スットクが持つか分かりませんが頑張ります。
古城の所有権で揉める2人。そこに待ったを掛けたのは那月だった。
アスタルテには眷獣を使った報告書を作成提出するように、雪菜には無断で授業を抜け出した事による罰として放課後になるまで大人しくするように命令した。
2人は渋々と命令に従う。
「はぁ……暁の事で何故ここまで面倒事になるんだ?」
愚痴を零しながら古城と共に教員室に空間制御で瞬時に移動する。
移動し終えた那月はソファーに古城を横にさせて毛布を掛ける。寝返りをしながら掛けられた毛布に包まる古城に那月は少しだけ癒される。
「ふん。やはり暁とて子供の頃はあどけないものだな……」
プニプニっと指で柔らかい古城のほっぺたを突く。
それに反応して身悶える姿に頬が緩む。古城を弄り楽しんだ後、那月は真面目にこれからの事に考える。
「まず何故、暁が子供になった? あの時の私と同じ
検討、消去、また検討しなおし考え込む。それらを何度も繰り返しても答えらしい答えは出る事もなく堂々巡りを繰り返していた。そんな事をしていると眠ってた古城が目を擦りながら起き上がった。
「んっ? 目を覚ましたか暁?」
「あっナツキちゃん」
「私をちゃん付けで呼ぶな」
「あたっ」
今は子供なので軽く頭に扇子の一撃を入れる。古城もそれほど痛くないので泣く事はなく、唇を尖らせて不満を顔で訴える。
すると、可愛らしい空腹の合図の音が古城から鳴る。鳴らしてしまった古城は恥ずかしかったのか毛布の中に顔を埋める。
その音に気付いた那月は微笑むように笑みを浮べる。
「そうだな、もう昼なのだからお腹がすいてるか……何が食べたい?」
「……オムライス」
「そうか。なら一緒に食堂に行くか」
「うん!」
手を繋ぎ那月の転移魔法で食堂前の入口に移動、そのまま食堂の中に入る。
食堂の中は既に多くの学生達が食事しており、親しい友人と会話をしながら楽しく昼食を楽しんでいた。
普通なら誰かが食堂に入って来ようとも気にもせずに食事を続けるのだが、今回は違った。それは、今校内で噂になっている本人が現れたからだ。その噂の人物とは古城だ。
「やけに視線がこちらに向くな。やっぱし、あの変な噂の所為か……」
「うわさってなぁに?」
「お前は気にするな」
その噂は各学級で其々違うが「古城と雪菜の間の子供」や「浅葱と古城の間の子供」、「禁断の凪沙との間の子供」など、終いには「
那月にとっては最後の噂は寝耳に水な状態で、それを噂した奴は徹底的に叩きのめすと心に誓っていた。
「うちの学生共はノリが良すぎていかんな……お前はこの席で座って待っていろ」
「うん!」
元気良く返事する古城にやはり頬を緩んでしまう那月。
軽く流すように頭を撫でて食券を買いにその場を移動する。既に多くの生徒は料理を受け取り席に着いてるので厨房前には殆ど生徒はいない。
食券販売機で古城が欲しがっていたオムライスと、自分のはスパゲッティを購入して食堂の厨房で働いている小母さんに渡す。
「おや、今日は遅かったね那月ちゃん」
「だから何故、周囲の者たちは私をちゃん付けで呼ぶのだ?」
「今更じゃないかねぇ」
「うぐっ……」
厨房で働く小母さん指摘されてどもる那月。
少しは大人の姿に変貌すればちゃん付けされる事はないのだが……。どちらにしろ、那月のちゃん付けは無くなる事はないだろう。
そんなこんなで、料理は完成してトレイの上に置かれた。
「ねぇ、本当に生徒には手を出してないだろうね?」
「出すわけないだろ!」
「あはは、冗談じゃないか!」
周囲に聞こえないように小声で訊いてきた小母さんに怒鳴って否定する那月。怒鳴られるが愉快に笑って冗談だと答える小母さんに、更に怒りを覚える那月。
話を打ち切り古城が待っているであろう席に向かうと人だかりが出来ていた。
「……たくっ」
