数年ぶりだなエステルや母さんに会うのは、一足先に俺はブライト家に向かって行った。
「4年ぶりか、二人とも元気なのだろうか?」
エステルは元気にしているだろうか?
「フッ、会えば分かることか」
森の中を進んで行くと一軒の家が見えてきた、数年経っても全く変わらないようだ。
玄関を開けると母さんが料理をしエステルがそれを手伝っている最中だが、どうやら気がついたようだ。
「!レ…レイ兄、レイ兄‼︎!」
エステルは俺を見つけ一目散に目に涙を浮かべながら向かって飛びついてきた。
「レイ兄…ずっと会いたかったよ」
「…ただいまエステル、母さん」
「おかえりなさい、…レイ」
母さんも嬉しそうに温かく迎えてくれた。
その後、親父が帰ってきて俺らは離れ離れになった時間を取り戻す様に今まであった数年間の事を語り合った。
「へぇ〜レイ兄今は王都に居るんだ!」
「あぁ、それにしても…フッ」
「?レイ兄どうしたの?」
「いや、全然変わらないなと思ってな、さっきも泣きながら飛びかかって来たしな、相変わらず泣き虫は治ってないようだ」
「あんですって!」
今はこの時間を大切にしよう、そして2日後、俺は恐らく戻るだろう、元の世界で世を呪い時代を憎んだ"飢えた狼の頃に"戦いではなく殺し合いをしていた時に。
この世界では、戻るつもりは無かったが、エステル位の年の子供を誘拐する外道を許すつもりは一切ない、エステルと戯れてそれを改めて実感した。
「…レイ兄、顔が怖いよ」
「んっ、すまない考え事をしていてな」
俺はエステルに悟られない様に顔を戻し微笑んだ、その後エステルや母さんが寝静まった頃、居間に降りてみると親父が一人で晩酌していた。
「レイか、どうだお前も一杯」
「…頂こう」
親父からグラスを貰いそそいでもらった、中身はワインの様だ、一口飲むと芳醇な香りが鼻を刺激し、濃厚な味わいが舌を潤した。
「ほう、結構いける口だな」
「まぁ、嫌いではないな」
「そうか、これはポースの中々の年代物だぞ!」
道理で美味いはずだ、酒の味はよく知らないがこれは美味いと感じた、しかしそれ以上に最高の肴がそこにあった。
「…これが親子酒か、親父」
「!あぁ、格別に美味いだろ」
父親と呑む、これ以上の肴は存在しないだろう。
俺はこの場で、思いつめていたことを話した。
「親父、すまないが俺はその作戦に参加するにあたって破らなくてはいけない事がある…」
それを聞き親父は最初から分かっていたかのように頷いてきた。
「…殺すことか」
「!あぁ、俺はそんな外道を許す事は出来ない!エステル位の子供を誘拐し実験などと巫山戯た野郎共を、そしてそれを見て笑っている豚共を!!」
「…そうか…………今になってお前の言葉が身に沁みるよ、身分…か」
親父はグラスに残っていたワインを一気に飲み干した。
「私も遊撃士や軍の人間で無ければ、怒りに任せて殺すのを選んでいたかもしれん…、しかし!私は遊撃士だ、殺すのではなく拘束するのが使命、だからお前を見過ごす訳にはいかん‼︎…が、私達の見てないとこなら仕方がないな………お前が羨ましいよレイ」
空いたグラスに新たなワインを注ぎ込んだ。
「……お前が殺した相手は正当防衛だと言っておくよ、それじゃないとお前も本気を出せないのだろ?私と戦った時のように」
「なっ!、気がついていたのか!?」
確かに俺は全力は出したが、本気で戦う事が出来なかった、本気で戦ってしまったら"親父を殺してしまった"だろうから。
「フッ、分かるさあの時のお前の技、目には殺気がなかったのだからな、それにレイお前の世界での話を聞いているのだぞ、私たちでは考えられないような生きるか死ぬかの世界で生きてきたお前は、戦いではなく"殺し合い"をしてきたのだから…」
「…少し訂正があるが、俺は奥義を使わなかっただけで、全力だったぞ、しかも最終的には使ったしな、本気という意味では奥義を使わなかった…だけだ」
俺と親父はその時同時にグラスを開けた。
「…そうか…っと、どうやら、少し酔っ払ってきたようだ、…残りはお前が楽しむといい」
それだけ言い残し、親父は階段を上り自分の部屋に向った。
残された俺は残りの酒を少しずつ減らしていった。
「……本気…か」
レイがよく「シャオ!」などと言いますが、挿入していった方がいいですか?
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