誠に申し訳ありません。
これもヴァンガード熱がとんでもない事になってしまったせいです(白目
気がつけばヴァンガード小説のプロットばかり考えてると言うね、しかも結局短編書いちまったというね!
良ければ読んで行って下さい。と巧妙なステマ(笑)をしてみます。
更に今回は原作の設定を一部変更している所がございますのでご了承ください。具体的に言うと七草と九島が凄くなってます。
この世界には推定何万、何十万の魔法師がいる。全人口に比べれば微々たるものだがそれでも膨大な数だ。
そして、その中でも最も優れた魔法師には恐れと畏怖を込めて大仰な二つ名と共にこう呼ばれる。
『世界最強』と
今現在の魔法社会でそう呼ばれるものは何人かいるが有名なのから挙げて行けば
USNAの魔法師部隊『スターズ』の総隊長にして戦略級魔法師の一人、アンジー・シリウス
日本の十師族の一家四葉家の当主にして『夜の女王』と呼ばれた四葉真夜
同じく十師族七草家の当主にして『隻眼の死神』と呼ばれ頭角を現している七草弘一
そして、一切の所在、人種すら分からない『死霊使い』という名前で呼ばれている正体不明のある魔法師
などが良く名前に上がるが、二十年前まで世界最強という称号は一人の魔法師を指し示す言葉だった。
その魔法師の名は九島烈、十師族という制度を作った張本人であり、かつてトリックスターと呼ばれ世界最強と呼ばれたまま第一線を退き、家督を息子に譲った後人前に姿を見せる事は殆どなかったと言う。
だがこの九校戦だけは欠かさず毎年見に来ているらしく、その九島烈『老師』の挨拶が始まろうとしていた。
「く、首ががが」
「大丈夫?」
「おう、相変わらず手加減がないお嬢さんだよ」
雫ちゃんの心配そう、かは表情の変化が乏しくわからないが、彼女の声に首を軽く回しながら俺は応える。
ぶっちゃけ心配してくれるだけかなりありがたい。なぜなら
「残念でしたね。あなたはまだまだコンドル野郎ということですよ」
とニヤニヤ笑いで言ってくる同居人やら
「ちくしょう、大穴で賭けたのに」
「最後は二十倍くらいになってましたね」
「まぁ、諦める事ね~。自分の見る目の無さを恨みなさい」
知らぬ間に始まっていた賭博の結果に夢中で俺の事なんて歯牙にもかけない連中ばかりだからだ。ちくせう
ていうかヒデノリ達はなんで助けてくんなかったのさ
「バカ野郎、こっちも大変だったんだよ」
「そうだ!大変というか変態だったんだよ!」
はい?なんのこっちゃ?
詳しい事を聞こうとしたが、照明が暗くなり、ステージにスポットライトが当たる。どうやら偉い人の話がはじまるようだ。
がステージに上がってきた人物を見て会場はざわめきに包まれる事になる。
「あれ?」
「……どういうことだ?」
ステージの裾から出てきた人物は齢九十になる老人ではなく、パーティドレスに身を包んだ若い女性だったからだ。
(いやいや、後ろにお爺ちゃんがおるやん)
スポットライトの陰に隠れて上手く姿を隠しているが女性に後ろに白髪の老人が立っているのがわかる。
みんな気付いてないようだし教えてあげるかと思った矢先
(あれ?お爺ちゃんがいきなりジャンプした?)
その直後、会場にいる者たちは度肝を抜かれる事になる。
(会場全体に作用する精神干渉魔法か)
すぐそばに目立つ物を置いて意識をそちらに向けさせる魔法というより手品の手法に近い。だが薄く広く展開された魔法はそれゆえに感知されにくい。
古式魔法を踏み台に発展した『九』の魔法らしく古式魔法特有の感知されにくい結界にも似た魔法構築はまさに世界最強と呼ばれた魔法師に相応しい技量であった。
達也は
が次の老人の行動は達也の思考をもってしても理解のしがたいものであった。
烈は未だ自身の精神干渉魔法が効力を発揮している段階で跳躍の魔法を行使し、人間の跳躍力では到底不可能な高さまで跳ぶと
「カッコいい!ポーーーーッズ!!」
あの毎週月曜日発売の少年漫画の表紙に良くありそうなポーズを光を放ちながら(誇張表現ではなくホントに光を放っているんだよこれが)宙に浮かんだ←!?
精神干渉魔法に気付いていた面々はもちろん、気付いていなかった者たちは完全に不意を付かれる形になり、真正面からその『魔法』の効力を受ける事になった。
(飛行魔法だと!?)
