ハイスクールD×D 黒の処刑人   作:夜来華

24 / 25
ごめんなさい、小猫

私は、貴方の立場になって考える事ができなかった

貴方の心が一刻も早く癒される事を願ってるわ




第23話 別離

翌日、小猫の意思を聞いたソーナは、午前中ある場所を訪問し、

リアスには夕方向かうと連絡を入れていた。

 

その時に、あの後何が起こったかの詳細をリアスから聞き出していた。

 

小猫が気を失い、崩れ落ちた瞬間、リアスと一誠は二人の元に駆け寄ろうとしたが、

目の前の空間に裂け目が生じ、その中から背広を着た若い男性が出てきた。

 

「──っ! 間に合いませんでしたか」

 

眼鏡を掛け、聖なるオーラを発した剣をもった男性は

目の前で止まっているリアスと一誠に目もくれず、崩れ落ちている黒歌の元へ

腰を下ろし、懐から小さなビンを取り出し、黒歌の口の中に雫を垂らすが反応はない。

 

「やむを得ませんね・・・!」

 

黒歌が自力で飲めないと判断した男性は、ビンに入っている液体を全て口の中に含むと、

黒歌の口に持っていき、直接飲ました。

 

意識は失っているが喉が動いたのを確認した瞬間、彼女の全身に淡い光が漂い、

時間の巻き戻しを見ているかのように、傷口がふさがっていく。

 

その光景をみたリアスはぽつりと呟いた。

 

「──フェニックスの涙ね」

 

「ええ、そうです」

 

リアスの問いに頷く男性、傷が完治したのを確認すると

 

「美猴! 撤収しますよ」

 

「了解っ!」

 

美猴は男の言葉に従いタンニーンを巻き、猛スピードで地上へ降り立ち、

二人の壁となるように構えた。

 

男は持っていた剣を振り下ろすと、もう一度空間の裂け目が空き、今度は数人潜れる様な

大きさまで空いていた。

 

そして男はそっと黒歌を抱きかかえ、空間の裂け目の中に足を踏み入れ、顔だけ振り向かせた。

 

「──この借りはいずれ」

 

そう言い残し、3人の姿は空間の裂け目の中に消えていった。

 

姿が消えたのを確認すると、二人は小猫の元に駆け寄り傷がないかしらべ、一誠が

抱きかかえて城へ戻った。

 

帰還中、タンニーンから最後に現れた男が所持していた、武器について教えられ、

リアスと一誠は驚愕した表情を取っていた。

 

悪魔にとって天敵である聖剣の中でも、地上最強を誇る聖王剣コールブランド、またの名を

『カリバーン』、一太刀でも浴びると、魔王クラスでも深刻なダメージを与えれる武器な為、

説明を聞いた二人は、戦闘にならずに良かったと安堵したらしい。

 

そう話を聞いたソーナは小猫に姉の黒歌はフェニックスの涙を服用したので、

高確率で存命している可能性は高いと示唆し、希望を持つように小猫を励ました。

 

その言葉を聞いた小猫はまだ、可能性の範囲ないで安否は不明だが、少なからず

希望を持てた。

 

「──姉様」

 

少しだけだが、小猫の表情に柔らかさが戻り、安堵するソーナとひしぎ。

だからこそ、これ以上彼女の表情を曇らせない為に、動かなければならなかった。

 

リアスから聞いた話を終えたソーナは小猫、ひしぎ、ロスヴァイセに外出準備を

してもらってる間に、姉であるセラフォルーに連絡を入れていた。

 

昨日決心が決まった後、ソーナは既に行動を起こしており、昼前には魔王達や、

評議員達にある案件の了承してもらう為に、都市ルシファードへ赴かなければならなかった。

 

小猫自身に関わる案件である故、小猫自身も行かなくてはならないので、その護衛として

ひしぎとロスヴァイセも同行することとなった。

 

ルシファードでは魔王達と評議会の定例会議が朝から行われているため、

昨晩セラフォルーに無理を言って、議題を無理やり通してもらった結果、

お昼過ぎに時間が取れるとこことなので、それまでに来るように連絡を貰っていた。

 

その後四人はシトリー領から出ている列車に乗り込みルシファードへ、

30分ほど列車に揺られた後目的地へ着き、列車から降りると、議事堂を目指した。

 

数日前に『禍の団』の進入を許している為、議事堂付近は最上級、上級クラスの悪魔達や、

魔王達の眷属が警備に当たっており、テロを警戒するようなピリピリとした空気を発していた。

 

数多の視線が突き刺さる中、それに臆することなく、ソーナは議事堂の正門で身分証明書と

セラフォルーの許可書を提示し、4人は内部へ入る事が許された。

 

