四葉の影騎士と呼ばれたい男   作:DEAK

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追憶編③

「うひwwwウヒヒwww」

 

「何してるんです?」

 

「ゲームです」

 

「タイトルは?」

 

「押しかけ妹妻、禁断の二人暮らし」

 

「死ねよ」

 

「・・・・・・」

 

「死ねよ」

 

(これ以上見られるのは危険だ)

 

続き楽しみにして待っています。

 

 

 

 

 

「てのは冗談でホントはクレアァァァ!!が響き合うRPGなんですが、桜井さんもノッて下さりありがとうございます」

 

「いえ、私も何であんなことしたのか」

 

桜井さんはちょっと恥ずかしかったのか頬を赤くしている。畜生、可愛さアピールかよ。可愛いです。

 

「コホン」

 

「あ、はいすいませんでした」

 

深夜さんのこれ見よがしな咳払いに、思わず姿勢を正してしまう。

 

ヤベェよこの人超怖いよ。真夜さんか葉山さんならこのまま難易度アンノウン四星×2を倒す旅に出ているのに。

 

今だって、深雪ちゃんと達也君が散歩に出て行ってしまったから俺もついてこうと思ったのに、深夜さんの言いたい事が山ほどあるから残りなさいオーラがバリバリ出てたんで行けなかったし、おかげで今は、非常に機嫌がよろしくない深夜さんとほぼタイマンをはる羽目に、何これ泣きそう。桜井さんは苦笑するだけで助けてくれないみたいだし。

 

「あなた、真夜から何を言われたかは知らないけどここにいる以上は」

 

「あ、桜井さん!紅茶っすね!角砂糖入れて下さい!」

 

「いくつ入れます?」

 

「・・・・・・」

 

「言っときますけどやりませんよ?」

 

ちぇ、どうやらセッコになり損ねたらしい。

 

「人の話を最後まで聞くことすらできないのかしらねぇ」

 

やばいよやばいよ~笑顔がだんだん引き攣ってきてるよ~(出川感

いつの間にか桜井さんが深夜さんの分と俺の分の紅茶を持ってきてくれた。深夜さんの方には砂糖がなく、俺の方には砂糖が2個

 

「すいません桜井さん、角砂糖もう1個貰っていいですか?」

 

「構いませんけど、相当甘くなりますよ?」

 

「いや~真夜さんが結構甘党で、一緒に飲んでいるうちに味覚が移ったみたいでして」

 

緑茶にすら砂糖を入れ始めた時は驚愕した。まさかこの世界でリンディ茶を飲む羽目になるとは思わなかったです。

 

「真夜が?」

 

おや?ここで深夜さんが反応した?

 

「えぇ、卵焼きなんかも砂糖派ですし」

 

僕は醬油派なんですけどね~という少年の言葉を聞きもせず。深夜は自分のカップに目を落とした。そこに角砂糖は1個もない

 

「穂波、私にも砂糖を」

 

「え?しかし、奥様甘いのは苦手じゃ・・・・・・」

 

「いいから」

 

「はぁ」

 

怪訝に思いながらも穂波は台所に引っ込んで行った。

 

「あなたは真夜のお気に入りらしいけど私には関係ないわ」

 

桜井さんが持ってきた砂糖を入れた紅茶を飲みながら深夜さんは言った。

一口飲んで顔を顰めるくらいなら入れなければいいのにと思ったが、わざわざ持ってこさせたのだ。何かあるんだろう

 

「どんな扱いを受けても文句は言わせないわ」

 

深夜さんはじろりとこちらを見る。深夜は目の前の少年を軍事基地なりなんなりに放り込んでしまおうと考えていた。その結果死んでも知らんぷりを決め込むつもりだった。真夜の方も別にそれで問題はないだろうし

 

深夜は穂波がお茶受けとして用意してくれたクッキーを1枚取ろうとして、手が止まった。

 

「あ、くるみ入りのクッキー苦手ですか?真夜さんも苦手でしたね~」

 

「・・・・・・」

 

少年に目ざとく見咎められ舌打ちしたくなるのを堪え、深夜は伸ばした手を引っ込めた。

 

「やっぱり姉妹なんですね」

 

「・・・・・・まぁね」

 

姉妹と言っても、ここ数十年以上まともな会話なんてしていない。あの事件から、姉妹の絆は引き裂かれたままだ。

 

共に幸せな未来を語り、二人で四葉を支えていくと信じていた日々はもう戻ってこない。だが子供のころから苦手だったくるみが、今も二人とも苦手というのは壊れた絆をかろうじて繋ぎ止めている気がして、悪い気分ではなかった。

 

「でも、真夜さん最近食べられるようになったって葉山さんが」

 

「なん・・・・・・ですって?」

 

絆が千切れる音がした。

 

 

 

 

あれ?深夜さんが過剰に反応してる?

ほう、ならば・・・・・・

 

「一昨日なんて、3枚一度に食べてましたよ」

 

「3枚を・・・・・・?」

 

深夜さんがじっとクッキーを見ている。これは面白いモノが見れそうだ。

 

「奥様申し訳ありません。お茶受けを間違えてしまい」

 

「フンっ!」

 

「奥様!?」

 

「っ!?ゴホッ!?ゴホッ!?」

 

「奥様ぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

Foooooooooooo!!

 

 

 

 

 

「ただ今戻り・・・・・・何かあったんですか?」

 

「う~ん・・・・・・」

 

海岸散歩から達也とともに戻ってきた深雪が開口一番穂波に尋ねる。穂波は困ったように頬をかいていた。

 

 

彼女らの視線の先には

 

 

「深夜さ~ん、重いっす」

 

「あ?」

 

「・・・・・・何でもありません」

 

ソファに寝転ぶ少年の上に乗ってる深夜の姿があった。

四苦八苦しながらくるみ入りクッキーを食べているのが、傍から見てもわかり、何故そうまでして食べるのか深雪は聞きたかったが、一部始終を見ていた穂波にもわからないみたいなので考えるのをやめた。

 

 

少しからかっただけなのに、この仕打ちはあんまりだと思うの

 

 




深夜さんはなかなか書きづらいですね。字数の割には苦戦してしまいました(汗

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