となると、どうやって主人公と達也を会わせよう・・・・・・
~ある日~
「あ、亜夜子ちゃ~ん」
「っ!ふんっ」
おや?
~また別の日~
「あ~や~こちゃん」
「失礼しますわ」
あれ?
~またまた別の日~
「亜夜子ちゃん?主人公ですの!」
「さよならっ!」
あれれぇ?
あの日からしばらく経っていますが、亜夜子ちゃんが露骨に俺の事を避けているでござる。
これは由々しき事態
「というわけなんだ。どうにかしてくれ文えもん」
「誰が文えもん?しかもそれ完全に自業自得だよね?」
女中さんが持ってきてくれたマドレーヌを食べながら、だべる俺と文弥君
年が近い同性ということもあって、文弥君とは馬が合う。
少なくともこうした冗談が言えるくらいには
なんか、大人の事情でしばらくこちらに滞在することになった。黒羽家の三人だが、まともに俺と話してくれるのは、文弥君だけで、亜夜子ちゃんは前述の通り避けられてるし、貢さんからはそれこそ殺しそうな目で見てくる。
めちゃくちゃ怖いのでやめて欲しい。ちびりそうになる
「少なくともある程度は仲良くしたいわけですよ。」
「ちゃんと姉さんに謝った?」
「それはもう、文弥氏も見てたであろう?俺のすがすがしいまでの土下座を」
「それは、父様にビビってでしょう?それからだよ」
「話した通りで取り付くしまもない」
とここで少年はがっくりと肩を落とした。
その姿は文弥には本当に落ち込んでいるように見えて、少しは力を貸してやるかなという気になる。
「いじり倒すネタ200は考えているのにっ・・・・・・!」
このセリフさえなければ
「う~んここはゲームキューブ版スマブラでボム兵をキャッチ&リリースするしか」
「ちょっと父様に話してくる」
「ウソウソウソだってば!?待ってぇ!!」
そんなに怖かったのか
文弥は若干親バカ気味の自らの父を思い浮かべながら、袖を必死につかむ少年を見る。
「わかったよ。僕の方から姉さんに話してみるよ」
「マジで!?ありがてぇありがてぇ」
施しを受けた修験者のように大げさに頭を下げる少年に文弥はしかたないなぁとでも言いたげに息をついた。
なんだかんだ言って文弥は面倒見がよく、少年を放っておけないのだった。
「謝りたいですって?」
「そう言ってたよ。本当に反省してるみたい」
だから、話だけでも聞いてあげてやってくれない?と文弥はベッドに横になりながら雑誌を読んでいた亜夜子に話した。
「ふ~ん、まぁ別に私は気にしてなんかいませんけど?ど・う・し・て・も・というなら話だけなら聞いて差し上げますわ」
いや、めちゃめちゃ気にしてらしたじゃないですか
文弥は喉まで出かかった言葉を間一髪で飲み込んだ。
ぶっちゃけこれ以上、あっちこっち板挟みにされるのも疲れたしさっさと仲直りしてほしいというのが彼の偽らざる本音であった。
「彼は部屋にいるそうだよ。」
「わかりましたわ。わざわざありがとう」
ちゃっかし、準備を済ませていた亜夜子は手をヒラヒラと振った後、自部屋を後にした。
先に言っておくと、彼の少年は全く悪くない、かといって亜夜子が悪いわけでもない。
ただ単にタイミングが悪かっただけなのだ。否、天候が良すぎただけなのだ。
今日は非常に気温が高く、ちょっとシャワーでも浴びてさっぱりするかとたまたま思っただけなのだ。
つまり・・・・・・
「失礼しま・・・・・・す」
「げ」
彼は、一糸纏わぬ全裸で亜夜子を迎える事となった。
「き」
「ふ」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「普通逆じゃねぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
とメタ的な事を叫びながら、彼は本来の目的を思い出すが
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
時すでに遅くもう部屋から逃げてしまっていた。
否!まだ間に合う!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
彼は走った!彼の暴虐の王がいるわけでもセリヌンティウスがいるわけでもないが、とりあえず彼は全速力で駆ける!
全裸で
「亜夜子ちゃぁぁぁぁん!!」
「いやぁぁぁぁ!!来ないでぇぇぇぇぇ!!」
「すまんかったぁぁぁ!!謝るからぁぁぁこの通りぃぃぃぃっ!!」
「わかりましたからとりあえず服を着て下さいぃぃっ!!」
全裸で少女を追いかけまわす少年
完全に変態の領域に全身どっぷり浸かってしまっているが
「ん?亜夜子どうし・・・・・・何しとんじゃ貴様ぁぁぁぁっ!!」
「げぇっ!貢さん!?」
貢の登場により、更に状況は混沌になる。
貢にしてみれば、目に入れても痛くないどころかむしろ目に入れたいぐらいかわいがっている娘が泣きながらこちらに来るものだから何かと思えば、昨日の子供が全裸で亜夜子を追い回しているではないか!
反射で毒蜂を使わなかった自分を誉めてやりたい
「いや、これは今までしたことを謝ろうと」
「貴様は人に謝罪するとき全裸なのかぁ!?おぉう!?」
「人間生まれるときは皆全裸」
貢は全力で毒蜂を叩き込むことに決めた。
てか貢さんキャラ変わりすぎです。
「文弥君どうしよう」
翌日、頭を抱える少年に、もう知らんとばかりにクッキーをほおばる文弥の姿があったとか
大人の事情=作者の都合
やっべ、黒羽姉弟がいるとめちゃくちゃ話書きやすい
因みに、毒蜂は当たる寸前にハエになってどっかに飛んで行きました。