古城を中心に男子女子など関係なく集まり質問やお触りなどされ玩具にされていた。それを見て溜息混じりに呆れた表情を浮べた。
「お前、本当に暁なのか?」
「きゃ~可愛い!」
「小さい頃の古城ってこうだったんだ……」
「髪型や髪質は変わらないな」
「右往左往して焦ってて萌えるんだけど」
「アンタ、ショタコン!?」
「くそっ、子供でも女にモテモテかッ!?」
「憎しみで人が殺せたら……」
「暁古城、爆死しろ」
幼い古城を愛でる女子、そんな愛でられる古城に怨念めいた嫉妬で睨む数名の男子。色々な生徒達に弄れて困惑する古城。
流石にこのまま放置も出来ないし、昼食時間もそんなに長くないので那月はトレイを置いて囲んでいる生徒たちに扇子の一撃を放つ。
多くいた生徒を全員一撃を瞬時に放てるとは流石は"空隙の魔女"である。
「貴様ら散れ。食事が出来ん」
「那月ちゃっ」
「あっ!」
「いえ、那月先生」
囲んでいた生徒たちが一斉にちゃん付けで呼ぼうとした瞬間、睨みの一閃で黙り込ませる那月。
「もう一度言うぞ。邪魔だ散れ」
生徒達は渋々と古城から離れていく。
それを確認してトレイを持って古城の元に戻る。
「待たせたな暁」
「オムライス!」
「慌てるな。飯は逃げたりはせん」
古城の隣に座り、出来たばかりのオムライスを前に置く。
美味しい湯気が立ち上り、炒められたライスが黄色い半熟の卵に包まれ、卵の上にはケチャップが掛けられ美味しさを駆立てている。
その美味しそうなオムライスを見た古城は目を輝かせた。
「うあぁ~!」
「食べる前に頂きますを言えよ」
「いただきます!」
「……元気だな」
先程まで多くの生徒達に弄られて混乱するも、美味しそうなオムライスを見て直ぐに元気になる。現金な子供だなと那月は苦笑してしまう。
「おいしい!」
「そうか……たく、口元が汚れているぞ?」
「んっ……ありがとナツキちゃん!」
スプーンの使い方が荒いもガツガツとオムライスを食べる古城。たが、そのような荒い食べ方をした為に古城の口元がケチャップで汚れる。
那月はケチャップで汚れてしまった古城の口元をハンカチで拭いて綺麗にした。
拭かれて口元が綺麗になった古城はお礼を言って食事を再開する。
「……」
そこで那月は物思いに伏せてる。
もし、自分が普通の人間で生まれたのなら、好きな男性と恋をして結婚、そして子を成していただろう。逆計算したら今の古城ぐらいの子供を持っていたかも知れない。
その様なもしもやIFの物語を思っていると、裾を引っ張られる感じがして意識が戻る。そして、裾を引っ張る者に視線を向けた。
「んっ? どうした暁?」
「ううん。……でも、すこしさみしそうだったから」
「…………」
その言葉に那月は心を鷲掴みされた感覚に襲われた。そして、改めて子供の純粋さは時として潜在意識の核心を触れてくるから油断できなと。
那月は思う。
多くの者達が私を置いて年老いて忘れて行くだろう。それでも、その一瞬一瞬を過ごした日々は消えず未来に紡がれていくだろう。
「(お前の言う通りだな阿夜。だが、それでも生徒を育む未来を見て見たいのだ)……気にするな暁、さっさと食べ終えろ」
「……うん」
その優しき自愛に満ちた瞳で古城を見守る。その姿は魔族たちを脅かした恐怖の存在ではなく、子を思う母性溢れる女性の姿だった。
だが、そんな姿を周囲の生徒達に目撃されている事を那月は忘れており、『古城と那月の禁断の愛』が濃厚だとトトカルチェのオッズがかなり上がったのは、それから結構な月日が経った後だった。
今春のアニメで注目しているのは『ブラック・ブレット』です。
延珠(えんじゅ)ちゃん可愛いよ延珠ちゃん。決して自分はロリではない。
那月ちゃんも可愛いです。決して自分はペドでもロリでもない。
皆さんはどうですか?
では、次も頑張っていきます。