ストライク・ザ・ブラッド ~暁古城が……~   作:天狐空幻

16 / 18
すっごく遅くなって申し訳ありません!
本来なら先週に投稿したかったのですが出来ずに遅れてしまいました。
ちゃっと、完結させるまで頑張りますので宜しくお願いしまう。

今回、あのキャラが出現します。
では、本編をどうぞ!


暁古城。幼子になる。 第015話

 トイレから出て雪菜たちの部屋に戻ろうとした瞬間、何者かにとって誘拐された古城。それに気付く事無く帰ってくるのを待つ雪菜たち。

 布らきし者で口元を押さえられた古城は、そのままの状態で店内に出ずに別の部屋らしき場所に運ばれる。その部屋に入れられ口元に抑えていた布を外し、古城の前で膝を着いて頭を下げる誘拐犯。その姿を見た古城は、その人物に見覚えがあった。

 ショートカットされた白銀の髪、黒の布地に白のラインが施されたカッコイイと言える分類の衣服を纏った女性。

 

「ゆすてぃな?」

 

「ご無礼の数々、申し訳ありません第四真祖殿!」

 

 ユスティナ・カタヤ。

 アルディギア聖環騎士団所属の要撃騎士で極秘裏に夏音の護衛を務める女性で、大の親日家であり忍者を騎士の模範として考えている若干ズレた考え方をしている。

 古城は意味が分からないもの知っている人物だったので安堵の溜息を吐き、ユスティナに視線を向ける。

 

「どうしたの?」

 

 古城はユスティナが普段、アルディギアの王妹である叶瀬夏音を影から護衛の任務をしている事は知っている。ならば、この店に夏音も居るのかと思う古城は少しだけ期待を膨らませる。

 

「自分は只、第四真祖殿をこの場所に連れて来る様に頼まれた次第です、忍」

 

「だれなの?」

 

「それは自分の口では、さぁ中に」

 

 そう述べて一歩後ろに下がって待機するユスティナに怪しい眼差しを向ける古城、だがこのまま出させてくれないだろうと判断して室内に入る。

 先程まで雪菜たちと一緒に居た室内とは少し変わって狭い。入れて精々2人~3人程度しか入れない狭い室内、そこに1人の女性が座っていた。その人物にも古城は見覚えがあった。

 

「報告どうり子供に成っているのですね古城」

 

「ら・ふぉりあ!?」

 

 先程のユスティナの同じ服を纏い、白銀のロングヘヤー、そして誰もが見ほれる美しい顔質の女性。ラ・フォリア・リハヴァイだ。

 北欧アルディギア王国の第一王女であり、彩海学園中等部の叶瀬夏音の姪にも当たる人物。初めて出会った古城に異性として好意を寄せ、王族としての人間性と責任感も持つもお茶目でイタズラ好きで周囲をひっかき回し楽しむ困った部分もある女性。

 普段ならば母国であるアルディギアに居なければならない女性がこの様な場所に居る事に古城は驚きを隠せないでいた。

 

「ああ、なんて愛らしいのでしょう。古城、こちらに」

 

「でも……」

 

 雪菜たちが心配してるだろうと思う。だが、その様な言葉を遮るが如く素早い動きで古城の腕を掴み抱き寄せてきた。子供の力では抗えずに引き寄せられ、その弾みで足を滑らしラ・フォリアの胸に倒れ込むように古城は倒れてしまう。

 その豊かの胸に顔からダイブしてしまった古城は恥ずかしくなり離れようと手を身を離そうとする。だが、その行動がダメだった。

 

「あら、子供の古城は大胆ですね」

 

「あっ、ちがっ!」

 

 手が大きなラ・フォリアの胸を鷲掴みにしてしまっていた。その行動に恥かしがる所か嬉しそうに微笑むラ・フォリア、その逆に古城は顔を真赤に染めて否定しようとする。でも、

 

「丁度良い大きさで抱き心地も良いですね。成程、世のショタコンと呼ばれる者達が熱狂する訳ですね」

 

「~~ッ!」

 

 離れようとする古城に更に胸に押し付けラ・フォリアは抱き心地を堪能する。胸の大きさや張りなどを身体全身で古城は否応無しで堪能してしまう。赤かった顔が更に赤く染め、そして吸血鬼の特有の現象が起きてしまった。

 

「あら、古城。目が赤くなっていますよ?」

 

「そっそれは……」

 

 悪戯っ子の目を浮べて古城に向ける。

 必死に誤魔化そうと慌てふためく古城の姿にラ・フォリアは微笑を浮べ、そして古城の唇にキスをする。

 その急な行動に古城は目を見開き驚く。

 

「あぁ本当にお持ち帰りをしたいですね。古城、どうですか?」

 

「えっと」

 

