M県S市杜王町在宅のとあるスタンド使いの日記 作:BサインからCサイン
あ、活動報告にてコメントもらえると嬉しいです。
△月F日
昼休みの終わり頃、教室に向かっているとその途中で中等部の生徒を見かけた。
この前仗助たちと一緒にいたやつだった。しかも全身が焼け焦げたようにボロボロだ。
何があったのか声をかけると、仗助のとこへ行かなくてはといって俺の腕を振りほどいて教室に体を引きずるようにしてゆっくりと進んでいった。
本当に何があったんだ?と疑問に思っていると、反対側の窓に知らない人影があった。学校には相応しくない大人だった、スーツを着ているが、この学校の教師はある程度ラフに着崩しているから関係者ではない。
しかも、その男の側には『スタンド』があった。
まさか!と思い慌ててさっきの生徒を捕まえた。
それはその生徒がドアノブを掴むのと同時だった。
その瞬間、窓の向こうからこっちを見ている男の口元がつりあがり、ニヤリと笑った。生徒はドアノブをがっちり掴んでいた、手を離させるには時間がかかる。
とっさのことだった。死から逃れようとする本能が俺の身体を動かしていた。
〈I's〉でそいつの分身を作り、”ドアノブを掴んでいる生徒”と”廊下で倒れ込む生徒”ができる。
そしてその瞬間、”ドアノブを掴んでいる生徒”の身体が内側から爆発し、消えてなくなった。
〈I's〉のスタンド能力で生徒は七割のフィードバックで気絶してしまった。しかし……もしあのとき動けなかったらと思うと…ゾっとするな。
もとからの傷の量も酷かったので、もう一つのドアから教室に入り、急いで仗助に生徒の傷を治してもらった。
この生徒の名前は矢安宮重清。中等部の生徒で”ある一件”で知り合ったらしい。
傷が治った矢安宮重清だったけど、安心したのかその場で倒れてしまった。
死んだわけではないので、とりあえず承太郎さんにこのことを知らせて重清を家に送って行った。
……にしてもまさか、あのときの男が…殺人鬼なのか?
△月I日
矢安宮重清から昨日何があったのか聞き出した。
その場にいたのは俺の他に仗助や億安に康一、形兆と承太郎さんに露伴先生、山岸由花子や間田先輩にトニオさんやジョセフさんに鍋島寧々、そして杉本鈴美。
昨日重ちーが出会った男の名前は吉良吉影。”サンジェルマン”のサンドイッチの袋に”人間の手”を入れていたところを見て戦闘になったらしい。
吉良吉影のスタンド能力は”触れた物を爆弾に変える”というもので、100円玉やドアノブを爆弾にして矢安宮重清を殺そうとしてきたらしい。
爆弾にされた物はその見分けはつかないし、爆発したモノは証拠の跡すら残らない…警察はこれでも動かないだろう、が。
これでSPW財団は動いてくれる。他のスタンド使いのみんなも。
それに正体がわかっているならすぐに奴の居場所を突き止め、捕まえることができるだろう。
矢安宮重清の証言で奴のスタンドのことも把握している。奴のスタンドなら俺の〈I's〉でも太刀打ちできるだろう。
とにかく、これからは注意して行動しないといけないな……。
△月R日
朝、いつもより早起きしたので家付近を散歩することにした。
すると新聞配達のバイトをしている形兆が向こうから自転車に乗ってやってきた。
バイトがてらに”吉良”の表札の家を探しているらしい。
頑張れよと声をかけると、帽子を深く被って走り去ってしまった。
すれ違う間際に聞こえた”ありがとよ”の一言がいつもより俺を元気にさせてくれた気がする。
今日から通学する際は、なるべく一人にならないようにすることになっている。
俺は間田先輩と、矢安宮重清こと重ちーと一緒に通学した。
あの一件で彼を助けたことがきっかけで仲良くなったからだ、他のみんなともそれなりに良好な関係が築けているようだ。…一部を除いて。
それと放課後に、赤ん坊を抱っこしたジョセフさんと出会った。
親が不明ないわゆる”捨て子”だったようで、親が見つかるまでジョセフさんが面倒を見ているらしい。
頑張るなあ、ジョセフさん。
△月B日
山岸由花子がカフェでお茶をしていた。
なんか康一のことで悩んでいるようだったけど、俺には関係ないことだろう。
大体恋愛経験のない俺に色恋沙汰で役に立てることなんてあるわけがない。
まあ、康一に危険がないことを祈ろう。
△月L日
康一が山岸由花子と”キス”をしたらしい。
……まさに”スタンドも月までぶっとぶこの衝撃”、思わず飲んでいたサイダーを吹き出してしまいそうになった。
にしても、いったい何があったんだろう?
