やがて、ここが終点らしいので、子供達を供養する準備をしていると、親父が入ってきた。
「レイ!っこれは!」
あたり一面血の海になった光景に親父は絶句しているようだ。
「…正当防衛だ」
「……そうか、ならば仕方あるまい、それよりも生存している子供はいたか?」
「…ゼロだ」
「…そうか、私の方も…だ」
親父も、研究員が悪魔に変貌する姿を見たが、全く原因は全く知らないらしい、元来た道を戻りジンとクルツと合流すると、教団の人間は毒薬を飲み、死んでしまったようだった。
しかし、そんなことはどうでもよかった、俺は誰一人助けられなかった、…すまない、仇をとれなかった。
これにより、教団殲滅作戦に幕が下りた、子供の生存者一名と多くの犠牲者を出し、なんとも後味悪い幕引きだった。
一行は作戦本部に戻り教団の報告をそれぞれすることになった。
俺は、親父やモルガン将軍に労いの言葉を貰ったが、納得することができなかった。
作戦本部の外に出て俺は涙を流し叫んだ。
「ウオオオオオオオオオッ!」
俺は…俺は義の星の男、人々を守る事が俺の宿命。
しかし、結果守る事が出来なかった、俺は俺はなんてまだ無力なのだろう…………。
叫んでいると、声がきこえた。
「レイよ」
親父が中から出てきたようだった。
「今回は、…残念だった、私も自分の力のなさを感じたよ…」
「…親父」
「だが一人、一人だけ生きていたのだ、不謹慎かも知れないが、まずはそれを喜ばないと」
「…すまない」
「いや、気にするな」
切り替えよう、そして俺は今日を境に更に強くなることを目指した、ケン…ケンシロウのように誰かを守る為に。
◇◆◇◆
レイやカシウスが気がつかない程離れた場所に、二人の人影があった。
「…カシウス・ブライトと、レイ・ブライトか…」
「レーヴェ、どうしたの?」
黒髪の琥珀色の目をした少年が、銀髪の青年に尋ねた。
「…あの二人は、余りにも危険だ、今後結社の妨げに確実になるだろう…」
苦虫を噛み潰したかのように顔を顰めた。
「ヨシュアもういい、そろそろ戻るぞ」
「分かった」
二人の影は闇の中へと消えていった。
………………………
(カシウス・ブライトは今はまだ動く時ではない、遊撃士ゆえ周りの守りもまだ固い。
だが!レイ・ブライトは別だ、どうやら一人で旅をしているようだからな、狙うならば外堀がない今の内に排除すべきだろう)
「……レイ・ブライト…か」
◇◆◇◆
…今回の教団襲撃時、あの二人に監視の構成員を着けてさらに俺とヨシュアの二人で監視にあたったのだが、…カシウス・ブライトを上回る実力を持つというレイ・ブライト…か、いったい誰を仕掛けるべきなのだろうか…。
…"あの人が適任か"。
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