問題児達と一緒に虚刀流もやって来るようですよ?   作:徒釘梨

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すみません更新遅れました!!徒釘梨です。

体調不良でだいぶ参ってました。
季節の変わり目はホントにダメです………

それではゆっくりしていってください。


第十話 虚刀流、正体不明をあやす

「「「さてそれじゃよろしくメイドさん」」」

「は?」

「え?」

「………」

「え?じゃないわよ。だって今回のギフトゲームで活躍したのって私達だけじゃない?貴方達はホントにくっついてきただけだったもの」

「うん。私なんて力いっぱい殴られたし、石になったし」

「つーか挑戦権持ってきたの俺だろ。所有権は俺達で等分、2:2:3:3でもう話はついた!」

「俺は参加してないけどな」

「七花ァ……マジで覚えてろよ………」

「何を言っちゃってんですかこの人達!?しかも違う所で火花散らしてますし!!」

 

レティシアは起きてすぐに言われたことに反応できなかったが、黒ウサギはこれまでの経験で知っていた。(ジンもパニックに陥っています。空気ですけど)

黒ウサギは取り戻した同士に問題児達がふざけたことを言ったことはわかったので、すかさず恐らく無関心であろう七花に救援を頼んだ。

 

「元魔王たるレティシア様をメイドにするなど言語道断!七花さんからも一言言ってください!!」

「面倒だから俺いいや。そのめいど、だっけ?それはお前ら三人で決めりゃいい。黒ウサギも本人が了解するならいいんじゃないのか?」

「ん……ふ、む。今回の件では皆に恩義を感じている。君達が家政婦をしろと言うのなら、喜んでやろうじゃないか」

「レ、レティシア様まで!!??」

 

頼りにしていた七花にはふられ、尊敬していた先輩をメイドとして扱う未来に、黒ウサギは頭を抱え込んでしまった。

 

 

 

 

 

七花を含め、ノーネームの主力メンバーは荒涼と広がるノーネームの元農地にいた。

何故かというと、

 

「………本当にやるとはな」

「ったりめーだ。あんだけ焦らしたんだ、簡単に負けてくれんなよ?」

「…………………………嗚呼、面倒だ」

「オイオイ、やり合う前なんだ、もうちょいヤル気出せよ……」

 

以前十六夜が希望していた決闘をすることになったのだが、七花はあまり乗り気では無かった。

刀らしさが薄れ、人らしさを知りつつある七花にとっては、明確な敵では無い相手と闘う事に以前より消極的になっていた。だが、このこと以上に七花のやる気を削いでいたのは、十六夜を強敵として感じなかった(・・・・・・・・・・・・・・・)為である。

しかし、刀として戦闘が始まればそんなことは瑣末事である。七花も臨戦体勢に入った。

 

 

 

 

七花がやっと闘う気になった時、十六夜は思わず鳥肌と背中に薄ら寒さを感じた。

 

(ッハ、これが鑢七花の本領発揮ってことか……。いいぜ、それでこそテンション上がるってもんだぜ!!)

 

七花の威圧感に圧倒されつつも、十六夜は獰猛な笑みを絶やさなかった。

このままゲームが始まれば、下手をすれば殺し合いになり兼ねないとか考えた二人は、ルールを一つ設けていた。

ルールは単純。『一撃入れた方の勝ち』である。

審判役を頼まれた黒ウサギは心配そうな顔で右手を高く上げて軽く目を瞑った。そして、迷いを断ち切るように勢い良く振り下ろした。

 

 

初めに飛び込んだのは十六夜だった。

 

(七花の武術の腕は半端じゃない。なら俺は人間には有り得ない速度で仕掛けられる、この初激で決めるのがベスト!!)

 

第三宇宙速度で先制を繰り出した山河をも砕く右手の一撃はしかし、当たることなく空を切った。

これには外野も驚愕だった。黒ウサギ達は十六夜が飛び出した段階で、十六夜の勝利を半ば確信していたからだ。

十六夜が思考を通常の状態に戻そうなどとさせないように、間髪入れず、

 

「鏡花水月!!」

 

いつの間にか十六夜の右側にいた七花は片手を肩の高さで伸ばし、もう片方を腰骨のすぐ横に付けた構え───一の構え”鈴蘭”から掌底を繰り出した。余りの事に目を見開きながら十六夜は左側から地面に付けた。

 

「んじゃまあ、俺の勝ちってことで、勝負ありだな」

 

十六夜は七花のいつもどおりの表情に悔しさを感じていた。

 

 

 

とある時代のとある場所で、一人の奇妙な女がいた。

その時代、その国においてはたいへん珍しい金髪碧眼の外来人であったからでもあるが、それ以上に、とある面が違和感を際立たせていた。

『不忍』

その僅かに血痕のついた面は女の魅力を損なうことはしてはいなかった。

 

「さてさて、今頃七花君は一体何をやっているのかしら?まあ彼の相手になるやつなんて、もう異世界にでも行かない限りいないんでしょうから、無事だとは思うんだけどねー」

 

女は指名手配されていたはずのお尋ね者だったが、毎回の復権の際の伝手でそれをなくし、自由に生活していた。

女は扇子で口元を隠してはいたが、確かに笑っていた。

 

「七花君。本来の貴方はここで記録無き者となったけど、否定するわ〜。腐らすのは勿体無いもの。私の儲けのために使わせてもらいましょうか。大衆受けしそうな題材でもあるし、ね」

 

ふふふ、と女は笑う。

仇であるはずの男に対してしかし、あまり報復の気持ちを起こさなかった事を最後まで疑問に思いながら、空の月に向けて杯を傾けた。

 

七花のあずかり知らぬところで物語は進行されていた。




誤字脱字、感想待ってます。

追記
まだ風邪が治り切っていないので、次の話は遅くなるかもしれません。

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