誤字脱字はないように心がけますが、あった場合は連絡を下さい。
絃神島。
カーボンファイバーと樹脂と金属と、魔術で造られた太平洋に浮かぶ常夏の
第四真祖。不死にして不滅、血族同胞を持たず、支配を望まず、災厄の十二の眷獣を従え、人の血を啜り、殺戮と破壊を齎す。冷酷非道の吸血鬼。
なのだが――真実はそこまでおっかないものではなかった。
絃神島の住宅街が並び立つ南地区。
そのある一棟のマンション、704号室に住む暁家長男――暁古城がその噂になっている第四真祖の正体なのだが。その暁に大きな異変が襲っていた。
「古城君、朝食出来たよ! 起きてよ古城君!」
いつもの有触れた日常。暁古城の妹である暁凪沙が兄たる部屋の扉をノックして起こそうとするが一向に起きる気配もなく返事もない。
返事がない事に流石の凪沙も気になり扉を開き部屋の様子を窺う。
「古城君、入るよ~……アレ?」
本来、古城が眠っているであろうベットの上には大きな布団の膨らみはなく、小ぶりの膨らみしかなかった。
「古城君は何処行ったんだろ? このベットに寝ているのは誰だろう?」。凪沙は不安に駆られながらも布団を捲り小ぶりの膨らみの正体を確認する。
「えっ?」
布団を捲り正体を確認した凪沙は唖然する。出てきた正体に凪沙の思考が停止してしまった。それと同時に部屋にインターホンのチャイムが鳴る。
チャイム音を聞いた凪沙は意識を取り戻しベットに眠っている存在と玄関に来ているであろう客人にどちらに態様すればいいのか混乱していると――
「凪沙ちゃん。先輩を迎えに来たんだけど……」
「ゆっ雪菜ちゃ~ん!」
その声の主が誰なのか理解した凪沙は涙目になりながら玄関に赴き、そこで待っていた人物に抱きしめた。
「どっどうしたの凪沙ちゃん!?」
凪沙の急な抱きしめに驚く雪菜。
姫柊雪菜。暁家の隣の705号室の住人で常にギターケースを背負い凪沙と同じ《彩海学園》中等部に通う中学生。その美しい容姿から周囲からは姫と呼ばれる事もある。
だが、それは表向きであり裏では国家公安委員会に設置されている特務機関《獅子王機関》の剣巫で第四真祖の監視役であり、背負っているギターケースには獅子王機関秘奥兵器『
そんな雪菜が戸惑いながら友人の凪沙を尋ねた。
「古城君が……古城君がぁ……」
「先輩がどうしたんですか!?」
凪沙の慌てっぷりに只事ではないと判断した雪菜は玄関に上がり古城の部屋に勢い良く入り古城が何が起きたのか確認する。
「先輩!? ってアレ?」
目に入った存在に雪菜は呆然としてしまう。その表情は先ほどの凪沙と同じ顔をしていた。
「あの、凪沙ちゃん。この子って……」
「うん。多分、間違いないと思う」
ベットの上に眠っている小学低学年の子供が身体を丸めて寝息をたてていた。
銀にも近い毛色に狼の体毛のように前髪の色素が薄れている。その髪や顔質に雪菜と凪沙は見覚えがあった。いや、普段から見慣れた存在に似ているのだ。
「先輩ですか?」
「うん。古城君だと思う」
第四真祖。暁古城は小学生の子供になっていた。
この小説の時系列はアニメの『錬金術師の帰還篇』が終わった後の話です。
設定が色々と可笑しい所があるかも知れませんが頑張って行きたいと思います。