M県S市杜王町在宅のとあるスタンド使いの日記   作:BサインからCサイン

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Take 3

 

○月S日

 

 

結局、スタンドの名前は決まらなかった。通学路の変な岩には『アンジェロ岩』っていう名前がついていたけどね。

今日は形兆の家で他愛もない話をした。

形兆にとっては他愛もないことかもしれないが、俺にとっては感動モノだ。

だって今まで経験したことなかったもん、知り合いと話すなんて、二分が限界だったのに…これが成長って奴か……はっ。

”成長する”という意味を込めて〈リトル・グロウス〉というのはどうだろうか!

なんかカッコ悪いな…それに本当に成長するのかもわからないし。

もう少し頭を捻るか……。

 

 

 

○月E日

 

 

今日は放課後に形兆の家によった。

形兆いわく、家ではなく館らしいけど別にどっちでもいい。住んでいることに変わりはない。

玄関を開けて家の中に入ったが、形兆はいなかった。残念。

壁に隠してあった矢と弓がない、どうやら他のスタンド使いを探しにいっているみたいだった。

むなしい。

いないのならしょうがないな、と思って家を去ろうとしたとき、上…屋根裏からガリッ、ジャラジャラ…引っ掻くような音と金属を引きずるような音が聞こえて来た。

音のする方を確認すると、屋根裏に部屋があった。

……何かいるのか?

恐る恐る部屋を開けると、そこには気味の悪いバケモノがいた。

オマケに俺の足を掴もうとしてきた。びっくりした俺は『スタンド』にバケモノを殴らせた。

スタンドに殴られたバケモノは首と胴体がポロリと取れてしまい、ブギュー!という叫び声をあげた。

ま、まさかそんな簡単に取れるなんて…もしかして俺のスタンドはパワーがものすごく高いんじゃ……。

びっくりして固まってしまっていると、バケモノから首が生えてきて、しかも自分の首を食ってしまった。

ピッ〇ロかこいつは…ナ〇ック星人か?と思ってしまった。

そのとき、すごい勢いで形兆が部屋に入ってきた。そして俺とバケモノを見ると険しい顔で俺を睨んできた。

 

「てめェー…見てはならねェモノを見やがったなァー」

 

そういって形兆は〈バッド・カンパニー〉を出現させた。歩兵たちが俺に向かって銃器を構えた。

え?俺に攻撃するの?違くね?

 

その後、なんとか形兆を落ち着かせることに成功した。

スタンドがなかったら死んでいた……うまいこと壁とかを使ってかわせたからよかったぜ…。バッド・カンパニー強すぎだろ……。

明日もう一度ここで説明すると言われ、家に帰った。

最後に”弓”と”矢”はもっと別のとこに隠しておけよと言っておいた。

 

 

 

 

○月P日

 

 

形兆の家で説明を聞いた。

あのバケモノは形兆の親父さんらしい。

……え?どゆこと?

小さいころ、形兆の親父さんはカネ欲しさにDIOって奴の手下なり、そしてその代償に”肉の芽”ってのを埋め込まれたらしい。そしてそのDIOが死んだことで”肉の芽”が暴走してあんなバケモノになってしまった。

バケモノになってしまった親父さんは不死身になってしまい、オマケに形兆と弟のことを家族だと思い出せなくなってしまっている。

形兆は肉の芽を埋め込まれた親父さんを「普通」に死なせてやりたいと思い、親父さんを殺せるスタンドを持つスタンド使いを探しているのか。そのためならなんだってする。もう何人も人を殺してしまっている…か。

…形兆は泣いていた。当然か、自分の親父がこんなになってしまったんだからな……。

でもさ形兆。親父さんを『治そう』とは思わなかったのか?親父さんを元の人間に戻してやることはできないのか?

形兆は首を横に振った。形兆いわく、「闘争心」や「守ろうとする」意志で生まれるスタンドに『治す』能力を持っている奴がいる確率は砂漠で一粒の砂を見つけ出すに等しい、らしい。

…俺は、形兆の願いを叶えてやりたいと思った。

その日は一つの”約束”をして家に帰った。

 

 

 

○月K日

 

 

今日は形兆の家に行かなかった。

俺は形兆の願いを叶えてやりたい。だが俺のスタンドがどんな能力を持っているのか、俺はまだ知らない。

そもそも形兆の親父さんの生態にはわからないことが多すぎる。

どうすれば親父さんは死ぬんだろう。

どうすれば親父さんは元の姿に戻るんだろう。

”肉の芽”はDIOの不死身の細胞らしく、今の親父さんはDIOの細胞と一体化してしまっている。

肉体ごと消滅させれば死ぬのか?

