問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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どうも徒釘梨です。
最近、時間が取れなくて苦労しました。資格試験と学校の疲労が………(泣)


感想、批評、誤字脱字なんかはいつでも待ってます。


それではゆっくりしていって下さい


第十三話 虚刀流、少女に出遭う

「派手にやってくれたようじゃのう、おんしら」

「ああ。御要望通り祭りを盛り上げてやったぜ」

「胸を張って言わないで下さいこのお馬鹿様!!!」

 

スパァーン!と黒ウサギのハリセンが唸り、ジンは頭痛を堪えていた。

祭りの主催のサンドラは苦笑いだが、マンドラからのプレッシャーが強かったからだ。

なぜ彼等が運営本部にまで呼び出されているかというと、黒ウサギと十六夜のゲームで十六夜が時計塔を壊したからである。七花の勘は大当たりだった。

”ノーネーム”が白夜叉の連れ添いとして来ただけでも問題なのだ。ましてサンドラのお披露目も兼ねている今、苛々させることは間違いないだろう。

 

「ふん!”ノーネーム”の分際で我々のゲームに騒ぎを持ち込むとはな!相応の厳罰は覚悟しているか!?」

「これマンドラ、それを決めるのはおんしらの頭首サンドラであろう?」

 

白夜叉はマンドラの高圧的な態度を諌めるが、あまり効果は無かった。

そんな中で玉座から立ち上がり、サンドラは黒ウサギと十六夜に声を掛けた。

 

「”箱庭の貴族”とその盟友の方。此度は”火龍誕生祭”に足を運んでいただきありがとうございます。貴方達が破壊した建造物の一件ですが、白夜叉様のご厚意で修復してくださいました。負傷者が奇跡的にいなかったようなので私からは不問とさせていただきます。」

「へえ?太っ腹だな」

「うむ。おんしらは私が直々に協力を要請したからの。路銀と修復は報酬の前金とでも思っておくがよい。それに七花が瓦礫をいち早く掻き集めておったからの。その分他の家屋に被害が無かったしの」

 

マンドラは面白くなさそうに舌打ちをしていた。

黒ウサギは胸を撫で下ろしていたが、十六夜は少し眉を寄せた。

七花に借りを作ったような気持ちになったからだ。

件の七花は白夜叉の持つ恩恵により対して疲労しなかった為、また露天を見に回っている。

 

閑話休題。

白夜叉が警護の者達に目配せをさせ、この部屋にジン、黒ウサギ、十六夜、サンドラ、マンドラ、そして白夜叉だけにした。

するとサンドラは表情和らげ、年相応の少女となった。

 

「ジン、久しぶり!コミュニティが襲われたと聞いて随分と心配していた!」

「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」

「ふふ、当然。魔王に襲われたと聞いて本当はすぐにでも会いに行きたかったんだ。けどお父様の急病や継承式のことでずっと会いに行けなくて」

「それは仕方無いよ。だけどあのサンドラがフロアマスターになっていたなんて───」

「気安く呼ぶな、名無しの小僧!!!!」

 

和やかに話をしていた二人にマンドラは怒鳴り声になりながら、腰に差していた刀を抜き斬りつけた。しかしジンの首を斬り落とさんとしたその刃は、十六夜が足の裏で受け止めていた。

憤怒の感情を剥き出しにするマンドラと、薄ら笑いを浮かべながらも瞳は鋭いままの十六夜との間で剣呑な雰囲気が漂った。

 

「…………おい、知り合いの挨拶にしちゃ穏やかじゃねえぜ。止める気無かっただろオマエ」

「当たり前だ!サンドラはもう北のマスターになったのだぞ!名無し風情と馴なれしく接していたのでは”サラマンドラ”の威厳に関わるわ!この”名無しの”クズが!」

「マ、マンドラ兄様!彼等はかつての”サラマンドラ”の盟友!こちらから一方的に盟約を切った挙句その様な態度をとっては、それこそ我等の礼節に反する!」

「礼節よりも誇りだ!その様なことを口にするから周囲に見下されるのだと、」

「これマンドラ。いい加減に下がれ」

 

慌てて止めに入ったサンドラの仲裁にもなお熱くなっていたマンドラに白夜叉が呆れた口調で諌めた。しかしそれでもマンドラは止まらなかった。

 

「”サウザンドアイズ”も余計なことをしてくれたものだ。同じフロアマスターとしても越権行為にも程がある。『南の幻獣、北の精霊、東の落ち目』とはよく言ったもの。此度の噂も、東が北を妬んでのことではないのか?」

「マンドラ兄様ッ!!!いい加減にしてください!!」

「おい噂って何のことだ?今回俺達が呼ばれたことと関係あるのか?」

 

マンドラの失言に見かねて、サンドラが声を上げた。

だが、事情を知らない”ノーネーム”のメンバーは皆首をかしげていた。

白夜叉はギフトカードから一枚の封書を取り出した。しかし表情は厳しいままだった。

それを不審に思いながら封書を受け取った。確認した十六夜の表情には普段の軽薄さが無くなっていた。

 

そこには唯一文あるのみだった。

 

 

 

『火龍誕生祭に”魔王襲来”の兆しあり』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃七花はというと───

 

「しばらく見て回ったけど…………飽きたな」

 

そんなことを言っていた。

思えば自分から何かするって苦手だったなぁ、なんてベンチで身体を反らして考え、空を仰いでいると、声を掛けられた。

 

「ちょっといいかしら?」

「なんだぁぁ?」

「随分とやる気のない返事をするのね………」

 

そこには袖だけ大きいスカートを着た少女が呆れたように立っていた。少女はやる気のないと言ったが、七花は彼女に気付いていた。彼女の悪意を”なんとなく”把握していた。

 

「それで聞きたい事があるのだけど?」

「まあ俺にわかる事ならな」

「それじゃあこの街の名物と言ったら何かしら?」

「うーん、人に知られていなくて美味い店なら、この通りから右に曲がった所に屋台があるぜ。甘いものばっかだけどな」

「そう。ならおすすめは?」

「たいやきだな。あれは文句なしだった」

 

店長の性格はともかく、な、と心の中で呟いた。少女は少し笑って踵を返した。

 

「そう、ありがと。もし不味かったら……感染(うつ)してやるわ。それじゃ、またね《・・・》」

「いいじゃねーのか、そんぐらい。それじゃ連れの奴らによろしくな」

 

少女は少しぎょっとしたが、表情を厳しくしてそのまま歩き去った。少女の袖からは僅かに、目視も困難な程薄い黒い靄が出ていた。

 

 

視界からようやく例の少女が消えたのを確認して、七花は溜息をついた。

 

「嗚呼、面倒だ。いや、面倒になりそうだ」

 

 




どうでしたか?



さて次回は遂に斑ロリとの対戦となるのか?
そして七花と同じ世界からやって来る者とは!?

殺気、継ぎ接ぎ、異世界劇。
さてさて次回はどうなるのやら。


※一度やってみたかったんです。気に食わなかったら感想か評価でお願いします。

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