 未だにキスされて混乱する古城、それに畳み掛ける様にラ・フォリアは語り続ける。

 

「衣食住の全てがアルディギアで賄います。その後は私たちと世継ぎを作りましょう」

 

「ひやっ!?」

 

 抱きつき耳元で呟く程度で語り掛けられ、それが背筋をゾクゾクさせられる古城。更に、抱きしめている手を古城の衣服の中に潜らせ背筋を、つーッ、なぞられ出した事もない声が漏れ出す。

 

「ふふっ、このままだと古城に嫌われますね」

 

「はぁはぁ。わっわざと?」

 

「世継ぎは本当ですよ」

 

「……きゅ~」

 

 抱かれた腕から開放された古城はその場で倒れ込んでしまう。それを支えながら古城を愛しむ様に見詰る。少しばかり悪戯をし過ぎたと反省するラ・フォリアは吸血衝動を止めるために自身の指先を少しだけ噛み切り、滴る真紅の血を古城の口元に持っていく。

 古城は本能的にラ・フォリアの血が出ている指を咥える。咥えたまま血か出ている傷口を舌で探り当て、赤ん坊のように啜る。卑猥な音、それに頬を赤く染め甘美の声を漏らしてしまうラ・フォリアは空いている片手で口を押さえて声を殺す。

 

「んっ……あっ……」

 

「ちゅぱちゅぱ、もっとちょうだい」

 

「こっ古城、上手っです。あっ……」

 

「ら・ふぉりあぁ~」

 

「古城……」

 

 互いの距離が近付き。そして、

 

「「ちょっと待ったーーーー!」」

 

 怒号の雄叫びが室内に響き渡る。

 戸を勢い良く開かれ、そこには頬を真紅に染めた雪菜と紗矢華が現れる。雪菜の片手には何故か雪霞狼を構え、片方の紗矢華は両手に呪札を構えている。完全に臨戦態勢である。

 

「あら雪菜、紗矢華ではありませんか。お久しぶりです」

 

「何平然と返事を返しているのですかラ・フォリア!」

 

「そうです王女!」

 

 普通に返してくるラ・フォリアに2人は幾つかボリュームを抑えて返した。雪菜は素早い速さで古城を奪い取り、紗矢華に渡す。

 

「ちょっと暁古城、何よその蕩けた顔は!? 初めて見るんだけど!?」

 

「今の古城は子供なのですよ! 何をしてたんですか!?」

 

「ふふっ、とても愛らしかったですよ」

 

 話が噛み合っていない。

 ラ・フォリアはのらりくらりと回避していき平然と場を乱していく。その場を乱され何を言ったらいいのか分からずに困惑を浮べる雪菜たち。

 ある程度の時間が過ぎ、やっとの事で冷静になった雪菜たちはラ・フォリアに問いただす。

 

「ラ・フォリア、何故あなたがこの絃神島に居るのですか?」

 

 古城を庇うように問う雪菜。

 自身の指――つい先程まで古城が咥えていた――を見詰ながら微笑むラ・フォリアは、雪菜の問いに答えた。

 

「以前、ユスティナから古城か子供になっていると聞きまして、来賓での交際会議の帰りに会いに行こうと絃神市に寄ったのです。そしたら以前から食べに行きたかった隠し名店『Lucifer』に古城たちも来ていると聞きまして、チャンスと思い急いでこの店に訪れたのです」

 

 態々、古城に会いたいが為に帰国中で寄り道するとは思いもしなかった雪菜たち。それを聞いた雪菜は更に雪菜は問う。

 

「でも、古城に会う為に態々この様な拉致紛いな事をせずとも良かったのではないのですかラ・フォリア。余計な騒動を起こさずとも申し出てくれれば……」

 

「それでは古城と2人きりになれないではないですか」

 

「それは、私は監視役ですから」

 

 互いに意見を述べて譲らない。一方の古城は完全に熱を上げてしまい意識が朦朧して失神寸前だった。その様な古城を懸命に呼び起こそうと呼びかける紗矢華ではあるが効果はいま一つの様で眼を覚まさない。

 

「では、目的も達成した事ですし私はおいとましますね。ユスティナ、帰りますよ」

 

「忍!」

 

 気付いたら雪菜たちの後ろに膝を着いたユスティナが待機していた。気配も感付かれずに剣巫と舞威媛の2人の背後を取る事が出来るとは流石は"環騎士団所属要撃騎士"だけはある。実力的には雪菜以上の剣術の持主だ。

 席を立ち店内に出て行くラ・フォリア、それに付き添うユスティナ。それに困惑しながら紗矢華は抱っこしていた古城を雪菜に渡して追いかける。

 その場に取り残された雪菜と古城はどうしたら良いのか分からず立ち尽くしてしまう。

 

 

  ◆

 

