとニヤリと不敵な笑みを浮かべてサンドラの首に手刀を当てていた。

目でどうやって?と尋ねると七花は表情を少し締めて答えた。

 

「サンドラが出した炎はさ、楕円なんだよ。だから角の方は密度が薄いんだよ。炎を出した後は炎が邪魔で視界が不十分だろ。この二つのことが俺の奇襲を成功させた要素だな」

「え!?で、でもあれだけの大きさですよ!?躱し切ったんですか!!?」

 

サンドラは今度こそ驚きを隠くせないというように質問した。七花は表情を少し曇らせながら首を横に振って、着物の袖を持って見せた。

 

「躱し切ってないよ。ちゃんとよく見ろ。袖とか髪の先が焦げちまったよ。いや、サンドラの実力を見誤ってたな。気抜いてたのはこっちの方だったな」

(そこだけだったら充分無傷の範疇ですよ!!)

 

サンドラは大声で叫びたかったが、ぐっとこらえた。実力に差がありすぎるのだ、これ以上舐められたくないというちっぽけなプライドが幼い部分を七花に見せるのを抑えさせた。

サンドラは奥歯を噛んで苛立ちを隠し、七花から離れて構えた。七花もその様子から闘争心が萎えていないことが伝わり、距離を取って仕切り直した。

 

「三本目、お願いします」

「おう。それじゃあ三本目、いざ尋常に──」

 

始め

 

 

合図こそ最後まで言わなかったが、二人は同時に動き出した。

七花は当然前へ。サンドラは──空へ。

 

「(出来ればしたくなかったけど………これなら私が圧倒的に有利!!)この勝負もらいました………何してるんですか?」

 

サンドラが呆けてしまったのも無理なかった。

七花は視線こそサンドラに向けてはいたが、振るっている手刀は地面に向かっていたのだ。だが当の七花はいったって真面目に、不敵に言い放った。

 

「虚刀流は最強の剣術なんだぜ?いくらここが箱庭だからってそこは変わんねえ。そんな問題に対応してないと思ってんのか?」

 

 

 

 

 

鑢七花《虚刀流》の進化は此処から始まりを告げる。

 

 

 

 

 

 




書いていて思いました。

あれれぇ〜〜〜?サンドラちゃんてこんなにカリスマだったっけ?と。原作の可愛らしさが壊れたと思う方すみませんでしたッ!!m(__)m

次回も一週間後に更新したいです。

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