来客室に案内された4人は数十分待つと、扉が叩かれ使者が来て、ソーナと小猫に

謁見の間にて魔王達が待っていると伝えられ、護衛として着いてきた二人は流石に

魔王達が待つ謁見の間には入れないので、このまま来客用の部屋で待機してもらうようにし、

ソーナと小猫は使用人に先導される形で部屋を後にした。

 

彼女たちが着いた場所は、この間若手悪魔が魔王達に夢を語った場所に良く似ていた、

やはり、高いところに椅子が用意され、そこに議員達と魔王達が、二人の到着を

心静かに待っていた。

 

既に議題は前もって伝えてある。

ソーナと小猫が謁見の間の中央まで来ると、議長が瞑っていた目を開け、

言葉を掛けた。

 

「遠路はるばるご苦労、シトリー嬢よ。して今回のそなたのもってきた案件、

 既に我らは耳に入っているが、今一度そなたの口から聞かせてくれぬか?」

 

「わかりました」

 

議長の言葉に頷き、ソーナは小猫より一歩前に出て、言葉を紡いだ。

 

「まず、魔王様方、評議員の皆様方、私達のために時間を割いてくれた事に、

 心から感謝いたします」

 

お世辞とも言える言葉をまず口にし

 

「──この度、私の後ろに居るリアス・グレモリーの眷属である搭城小猫さんの事で

 皆様方にお願いがあり、参上いたしました」

 

普通は、小猫の主であるリアスがこの場に居なければならないのだが、居ない。

だからこそ、このケースは異質だった。

 

「皆様も知っての通り、私ソーナ・シトリーとリアス・グレモリーは後数日もしないうちに

 非公式ではありますがレーティングゲームをさせて頂ける事になっていましたが、

 この度、搭城小猫がこちら側に移りたいとの申し出をうけました」

 

従来のゲームならば、引き抜き行為は正当な戦略としてとられている。

ゲーム中に寝返るのも戦略の一つとして考えられているが、後にその相手といざこざが

確実に発生する為、ほとんどの悪魔はある程度の期間を設けてする場合が多い。

 

そして『王』の中には眷属に愛着を持つ者が多いが、本当に駒としてしか考えない『王』も

いてるため、トレード、引き抜き、裏切り行為は正式なルールにも乗っている。

 

引き抜き、裏切り行為と云うのはイメージ的に該当した実行する本人に悪いイメージが付くが、

冥界のこのゲームに関しては、移動した人物が悪いのではなく、その人物を

御し得なかった王が未熟と判断される。

 

故に、ランカーたち、ゲームに参加している悪魔の中でも頻繁に駆け引きが

行われている。

 

そして、ソーナ達の場合引き抜き、トレード行為自体、別に許可が要るわけでもない、

王同士が了承すれば良いだけの話で、運営自体に報告はいらない。

だが今回のゲームは非公式であり、デビュー戦なのだ、だからこそ、公平にしたいが為に

魔王達に説明をした。

 

「うむ、確かに引き抜き行為はゲーム上問題ないな」

 

「ええ」

 

議長が確認するかのように言葉を発すると、ゲームを運営している悪魔議員が頷く。

 

「して、シトリー嬢。コレを確認する為に態々来たのではあるまいな?」

 

別の議員がソーナにそんな事為に自分達の時間を割いたのかと、言う雰囲気を籠めて問うた。

 

「いえ、その先の事でもうひとつ皆様に許可を頂きたいのです」

 

トレードするに辺り、現状リアスは首を立てに振らない可能性が高いとソーナは知っている、

だからこそ──

 

小猫の身柄をゲームの結果に委ねると提案したのだ。

これはソーナ自身も苦渋の決断だった。

 

何より小猫をゲームの景品として扱うのは嫌だったが、これ以外に

彼女が納得する理由が思い浮かばなかった。

 

苦渋の選択だったが小猫自身にそれを話し、その結果彼女自身が結果がどうなっても

後悔はしないとソーナに伝え納得した。

 

だからこそリアスとの試合で自身が勝者となれば、トレードが成立するように懇願した。

流石に魔王達からの命令とあれば、彼女は首を振るしかない。

 

リアスに嫌われようが、卑怯だと罵られ様が、ソーナは既に小猫を助けると

『約束』したのだ。

 

だからこそ、理論武装でリアスを納得させるしかない。

 

そして、一方的な賭けにしない為、ソーナはリアスが勝った場合、

リアスの駒王町領主権限の復活と、罰則を自身が肩代わりする事を条件に提示した。

 

ソーナの言葉に議員達は騒然とする。

 

なぜ、他の眷属である小猫に対して其処まで出来るのか?と、呟かれたり。

 

そうすれば確かにリアス・グレモリーのほうにも受ける価値はあると判断した。

本来ならば、リアスの不手際で起こったことなので、そうする必要はまったくないのだが、

ソーナは一方的な願いを押し付ける事は出来なかった。

 