自身がようやく実用化のめどを立てた実現不可能と言われていた魔法を目の当たりにししばし動きが固まる達也だが、思い返せば驚愕より前に再成を行使すべきだったと達也は今でも思っている。
異変は直ぐに起こった。
(身体が、動かない。広域の振動停止魔法の一種か)
妹の深雪も精神を停止させる魔法を持っていることから考察した結果、自身の身体が目線を含めて全く動かないのを確認し再成を行使しようとするが
(魔法式が構築されない!?)
魔法式の構築はおろか、サイオン供給、果てはイデアにおけるサイオンの動きまでもが停止されているのを見て達也の目は今度こそ驚愕に見開かれる。
これは精神の停止、身体の停止などという生ぬるい物ではなく言ってしまえば世界という概念の停止、停止系魔法の究極系。この魔法の前では全ての概念は停止し出来る事はただカッコいいポーズを決める九島烈を見る事のみ
なにが嬉しくてジジイの決めポーズを見なければいけないのか
「達也君、達也君、後ろに変な爺さんがいない?」
そしてなぜコイツ(和人)は平然と動いているのか?
(お前が教えてくれなかったら危なかったよ仁)
(なに気にすんな、というかあの爺さん今回は不意打ちしてきやがったな。前回お前に防がれたのが悔しかったんじゃないか?)
(んなバカな)
服部は魔法の兆候を烈の思考を読んだ仁から教えて貰い自身の周りに一切光を通さない空間をつくる光波振動系魔法『シャドウスクエア』をにより烈老師を目線に入れないようにすることで烈の魔法を防いでいた。
九島烈の魔法『カッコいいポーズ』(魔法大全にも遺憾ながらこの名前で登録されている)は一見万能にも見える魔法だが烈本人、もしくは彼から発せられる光りを目に入れなければ効力が弱まると言う欠点がある。
だが言うは易し行うは難しというがこれはまさにその一例であり、烈本人の姿はまだしも『光』を目に入れないのはかなり難しい、光はあらゆる物体に反射、屈折、吸収されそれこそ光速で空間を満たしていく。その全てから身を護るのは盲目で無い限り不可能と言っていい。むしろ目がいいほど危険だ。
しかし、今回のように魔法発動前から自身の周りに一切光を通さない空間を作ってしまえば無効とまで言わないがとりあえず普通に動くぐらいの事は出来る。
それでも視界を塞がれた状態で戦闘を行う事を強要される事になるので烈一人が相手ならともかく他の敵に対して圧倒的なハンデを背負う事になる。
(流石は世界最強にして最巧の魔法師と言ったところか)
これが四葉、七草に並び十師族の序列一位の『九島』の前当主の魔法かと感心しきりの服部だが
(まぁ序列一位になったのは息子の代かららしいがな)
内に潜む仁からいらぬ茶々を入れられる。確かに九島が『伝統派』と呼ばれる古式魔法の一派を吸収し一気に勢力を強めたのは烈の息子『九島真言』の功績だ。
実際、烈の『カッコいいポーズ』も本来発動に時間がかかる魔法だったが真言が主導で行った古式魔法の発動速度改善研究により直接脳に魔法式を書きこむ事で息をするように文字通り一瞬で魔法発動が出来るようになった。
達也が烈の魔法発動に対して、兆候が見いだせなかったのはこの技術のせいでもある。そしてそれは四葉が秘匿とする技術『フラッシュ・キャスト』に相違ないのだが、四葉の研究データを盗んだのか、彼が独自に開発して見せたのかは本人のみが知る事実だ。
(刑部、そろそろ九島烈が魔法を切るぞ。もうシャドウスクエアはいいだろう)
(わかった。あと呼び捨ては止めてちゃんと老師をつけろ)
気まじめだねぇという仁の言葉を聞きながら服部は自身の周りの暗闇を解除した。周りは静寂に包まれており先ほどまで老師の魔法の影響下にあったことを示していた。
そして老師は魔法を停止させ自分の方をちらりと見ると、マイクを手に取った。
(ふぅ、やっと解除されたか)
魔法の行使すら許されず、呼吸や心臓の鼓動が停止されていない事が不思議に思われる絶対停止空間の中で達也は生きた心地がしなかったがようやく解放され一息ついた。ただその中でも
(あの魔法が効かなかったのは三人、ひとりはコイツとして後の二人は一体……)
達也はあっけらかんとしている和人を見ながら思考の海に沈む。烈の魔法は精神干渉の一種で烈自身や光を見た者の精神を『全行動の停止』へと導くものだ。ともなれば一切の精神干渉が効かない和人に効果がない理由も説明がつく。
だが後の二人はどうやってあの魔法を防いだのだろうか?