たった一日でここまで人間関係が変わるモノなんだろうか?正直羨ましい。
なんか康一まで山岸由花子のことを好きになってるし…これが相思相愛というやつなんだろうか?
今日は億泰を慰めるのに少し時間がかかり、帰りが遅くなってしまった。
………億泰は、恋愛事にある程度耐性をつけたほうがいいと思う、いや結構マジで。
いちいち泣かれたら、キリがないし。
△月M日
吉良吉影の家が判明した。
杜王駅から車で約15分。杜王グランドホテルから北へ広がる海岸線には年間20万人から30万人の観光客のおとずれる侍の時代より続く別荘・リゾート地帯がある。
そのはずれに、吉良吉影の家は存在していた。
承太郎さんによれば、吉良吉影が会社から帰宅するのは遅くても夜の8時、早くても6時までは必ず会社で働いているのだという。
今回家で吉良吉影の手掛かりを探していたのは俺を含め5人、仗助たちである。
重ちーの証言によるモノと承太郎さんSPWが調べて上げた情報。
それにより発覚したのは吉良吉影の顔や働いている会社の情報など、俺たちは吉良吉影が殺人犯であると明白になるような”証拠”を探すためにあの吉良吉影の家におとずれたのだ。
だがしかし、家の中を探しても探しても”証拠”となる物はまったくでてこない。
どうやら吉良吉影は自分が平穏に生きるために、殺人犯だと発覚するような証拠はいっさい残していなかったようだ。
出てきたのは健康のためになる本、作文や学生時代のトロフィーや賞状、しかもその全てで3位を取っていた。
目立たないために吉良吉影が”あえて”3位を取っていたのだとしたら……もしやあいつは1位を取る実力も持っていたんじゃあないだろうか?
それからさらに家の中を調べること数十分、とんでもない物が出てきたのだ。
吉良吉影の部屋の引き出しから奴の”大量に切った爪”が出てきたり、”爪が伸びた時期に合わせて殺人を行っていた”であろうノートが出てきた。
しかしこれは有力な証拠にはならない、この時期に合わせて殺人を行ったであろうというのは単なる”憶測”でしかないからだ。
そう思ってガッカリしたのも束の間、突如部屋にあったインスタントカメラが勝手に動いたのだ。
そして、カメラから出てきた写真の中に、”吉良吉影の父親”が出てきたのだ。
奴はここで俺たちを始末しようと、”写真の中で起きた出来事を現実で起こす”能力で俺たちを攻撃してきた。
写真を破れば撃退できると思ったが、なぜか素手では破れない、スタンドでなら破けるかと思いきや、吉良吉影の父親と俺たちの距離が近すぎて、破こうとすれば巻き添えをくらってしまう。
絶体絶命!かと思いきや、これを阻止したのが承太郎さんだった。
承太郎さんは吉良吉影の父親”だけが”写っている部分をインスタントカメラで写し、その写真の中に移したのだ。
そして一人だけ別の写真に移った吉良吉影の父親の写真を折り畳み、さらにテープで固定し、写真の中に閉じ込めたのだ。
しかし、ほっとしたのも束の間、玄関で戸が開く音がしたのだ。
慌てた俺たちはとっさに息を潜め、部屋の影から玄関の様子を窺った。
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しかし、いくら待っても誰かが入る気配はない……警戒を緩めず、俺は玄関の方へゆっくりと向かっていった。
見れば玄関には誰もいなかった、戸は開きっぱなしだったけど、人が入ってきた跡もなかった。
が、よく見れば床に何か落ちていた、〈I's〉に確認させ拾うと、それがただの100円玉であることがわかった。
そしてその直後、100円玉を掴んでいた〈I's〉の身体が爆発した。当然そのダメージは俺にも襲い掛かってきた。〈I's〉と同様、俺は身体のほとんどを爆破されていて、地面を這うことしかできないほどのダメージを負ってしまい、そのまま意識を手放した。
目が覚めると、俺の身体は仗助の能力で治された後だった。どうやら俺が気絶している間に事は終わってしまっていたらしい。
吉良吉影の父親は隠してあった”矢”を持って逃走した。
なぜ回収したはずの”矢”があったのか?承太郎さんによれば”弓”と”矢”は一組だけではないらしく、吉良吉影の父親が持っていた”弓”と”矢”は形兆のとは別物らしい。
俺は自分の身に起こったことを報告した。玄関には誰もいなかったこと、落ちていた100円玉が爆発し気絶していたこと。
どうやら、吉良吉影は早く帰ってきたらしい、玄関に誰もいなかったことと、100円玉の罠から考えれば、俺たちがあいつを探していることはバレているだろう。
吉良吉影もその父親も、もうこの家には帰ってこないだろうけど……ねんのために注意しておいた方がよさそうだ。
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