自身の権限を賭けるからこそ、許可を求めたのだ。

 

「サーゼクス、セラフォルーよ。そなたたちは如何捉える」

 

議長が、当事者の姉と兄である二人に問いかける。

 

「私は、ソーナちゃんがやりたいようにすれば良いと思う。だから賛成かな」

 

「──私は、もう少し期間を開けてほしかったのですが、日程がずらせませんし、

 何より妹の不手際による事なので、賛成するしかありません」

 

そう、前もってサーゼクスは小猫とリアスの間にある歪を報告に聞いており、

昨日の事も耳に入っている為、如何する事も出来なかった。

 

議長や議員は小猫自身にも数回質問し、

其処後議員達は意見を交わし、数分後──

 

「シトリー嬢よ。リアス・グレモリーが交渉に応じない場合その件を、我ら評議会と魔王は許可する」

 

「──ありがとうございます」

 

議長が下した決定に頭を下げるソーナと小猫。

 

「ただし、一つ条件がある。塔城小猫がリアス側の『戦車』としてゲームに参加しない場合、

 シトリー側からも1名『戦車』を不参加とする──よってグレモリー側との公平を図る」

 

追加に言い渡された言葉に、目を見開くが

 

「──わかりました」

 

こちらが無理を言っているので、了承するしかないソーナ。

これはグレモリー側の議員達の思惑が噛んだ提案である。

何しろ、リアス側は少数な為、現在『戦車』は小猫しか居ない、たった一人抜けるだけで

戦力が大幅にダウンする事にはならないが、如何せんリアス側は眷属の数が

ギリギリすぎるため、念には念をと云う事で、ソーナ側からも同じ『戦車』の

不参加を無理やり決定させた。

 

なぜなら、今回のゲームには派閥が絡んでおり、勝利する側に大量に資金が動くのだ、

そして既にその投資は終了しており、今更変更などは出来ない為、

勝利を磐石にしたい浅い議員達の考えだった。

 

実際リアスが普通に話し合いで応じれば、今回の件は切り出さないで済む、

杞憂で終わってほしいと願うソーナ。

 

それに今回の提案は一種の賭けでもあるのだ、実際ソーナの計算ではリアスとの勝負で

現状2対8の割合で自身達が負けるということ、あと約一週間でどれほど詰めれるかが、

勝負でもある。

 

相手の戦力はここ数週間で大幅にアップグレードしている。

それを知っているグレモリー側の議員達にとって、この提案はまさに目の前にでたエサとして

映ったであろう。

 

現状勝率の高いリアス側がそのまま勝てば、今化せられている罰則は帳消しになり、

シトリー側が変わりに受けてくれるというのだ、乗らない事はないと、

そう考えながらソーナと小猫は謁見の間を後にした。

 

その後、ひしぎとロスヴァイセを伴い列車に乗り込み、グレモリー領へ向かった。

向かっている最中に、謁見の間で決定した事を二人に話し、勝率を上げる為に、

今一度厳しい修行をしてもらえるようにお願いした。

 

「わかりました──今のメニューを倍にしましょうか」

 

ソーナの意思を汲み、ひしぎは今皆に課しているメニューを倍にすることを決めた。

この一戦だけに限れば、ひしぎが秘術を使い数倍以上の戦闘力を得る事が出来るが、

あえてそれを提案しなかった。

 

そんなモノで得た強さなどハリボテに過ぎない、そして生物は簡単な方法を知ってしまえば

すぐそちらに頼る習性があるので、自力で強くなってほしいとひしぎは思い、言わなかった。

たとえ、言ったとしてもソーナの性格上断ると確信していたのは余談である。

 

会議と雑談を混ぜながら約1時間後、漸くグレモリー領へつき、そのままグレモリー家に

向かった。

 

「──ソーナさんの家と同じぐらいでかいですね」

 

目の前にそびえ立つ豪華絢爛な城を目の前に、ポツリと感想を漏らすロスヴァイセ。

 

その感想に苦笑するソーナは、そのまま正門を潜ると、玄関付近に大勢の姿を確認した。

 

「──リアス部長」

 

玄関の前でこちらの到着を待ちわびている人物がリアスだと分かると、小猫の体が

少し震えだし、そのまま隣に居たひしぎの服の裾を無意識に掴んでしまう。

 

それは無理もなかった、リアスと実の姉が戦い、実際姉が無残な姿になったのだ。

 

「──大丈夫ですよ、私たちがついてますので」

 

それに気がついたひしぎは優しく微笑みながら、小猫の頭を撫でた。

段々とお互いが近づくと──

 

「──小猫!」

 

