「少し思ったことがあります」
「?」
「私はトリッパーではありますが、同時に転生者でもあるので、名前はトリさんより天さんがいいと思うのです」
「バリカンを持ってこよう、少し待っていたまえ」
「天津飯=禿げという偏見はあんまりかと」
「では、腕を4本にして見るかね?もしくは目を3つに」
葉山さんが俺をビックリ人間にしようとしてくる件について
「当主様が言った通りの方ですわね」
「あ、あはは・・・・・・」
そして目の前のやり取りに茫然としている少年少女が一組
男の子が黒羽文弥君
女の子が黒羽亜夜子ちゃん
双子の姉弟らしい
二人の父親が真夜さんに用があるそうで、用事が終わるまでと葉山さんが紹介してくれた。
今回はそんな話
「にしても、君たちにはがっかりだよ」
「っ!・・・・・・何がです?」
俺のいきなりの暴言に亜夜子ちゃんがムッとした雰囲気を隠そうともせず返答する。
「こんだけネタ振りしているのに、いつまでたっても、『排球拳いくわよ~!』って言わないのはいかがなものか」
「彼の発言は10割戯言なのでスルーした方がよろしいかと」
助けを求めるような文弥君の視線に葉山さんはにこやかにこう返した。
え?これからずっと独り言言ってろと?
「では、私は行くがくれぐれも失礼のないようにな?」
何故、こっちしか見ないのか
葉山さんが去り、しばし静寂が下りる。
「(のワの)」
「ぶっ!?一体何してますの!?」
「いや~間が持たないんで、とりあえず面白い顔しとこうかと」
「一体どうやったんだよその顔・・・・・・」
文弥君が溜った疲労を吐き出すように深いため息をついた。
「そういえば亜夜子ちゃん」
「何ですの?」
亜夜子が一歩後ずさる。
そんな警戒しなくても
「実は、風紀委員とかやってたりしてない?」
「風紀委員?やってませんけど」
「
「じゃ・・・・・・っじ?」
「
「え?えぇ?」
「
「えと・・・・・・えと」
「
「え~と、じゃっじめんと、ですの?」
なんだかんだ、やってくれる彼女はきっといい子です。
(姉さん・・・・・・遊ばれてるよ)
蚊帳の外にされているのをありがたいと思うべきか、さみしいと思うべきか判断に困る文弥であった。
「あ、そだ。三人いるなら、スマブラやろうぜ!スマブラ!葉山さんも真夜さんもたまにしか付き合ってくれないから専ら一人プレイなんだよね」
話すだけだとアレなんでゲームに誘ってみる。
「スマブラって、あのゲームの?私一家言ありましてよ」
「ほう、面白い。ならばその実力見せてもらおうか」
「上等ですわ」
意外に、ノリノリでよかった。64版でいいよね?
(あれ?なんか今凄い事聞いたような気がするんだけど)
文弥の耳が正常なら、冷酷無比、慈悲等欠片もない四葉当主が彼と時々ゲームに興じていると聞こえたのだが、
「文弥何してるの!早く来なさい!」
「あっうんゴメン姉さん」
文弥は胸に湧いた疑問を忘れることにした。そうしないとなんか色々なものがガラガラと崩れるような気がしたから
「ぅゎ、メテオうま」
「ふふ~ん。思い知りました?ではこのハンマーでとどめですわ!」
「フルスイングジャイアントパンチでござる」
「あぁぁぁぁぁぁっっ!?」
「うひゃひゃ、ハンマーとるとガード出来ないし復帰技使えないしで強いとも限らないんだな~これが」
「うぅぅぅ・・・・・・」
「くやしいのうwwwくやしいのうwww」
「くぅぅぅぅぅ!!」
「
「うわぁぁぁぁん!!お父様ぁぁぁぁ!!」
ちょwww親呼ぶの反則www
数分後、鬼のような顔をしたお父様(黒羽 貢さんというらしい)に土下座する主人公(仮)の姿があった。
「べ~っだ!」
「・・・・・・」
舌を出す亜夜子の横で、頭痛がしてきた文弥であったが、彼と同じような表情をしている葉山を見て己を見せない筆頭執事と仲良くなれそうな気がしたのはきっと文弥の一方通行では無い筈だ。
真夜さん肩震わせて笑うのこらえてないで助けてくだしあ(泣)
原作13巻で達也に急に声をかけられ涙目になる亜夜子を見てからずっといじり倒したいと思っておりました(ゲス顔