 

 店屋から出て行ったラ・フォリアを追って紗矢華も一緒に出てきて絃神島に来日した理由を聞き出す。

 

「今回は何故、絃神島に来られたのですか王女?」

 

「理由ですか? 理由は先程……」

 

「嘘、ですよね?」

 

「…………」

 

 浮べていた笑顔を沈め、少しだけ真面目な表情に浮べる。

 隣に控えているユスティナに視線を一度だけ向けると頭を下げてその場を離れていく。引くのを確認したラ・フォリアは紗矢華に向き直す。

 

「……今回の古城の子供になった件です」

 

「暁古城ですか?」

 

「先程のユスティナからの報告で古城が子供に為ってしまった事を聞き、少しだけ調べてもらいました。どうやらこの絃神に何らかの糸を持って手を下している者が居るようです」

 

「手を?」

 

「はい。どうやら古城――いえ、第四真祖が邪魔故に手を下していたそうです。……紗矢華、気を付けて下さい。今回の事件、只事ではないでしょう」

 

 真剣な表情を浮べるラ・フォリアに息を飲む。

 普段は周囲を困らせるイタズラ好きなラ・フォリアがここまで警戒する事に紗矢華も驚きを禁じえなかった。

 

「私は少しの間だけですが絃神に滞在していますので、何か判り次第こちらから報告させてもらいます」

 

「感謝します王女。それで、王女の護衛は誰が?」

 

「紗矢華、天津雫(あまつしずく)をご存知ですか?」

 

「ッ! あっ天津雫って剣巫の……」

 

「やっぱしお知り合いでしたか。今は彼女が護衛を勤めています」

 

「そうでしたか。……雫が」

 

 どうやら何かを思う所があるのか紗矢華は顔を顰め視線を逸らした。

 顰める紗矢華に少しだけ微笑み本道に向かってラ・フォリアは去っていった。

 去って行ったラ・フォリアの方向に向かって少しだけ頭を下げ、色々と厄介事になったと紗矢華は思いながら店内に戻っていった。

 

 

  ◆

 

 

 古城が気絶してしまったので食事会はここにて終了。

 色々と一悶着があったのだが既に時刻が八時を越えそうだった為に解散する事になった。浅葱の護衛との名目で紗矢華と一緒に帰宅して、雪菜と凪沙と古城は同じマンションなので共に帰宅。

 帰宅するまで雪菜は式神を使用して周囲を視察させて警戒していたが、特に何かをされる事もなく無事に帰宅でき安堵をつく。

 マンションに警戒用の式神を張り巡らせ古城と分かれた雪菜は風呂を終わらせ、自身の愛槍である雪霞狼の手入れを施している時、携帯が鳴り響く。

 

「凪沙ちゃん?」

 

 鳴り出した携帯の画面に映っているのは凪沙の名前であった。

 一体どうしたのだろうと思いながら携帯を取る。

 

「如何したのですか凪沙ちゃん?」

 

『あっ雪菜ちゃん、ゴメンねこんな時間に』

 

 遅い時間に電話を掛けてきた事に謝罪を述べる凪沙に律儀だなと思いながら雪菜は左右に顔を振るう。

 

「ううん。別にいいけど」

 

『実は明日ね部活で家に居ないんだ。だから古城くんの面倒お願い出来ないかな?』

 

「大丈夫ですよ。部活、頑張って下さいね」

 

 雪菜にとっては古城の面倒という名目で監視する事が出来るのでありがたいと思う。

 

『ありがとう。じゃっお休みなさい――古城くんも』

 

『おやすみ、ゆきな』

 

 急に電話相手が変わる。

 声の主は古城、その幼い声を聞いて雪菜は無意識に微笑みながら返事を返した。

 

「――はい、しっかり寝るんですよ古城」

 

『はぁ~い』

 

 電話が切れ、雪菜は隣の部屋に向いて目を瞑る。

 今日は良い夢が見れそうだ。そう思いながらベットに横になるのだった。




……これ、18禁とかに触れませんよね?
触れないといいなぁ~……。少しエロスを書いてしまいましたが、古×ラフォ
だと自然にエロくなってしまうのは何故だろう……。不思議です。
兎に角、今回のラ・フォリアは来賓での交際会議の帰りに絃神市に立寄った設定です。古城幼児化に付いて色々と裏方で調べている事になってます。でも、必ず古城と絡ませます。エロではなく普通で……。

さて、今回原作などでは出ていないオリ剣巫『天津雫(あまつ しずく)』です。
紗矢華の代わりにラ・フォリアの護衛の任務に付いています。姿は現していませんが後々に出てくるでしょう。
確か設定上では剣巫はそれ程数は居ませんが、居る事には居ます。

では、エタらず頑張って完結させますので宜しくです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。