小猫の姿を確認するや否や、飛び出し、小猫を抱きしめようと両腕を広げ走ってくるリアス。

その瞬間、小猫の体がビクッとまた震えた──だから、ソーナはそっと小猫の前に出て、

片腕を突き出し、リアスの動きを静止させた。

 

「止まりなさいリアス。小猫さんが怖がってしまう」

 

「──っ!? どうして!?」

 

ソーナの言葉になぜ自分が怖がられなければならないのか疑問に思い、つい叫んでしまう。

だが、ソーナは言葉を続ける。

 

「まさか、本当に分からないとは…」

 

本気でその言葉を言ってるのかと、ソーナは驚いていた

 

「小猫、さぁこっちにいらっしゃい。仲直りしましょう?」

 

笑顔を作りながら、小猫に微笑みかけるリアスだが、小猫の表情が青ざめてきていた。

リアスが自身を助ける為に遣った事だと頭では分かっているのだが、

心が、その姿を見た目が、姉の擦れた声を聞いた耳が、咽る様な血生臭い臭いが鼻が、

あの姉の姿を思い出させる。

 

分かっていても、どんなに理解しても──心が、体が言う事聞かないのだ。

 

リアスの事は大好きで信頼している。今まで良くしてくれた恩も心底から感謝している。

だけど、今の小猫にはリアスの事を信じたい(・・・・)けど、信じれ(・・・)なかった

 

一歩ずつ彼女が近づくたびに小猫の体は後ずさるようになるが、

頭に置かれた暖かな温もりのお陰で、それに抗おうとする気持ちが湧いてくる。

 

「貴方の大好きなお菓子を大量に──」

 

なおも言葉を続けようとするリアスに突然重力が掛かり──彼女は膝を付いた。

 

「──っ! な…に…が!?」

 

「部長!」

 

リアスは必死に体を起こそうとするが、見えない上空から突如発生した

自身を押しつぶすようなプレッシャーで身動きが取れない。

 

それを見た一誠と他の眷属達が駆け寄ろうとするが

 

「がっ!?」

 

一誠たちにも同じような重力(・・)が体の上から降り注ぎ、全員膝を落とした。

必死にもがくが──誰も体を起こせないほどの重圧が圧し掛かっていた。

 

そして──

 

「──小猫さんが怖がっているので止めて貰えますか?」

 

リアスは声が聞こえた方に必死に顔を向けると──そこには小猫の盾になる様な形で前に出て、

這い蹲る自分たちを路上にあるゴミを見るような目つきで眺めている

ひしぎの姿があった。

 

その冷徹な視線に当てられたリアスは全身を射抜かれ、心の底から恐怖に陥った。

傍目から見ていた分には差ほど最上級悪魔と魔王との間ぐらいの実力だと

想像していたが、実際対峙してみると──自身が悪魔だという強者の立場を忘れ

 

(──あの人には勝てない…お兄様といや、それ以上の──化け物!)

 

視線だけで自身との力の差を思い知らされたリアスは、

言葉を発することが出来ず、湧き上がる恐怖に体が震え始め、自身の体を支えている

腕にさえ力が入ってこなくなり崩れ落ちそうになった瞬間──

 

「ひしぎさん」

 

「──すみません、あまりしつこいので」

 

ひしぎはソーナに謝罪しつつ、体から発する膨大な威圧を解いた。

その瞬間リアス達に圧し掛かっていた重圧が消え、急に軽くなった事により、

皆バランスを崩し、倒れこんだ。

 

あまりにも桁違いな力を、威圧のみで自分たちを制圧した相手に、

全員言葉を発することが出来なかった。

 

ソーナはこうなってしまったのは仕方ないと思い、リアスの近くまで歩み寄り、

手を差し出した。

 

「ごめんなさいリアス。立てるかしら?」

 

「──っ、ええ」

 

ソーナの言葉により漸く視線を変え反応したリアスは、差し出された手を

掴み、いまだ完全に足に力が入らないが、体を起こした。

 

「出来るなら、大きな部屋で話がしたいの」

 

話が長くなるといい、出来れば家に入れてもほしいとソーナは伝えるが、

リアスは得体の知れない化け物──ひしぎを家に招く事は出来ないと伝える。

 

だが、ソーナは先ほどの事をもう一度謝罪し、ひしぎ自身も心には篭ってないが

軽率な行動したと表面上謝罪し、自身は何もしない事を約束し、

何なら、部屋の外に護衛を待機させても構わないと言った。

 

「──っ、分かったわ。私も先ほど冷静を欠けていたもの、こちらこそごめんなさい」

 

ソーナの訴えにリアスは先ほどの自身の行動を省みて反省し渋々了承した。

そう何も警戒する必要はないのだ、行方不明だった小猫を連れてきてくれたのだから、

それに、ひしぎと云う男はソーナの指示に素直に従っているので、親友を信じることにした。

 

