「文弥っち聞いてくれ!亜夜子ちゃんが魔法で相手のボールをゴールにシュゥゥゥゥゥゥッ!!」
超エキサイティン!!
「昼寝から起きたと思ったら、いきなり何言ってんの」
「ごめん、衝撃的な夢を見ちゃってさ、最後は亜夜子ちゃんがニッポンニッポンニッポンポンポン!って踊ってたよ」
あれは恐怖であった。
「私の肖像権が著しく損害されてる気がしますわ」
亜夜子ちゃんの諦めたかのような溜息が印象的だった。
現在、四葉本家の訓練場?見たいなところに向かっております。
ちょっと離れたところにあるので、車で助手席貢さん、後部座席、文弥君&俺&亜夜子ちゃん、運転席名も知らぬナイスミドルという席で向かっています。
ずっと屋敷の中にいるのも暇なんで外出てみたいと言ったら、あっさり出れました。
言ってみるもんだね
で、私は昨夜、徹夜で文弥君とヴァンガードをやっていたので、車の中で爆睡してしまい、冒頭に至る。
「文弥君は眠くはないん?」
「僕は仕事柄夜には強いから」
文弥君、というより黒羽家はスパイ?諜報?みたいな事を生業としている家のようで、夜通しで潜入任務を行う事もざらにあるらしい。その関係で夜寝ずは大した労力ではないようで
今度、差し入れに段ボールとエロ本を持っていこうと思う。(無限バンダナは物理上不可能だし)
「おのれ、今度はそちらのマジェスティには負けぬ」
「むしろ、インビンオバロなんていうピーキーデッキであそこまでやれた事に僕は驚きなんだけど」
ほぼ毎ターンオバロのスキル使えるって強くね?今は混合デッキ使えないみたいだけど
「やっぱ、トリガー事故がなぁ」
「序盤のドロートリガー不発は響くよね」
と、文弥君と二人で会話に花を咲かせていると
「ふ~ん」
亜夜子ちゃんが目を細めながらこちらを見てきた。
あの日以来、普通に話しかける分には対応してくれるようにはなったけど、どうにもぎこちない気がする。
「あやこがなかまになりたそうなめでこちらをみている!
なかまにしますか?」
「べ、別にそんな目で見てませんわ!」
「姉さん・・・・・・」
「文弥!なんですのその目は!?」
そういえば、昨夜チラッと聞いたけど亜夜子ちゃんは自分の得意魔法が見つからず悩んでいるそうな
「亜夜子ちゃん」
「?」
「瞬間移動ですの!」
無言でほっぺをつねらないでいただきたい。
「あなたという人は~~っ!」
「いふぁいっす」
「痛くしてるんです!」
「・・・・・・」
騒がしい後部座席を尻目に貢はじっと考えていた。
(真夜さんも何を考えているのか、こんな実験体を訓練場に連れていくなんて)
彼女から少年の境遇と経緯は聞いている。
所詮、彼は使えると思われたから生きている。下手に手を出せないから生きているだけでそれ以上でもそれ以下でも無い筈だ。
なのに、当主は必要以上に少年を気にかけている気がする。
(気にかける程の価値があるとは思えないが)
と貢はちらりと少年を見た。
彼は亜夜子の腕に緑色の腕章?をつけようとしている。
亜夜子は全力で拒否しているようだが、
「これをつければ瞬間移動が使えるようになりますの!」
「ウソばっかり・・・・・・ってどこ触ってますの!?」
貢は静かに毒蜂の魔法式を組み立て始めた。
あれ?達也に会う前におわった・・・・・・だと?
もう少し頑張ります。