肉の芽を体から取り除くことができれば元の姿に戻るのか?

わからない……。

俺のスタンドは人型のエイリアンの姿をしている…もしかしたら光線とかを出せるのかもしれない。

ためしにスタンドに家の庭に生えている”木に向かって攻撃しろ”と命令してみた。

「ウオリャァ!」

と叫びながら木を殴りつけた。木は折れたりもせず、少し殴ったとこの皮がえぐれているだけ。

パワーはそこまで強くはないみたいだ。

ていうかお前、喋れたのかよ。

 

 

 

○月V日

 

 

どうやら俺とスタンドは意志を共有できるらしい。形兆も〈バッド・カンパニー〉も同じらしい。

その後、俺のスタンドの名前についての話になった。なかなか決まらないんだよなーって言ったら

 

「いつになったらお前のスタンドの名前は決まるんだ?」

 

と形兆に言われてしまった。若干呆れた感じが混じっていた。

早く決めよう。

でも、もうそこまででっかかっているんだけどなあ…もう少しで名前ができそうなんだけどな……。

 

 

 

○月N日

 

 

今日も放課後、形兆の家に向かった。

あれ?玄関に誰かいる……?

物陰から潜むようにして見ると、そこにはクラスメイトの東方と形兆の弟がいた。

お互いにスタンドを出してバトルしているように見えるけど……あいつらのスタンドカッコいいな。

にしてもあいつらはなんでバトルしているんだ?ん、玄関から顔が見える……。

目をこらして見ると、玄関の向こう側には”矢”で体を貫かれた広瀬がいた。

形兆がやったのか?早く矢を抜かないとヤバいんじゃないのか?死にかけてるぞ?

 

 

どうしようかと焦って玄関を見ると、いつの間にか玄関には誰もいなかった。どうやら慌てている間にだいぶ時間が過ぎてしまっていたらしい。

扉が開いている、恐らく家の中に入ったのだろう。

何が起こっているのか知りたくなった俺は、玄関からこっそり中に入った。

階段に血が引きずられた跡があった。ゴクリと唾をのみ込み進んでいくと、二階に壁に沢山穴が空いていた。形兆の〈バッド・カンパニー〉……?

反対側の壁はほとんどが吹き飛んでいた。まるで爆発でもあったみたいに、これはアパッチと戦車だな。

にしても誰もいない…いや、屋根裏の部屋から声が聞こえた、東方と形兆のモノだけど…せっぱつまっているような感じがする…何が起こっているんだ?

もしかして、このまま屋根裏に行くのは危険かもしれない。

俺はスタンドを屋根裏の部屋に向かわせることにした。能力も不明で力も強いわけじゃないスタンドだけど、俺が直に行くよりは絶対に安全のはずだ。

スタンドが見たモノが頭に流れ込んできた…形兆の弟…顔から血を流している形兆…広瀬と同じように血を流している東方…そしてコンセントがバチバチといっている…!

そして、形兆が弟を庇って腹を貫かれた。形兆を攻撃したのは電気を纏った『スタンド』だった。

さらに形兆が持っていた”弓”と”矢”ごと電気になっていき…スタンドにコンセントの中に引き込まれようとしていた。

俺はスタンドで『スタンド』を突き飛ばした。

その衝撃か、形兆は電気から元の姿に戻った。

全員がいきなり俺のスタンドが出て来たことに驚いていた。だけど『スタンド』はその間に”弓”と”矢”を持ってコンセントから逃げ出してしまった。

 

電気に触れた痛みが俺に襲い掛かって来た。しかも俺の近くにあるコンセントがさっきみたいにバチバチといっていた、さっきの『スタンド』が俺の方に来たのか。

俺はすぐさま形兆の家から脱出し、自分の家に帰った。

家のコンセントにゴムを張りつけておこう。ゴムは電気を通さないというしな。剥がれないようにテープで固定しておかないと……

よし、たぶんこれで大丈夫だね。

 

 

 

○月W日

 

 

形兆の傷が治っていた。東方のスタンドの能力で治ったらしい。

よかったな形兆。

 

 

 

 




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