リアスは一誠たちにも敵対しないようによく言い聞かせ、来客室まで4人を案内した。

煌びやかなシャンデリア、高級家具が置いてあり、その中央に大きなテーブルと

対面になるようにソファーが二つあった。

 

リアスが座るとその対面にソーナ、その隣には小猫が座り、ひしぎとロスヴァイセは二人が座る

ソファーの後ろでたったまま成り行きを見守る事にした。

 

話が始まる前に、朱乃が皆にお茶を配り一息ついたところで、ソーナが口を開いた。

 

「さてリアス。単刀直入に言います──小猫さんの身柄はうちで引き取ります」

 

その瞬間、リアスと後ろに控えている一誠たちの表情が強張った。

だが、そんなの想定済みと言わんばかりにソーナは無表情を貫く。

 

数秒間の沈黙の後、漸くリアスが口を開いた。

 

「──言ってる意味が分からないわ。どういう考えで、そう至ったか説明して頂戴」

 

明らかに怒りの声音を含んだ様子だった。

リアスの中ではまだ、どういう経緯でそういう言葉を掛けられたのかが

理解出来てない様子だった。

 

だが、それは無理もない事。

 

まさか、自身の眷属の中からそのような行動(・・・・・・・)を取る者が出るとは

考えたくない事だったから。

 

彼女は身内に非常に甘く、逆に非常になれない分そういう考えを放棄している節があり、

ソーナは本当に甘いと思うが、そういうリアスだったからこそ愛おしく、羨ましく

自分は親友として助けてあげたい、助けてほしいと思う。

 

だからこそソーナはこれ以上親友のリアスに堕ちて(・・・)ほしくない為、

今までのように対等でありたいと願い、あえて無情にも現実を叩き付けた。

 

「リアス。本当は貴方も気づいてるわよね? 言い難いのは分かります。でも、口にしないと

 皆に伝わらないから、私が言います──小猫さんはリアス、貴方に対して

 恐怖を感じてるからよ」

 

「──っ!」

 

リアスは言葉に詰まる──そう、彼女自身思い当たる節はあったが、認めたくなかったのだ。

小猫の自身を見る瞳が揺れており、逆に自分が見ると、体をかすかに震えさせている事に。

そして、ずっとソーナの傍から離れず、自分たち側に来ないという事が

何よりの証拠だった。

 

「認めなさいリアス──出なければ貴方は王としても失格になりますよ?」

 

認めなければ眷属を従える王としても未熟と判断されかねない事であり、

だからこそ、それを自覚してほしいためにソーナは続ける。

 

「貴方の立場は良く分かっているわ。でもね、リアス。このまま無理やり

 戻してしまえば、完全に貴方達の関係は修復不可能になる。それに、今は良くても

 将来綻びがでて、貴方は本当に眷属を信頼(・・)愛する事(・・・・)が出来なくなる可能性も

 出てきます。だからこそ、一旦間を開ける事も重要よ」

 

今いてる眷属達も将来どうなるか分からない、そして今後入ってくる眷属然り。

だからこそ、無理やり戻したとなるとリアス・グレモリーに対しての評価が断然落ちる。

グレモリー家は『深い情愛』を持つ悪魔として有名ではあるが、そんな事をしてしまったら

その情愛深いとされる部分すら、嘘と噂される事になる。

 

逆に情愛深いからこそ無理やり戻ってこさせたと、捉える事も出来るが、

それはそれで、一種の暴走ととられる場合もある。

 

小猫に助けてほしいと言われ、両方を守るにはこの手しかなかったのだ。

この一件でリアスに嫌われる、侮蔑されるかもしれない可能性もあるが、

親友だから、リアスの事を友達として大切に思っているからソーナはあえて

嫌われるような道を選んだ。

 

何より、大事な友達同士がそうなってしまい、見てられなかった。

本当に自身は損な性格をしていると自覚しつつ、リアスの返答を待った。

 

「──私は小猫自身の言葉を聞きたいわ」

 

漸く沈黙を経て彼女が開いた言葉は、小猫本人からの言葉で聞きたいということだった。

ソーナの事は信頼している、だけどやはり本人の口から本心を聞きたいと思ったリアス。

その視線に当てられた無意識に体が震えるが、今度は逃げないように視線を返す。

 

小猫は深呼吸して、荒れ狂う心を必死に抑え、震える口から言葉を紡ぎだした。

 

「──わ、私は、リアス部長の事は信頼してますし、尊敬しています」

 

必死に紡ぎだしたその言葉にリアスは表情を緩める、だが、小猫の言葉はまだ続いている。

 