と達也が思考に身を委ねられていたのはここまでだった。
「諸君、まずは悪ふざけに突き合わせて事を謝罪しよう」
老師、九島烈のスピーチが始まったからだ。
「今のは私が古くから使用しているカッコいいポーズという魔法だ。そのかっこよさはアニメのOPやEDにも使われるほどポピュラーなものだ」
「なぁ、これツッコんだら負けなんか?」
「和人さんちょっと静かにして下さる?私も混乱しててさばける自信がありませんの」
亜夜子に傍目に見ても非常にいい笑顔で言われ和人はお、おうと震えながら言う事しか出来ない。そしてなぜか達也非常に胸が痛かった。
例えるならEDでの自分の姿が『魔王』だの『ラスボス』だの言われているようなそんな感じな痛みが波のように押し寄せてくる。
「かの戦争ではこの魔法は大層活躍してな、老若男女問わず自分と他人を護る為凄まじい戦いを繰り広げたのだ」
(((た、確かに凄い戦いだ……!)))
会場の全員がナイスミドルやお爺ちゃん、果ては赤ん坊までがカッコいいポーズをしながら稲光を背景に空を飛んでいる姿を幻視していた。
「諸君、魔法は使い方次第でいくらでもそのありようを変えられる。私は君たちの魔法の工夫を期待しているぞ」
「でもあんたのような使い方は絶対無理だよね」
「和人ぉぉ!お前って奴は!」
レオに無理矢理口をふさがれた和人はしばらくむがむが言っていたがしびれを切らした水波の腹パンにより物理的に沈黙した。
「では、さらばだ」
最後に烈はそう締めくくると壇上を後にした。
「え~では皆さまお待たせしました」
しばらくは静寂が会場を支配していたが司会者の男の言葉ににわかに辺りが騒然となる。
「来ましたわ!」
「亜矢子様、こちらを」
あら、気がききますわねと亜夜子と水波がサイリウムを両手に持ち始める。
見れば周りに色とりどりのサイリウムの光が踊っていた。
「へぇ、本格的なんだね」
「ちょっと、何ぼっとしてますの」
思わずといった感じに呟いた幹比古に亜夜子が軽い非難の目を向ける。
「へ?」
「はいどうぞ」
と間髪いれず水波がサイリウムを押し付けるように渡してくる。幹比古は目を点にしながらも大人しく受け取った。
「皆さまの分もありますので」
「お、おう」
レオも困惑しながらも受けとる。と思えば男性二人の判断は正しかったと言えよう。
「あ~私はいらな」
「……はい?」
「イタダキマス」
エリカのように断ろうものなら無機質な笑顔を向けられる事になるのだから大人しく受け取るのが吉というものだろう。
「皆さん、こちらもどうぞ」
と今度は亜夜子が小冊子を渡してくる。
「何これ?」
「HOW to 本?」
ほのかと雫が恐々と受け取ったそれには
『ゴールデンキャッスルのライブ必勝本!!』
と書かれていた。
(一体、何に勝つんだ?)
口に出さない利口さが達也にはあった。というか表紙にでかでかと
『何があっても気にしない』
と書かれている。一体何があるんだ!と声を大にして言いたかったが口に出さない利口さが達也にはあった。
大事な事だから二回言った。
「いいですか?これに目を通しておいて下さい」
「あの、結構な厚さがあるんだけど」
「見ないと死にます」
「死ぬの!?」
「いいですか~?こっからはフルスロットルです。ついて来れる奴だけついてこい!って奴です」
目がきらりと光った水波を見て一同は察する。
あ、これアカン奴や……と
「ちょっと、和人君起きて!」
「そうだぞ!こんな時の為のお前だろうが!」
「むしろこんな時にしか役に立たないんだからちゃんと働くべき」
周りの情け容赦ない言葉が和人に降り注ぐが本人の意識はお空に飛び立っており目覚める気配がない。
それを見ていた深雪は意を決して達也の方を見る。
「お兄様、お願いできますでしょうか?」
「深雪、まさか俺に再成を使えと?」
再成は最高難易度に位置する一応秘匿にしている魔法であり、もっと由々しき事態に使用するべきであり少なくともこんな馬鹿馬鹿しいことに使うものではない。
そんな意図を言外に含ませたのだが
「では、私達だけで亜夜子ちゃんと水波ちゃんをどうにかするのですか?」
深雪の言葉に達也は音速で再成を行使した。
あ、そう言えば由々しき事態だったわ、と
~補足説明~
カッコいいポーズ
一応停止系魔法に属する九島家の秘術。精神に全行動の停止を命じる精神干渉魔法であり
むしろ光さえ届けば良いため殺傷範囲は全戦略魔法の中でも最大。
一応、目に光が入らなければある程度効力が弱まる為、盲目の人間には思った効果が出ない時もある。
当初は
流石に上層部もこんな名前を戦略級魔法として登録するほど馬鹿ではなかった為、公式にいは公開されていない
遅くなりまして本当にすいませんでした。
あぁもっと早く文章が書ける能力が欲しいです。