「でも、今私自身、リアス部長の所に帰ったら──気が狂いそうになります。

 姉様の事に関してもリアス部長が私を助ける為に取った行動だって理解(・・)してます。

 でも、一旦距離を開けたいです」

 

偽りない本心からの言葉であり──リアスの表情は曇り、後ろにいる一誠たちも

騒然とするが、後ろに控えている彼らには予め会話に入ってこないように命令していた。

 

「──っ」

 

息を飲むリアスだが、最近の起こった出来事から小猫の姉の黒歌の件に関して様々な要素が

関連しており、心の奥底ではこうなってしまった事に納得がいく自分も居た。

 

一誠やアーシアの言うとおりに、ちゃんと小猫を話をしなかった事が悔やまれる。

だが、後悔しても遅い。既に彼女は自身を見るたびに怯えている。

 

無表情だが、人懐っこく愛くるしい学園でも、眷属の中でもマスコット的な

存在だった小猫が、あれほど動揺し怯えている。

 

それほど自分が彼女に与えた衝撃はすごかったのだ、と改めて身をもって知り、

だからこそリアスは決断しなければならなかった。

 

自身と小猫の為にも。

 

お互い大切に思うならば──取る道は一つである。

苦渋の決断だが、これは自分の失態であり、王としての未熟さもあり、

実力に関しても未熟だった為起きた事故である。

 

黒歌に関してはあれは誰も予測が出来なかった事故、それは小猫自身も十分に分かっている。

だけど、目の前でああなってしまえば、分かっていてもそうなるとリアスは理解した。

 

「──我侭を言って本当にごめんなさい」

 

自分が我侭を言ってる事を十分理解している小猫はリアスとその仲間たちに向けて頭を下げた。

だけど、もう心に限界が来ていた。

 

なぜなら両親の顔は覚えておらず、姉が母親の代わりだった。

そして幼い時捨てられ、小猫は心失い成長が止まり──リアスの元で数年かけて

漸く回復してきたがその空白の間心が成長しておらず、

外見と同じぐらい小猫の心は未熟だった。

 

小猫の謝罪を聞き──漸く決心が付いたリアスはふと、表情を緩め優しく小猫に微笑み

 

「──分かったわ。ソーナ、小猫をよろしくね」

 

その言葉に後ろに居る眷属達は何か言いたそうだったがリアスは制止し、

 

「小猫、私達は例え眷属で無くても仲間よ──だから、いつでも帰ってきて大丈夫だからね」

 

「はい。ありがとうございます」

 

リアス言葉に心から感謝し、もう一度小猫は皆に頭を下げた。

その光景を見ていたソーナは内心安堵していた。

 

前もって用意していた策は使わなくて済み、この二人の様子だと関係の修復に

そう時間は掛からないと確信した。

 

ただ、策は使ってないが結果的に小猫はリアスの『戦車』では無くなるので、

こちら側からの『戦車』の出場も結果的に禁止される形となった。

 

駒が足りない場合ゲームに対して戦略が大きく変動するので、帰ったら一から

考え直さなくてはならない。

 

と、考えているうちに話し合いは終了した。

 

後日、小猫の荷物などはリアス側から配達する事となり、

その日4人はそのままソーナの実家に帰還した。

 

リアスは4人を見送った後眷属達を集めて緊急会議を開き、自らの未熟さを

全員に謝罪し、今後こういう事が起きないようにすると誓った。

 

この日、漸く己の未熟さに向き合う事でリアスは──一歩前進する事が出来き、

眷属との絆を深め合った。

 

小猫も自身の心の弱さを克服する為に、前へ進む事を決意し、

この二人は自分自身へ向き合う事で──成長が始まった。

 

 

 

──リアス・グレモリー眷属、『戦車』搭城小猫 離脱

 

──ソーナ・シトリー側に『戦車』搭城小猫 登録

 

『なお、近日行われるゲームには搭城小猫の参加は禁止。

 公平を図る為に、シトリー側から更に『戦車』の参加を禁ず』

 

との連絡が、正式にソーナとリアスに届いた。

ただ、ゲームの関係者のみ知る事情であり、外部には直前に『戦車』の駒の不調の為、

フィールドに転移出来ないと通達し、直前で分かった為、試合日変更は出来ず、

『戦車』使用禁止というルールで開始すると通達される事となった。

 

 

 

あの日、帰還してすぐに小猫とソーナは自身の眷属で『戦車』の由良に頭を下げた。

自分達の所為で初試合に出場できなくなった事を心から謝罪し、

なぜそうなったか理由を聞いた由良は、怒る素振りも無く

 

「確かに私たちの夢の第一歩である試合に出れないのはすごく悔しいけど、

 大切な仲間を助けた結果なら、私は喜んで欠場しよう」

 

そう言って由良は笑顔で二人を許した。

 

そして、その日から小猫を交え更なる修行を開始。

『白夜』が手に戻ってきたひしぎは制限がなくなった為、皆──死ぬ気で日々を生き抜いた。

 

ソーナは試合日の2日前は修行を午前中で終了させ、午後からは試合について会議を開く事にし、

眷属達とひしぎ、ロスヴァイセを会議室に集合させた。

 

午前中でボロボロにされた皆は一旦風呂と着替えを済ませては居るが、

心の疲労だけは抜けきってはいなかったが、全員気持ちを入れかれる。

 

皆が椅子に座り準備が出来たのを確認すると、隣で控えていた椿姫に促した。

 

「椿姫、映像を」

 

「はい」

 

椿姫はソーナの指示に従い、部屋の側面に付けられているテレビに電源をいれ、

映像を流し始め、皆側面に流れ始めた映像に視線を向ける。

 

そこにはコカビエル戦や、『禍の団』襲撃の際の戦闘映像が流れ始め、

椿姫は機材を操作し、ある人物を中心にもってきた。

そこに映ったのは、聖魔剣を自在に操る金髪の青年──木場祐斗である。

 

「まず、木場くんに関してから進めましょう」

 

そう、この会議の目的はリアス側の戦力の再確認である。

 

「まず彼は神器の『禁手』に至った事よって聖剣も生み出すことが出来、

 我々悪魔に対しての絶対的な優位を持ちます」

 

聖属性に対して絶対的なダメージを受ける悪魔は、彼の作る剣を一太刀でも

受けると致命傷になる。

 

「クラスは『騎士』であり、速さによる高速戦闘が可能。

 彼は我々に一太刀さえ浴びせれば勝利は確実となるので、彼と対峙する場合

 絶対に当たらない事を前提で戦闘するしかありません」

 

ソーナは木場の戦闘スタイル、神器を簡単に説明し、眷属達にどう立ち回りするか徹底させる。

 

「一太刀でも浴びればダメージは底知れないので、一撃で離脱もありえます。

 故に彼とまともに打ち合えるのは椿姫と巴柄だけ、もし他の者が対峙した場合、

 回避優先で撤退するしかありません」

 

一撃必殺を持ち、速さを生かした剣戟は自分達の陣営に対してある意味、

『赤龍帝』である一誠より危険度が高い。

 

「そして次にゼノヴィアさん」

 

祐斗の次に映ったのはデュランダルを振るうゼノヴィアの姿である。

彼女もまた聖剣デュランダルに選ばれし女性、それは転生悪魔になっても変わらない。

 

「彼女も聖剣を扱う希少な転生悪魔です。ただ、木場くんと違って速度より、

 攻撃力重視の戦闘スタイルです」

 

同じ騎士であるが速度は祐斗ほど無く、パワーよりの戦闘スタイルで手数より、

重い一撃を繰り出し相手を叩き潰す戦法である。

 

「彼女の攻撃は彼ほど鋭くも無いので、誰が対峙しても十分戦闘可能です」

 

彼女の繰り出す攻撃スピードはひしぎに鍛えられた全員が対応可能となっていた。

ただ、あの後どれほど成長しているか分からない為、

祐斗の場合のみは2人以外に撤退を促したのだ。

 

そして次に映し出されるのは、『女王』の朱乃

 

「彼女は遠距離型で、雷の魔法を主に使います。攻撃重視ですが、『女王』の駒に

 よって各ステータスも向上しているので総合力では眷属の中でトップクラスの

 実力者です」

 

魔法主体の戦闘スタイルであり、眷属の中でも戦闘の流れを読む事に長けており、

十分に注意しなければならない相手。

 

「彼女と対峙した場合最低でも2人がかり。一対一の場合は

 遠距離型の私や桃、憐耶でしか対処できません」

 

ソーナの解説に頷く眷属達。

 

「そして、未確認情報ですが──彼女の生い立ちは少し特殊であり、

 光属性の攻撃を使用して来るかもしれませんので──防御する際は十分

 注意しなければなりません」

 

これはソーナがリアスから朱乃に関して昔直接聞いた話であり、

堕天使のハーフである事実を知っている。

だが、朱乃は頑なに堕天使の力を使わなかった──だが、今回の試合は

お互い大事な試合である故に、その力を克服、解禁してくる可能性もあった。

 

だからこそ、話を濁しながら眷属達に注意を呼びかけた。

 

そして次に映し出されたのは、ハーフヴァンパイアであるギャスパー

 

「次に、私たちの試合から参戦する『僧侶』であるギャスパー君。

 彼の持つ神器『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』は視界に入ったモノの、

 時間を停止させる能力です。これは皆体験済みなはずなので、彼と戦う際は

 必ず遮蔽物を利用しながら、死角から攻撃する事。幸い彼は、最近まで引き篭もりだったので、

 運動神経に難があるはずなので、そこをつきます。後、吸血鬼なので弱点は多いので、

 神器にさえ注意すれば問題ない相手です」

 

生徒会長であるソーナは彼の素行を全て把握している為、運動能力はまだ低いと

判断でき、視界に映らなければ誰でも対処可能だと教えた。

 

そして、次に映ったのは同じく『僧侶』のアーシア。

 

「彼女に関しては直接的な戦闘能力は皆無ですが。回復系の神器をもつ貴重な存在です。

 こういうゲームに限らず、戦場でも彼女の有無で戦況が変わります。

 なので前線で発見した際、最優先で叩きます」

 

それほど、アーシアの存在は貴重であり危険であった。

次に映し出されたのは一誠である。

 

「彼はあの事件の際に『禁手』に至り、眷属内でも恐らく最大戦力です。

 だから、彼に関しては直接ぶつかると分が悪いので、搦め手を使用したいと思います」

 

あれほどの攻撃力を所持している相手に正面から態々ぶつかる必要は無いのだ。

それに、まだ『禁手』に成り立てなので完全に『禁手化』を制御出来ていない可能性もある。

 

だからこそ、付け入る隙はいくらでもある。

 

だが、ここでソーナの提案に意義を唱えるものが一人居た。

 

「ソーナ会長。兵藤とはサシでやらせてください!」

 

突然立ち上がり、匙はソーナに向けて頭を下げてお願いした。

 

なぜ匙はこのように意義を唱えたかと云うと、一誠に対して特別な感情を持っていたのだ。

同期であり、同じ『兵士』、友人であり、ドラゴンを宿すもの。

自分は五大龍王の一角だが、一誠は伝説と謳われる龍を宿しており、

同じドラゴンを宿すものとしての劣等感を抱いていた。

 

コカビエル襲撃時に何も出来なかった自分、そして『禍の団』襲撃の際も、

何も出来なくて、ただただ一誠の行動を見ているしかなく、

同じ『兵士』として差を大いに付けられた気分だった。

 

だからこそ匙は一誠を目標にし、それを超える為に力を欲し、

ひしぎに鍛えられ、死に物狂いで日々を生き──漸く手が届くかもしれない所まできたのだ。

策など使用せず、正面からぶつかりたいと、ソーナに頭を下げた。

 

ただ、あくまでも今の(・・)目標は一誠だ

 

元々匙の中にそのような感情が燻っているのは修行中何度も言葉として聞いており、

そう云う感情は痛い(・・)ほど知っている。

 

ならば、答えは一つ

 

「分かりました。匙。絶対に兵藤君を倒しなさい。あの日々を生き抜いた貴方は

 十分に強い──だから、絶対に勝ちなさい」

 

ソーナの激励の言葉に、匙は感極まって涙が出そうになるが、堪えて頭を下げて礼をした。

 

「──はいっ!必ずや倒してみせます!」

 

匙が席に座りなおすと映像が切り替わり、最後は『王』であるリアス。

 

「リアスは、基本的に姫島さんと同じタイプですが『滅び』の魔法がとても厄介です。

 ですが、それを上回る力で防御すれば問題ありません」

 

『滅び』の魔法は文字通り全て例外なく消滅させるバアル家特有の魔法である。

だが、そう判断できる材料は幾らでもあった。

例えばコカビエル戦の時、彼女の放った滅びの一撃は、意図も容易く弾かれ、

防御されていた。

 

故に考えられるのは放つ術者の力より、力関係が上であれば防ぐ事は可能と云うことなのだ。

そして長年親友であった故にクセなどは全て承知済み、だからこそ、幾らでも対策は立てれる。

 

それは相手も同じだが、ソーナはリアスへの対抗策を用意できているので、

直接対峙した場合約8割がた負けることは無いだろうと判断していた。

 

それは単なる油断、驕りではなく、綿密に計算された戦略から導き出された結果である。

 

「一通りの説明は終わったので、このまま戦闘映像を見ながら相手のクセや

 パターン、思考などを一つずつ洗いなおしていきましょう」

 

簡単に説明が終わった後は、今日の就寝時間まで戦闘映像を見ながら、

出来る限り相手の戦闘能力を把握し、イメージして更なる対策を皆で考えることにした。

 

そして明日は試合の前日なので完全休養にしているので、今日中に煮詰める感じで

皆、最後まで気合を入れてがんばった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、運命の試合日が漸く訪れる

 

 




こんにちは、夜来華です。

小猫とリアスの別離、再出発の話です。
ただ、状況的に話がほとんど進んでない状態になってしまいました・・・
でも、ダイジェストで終わらせる事は出来なかったので、
ほぼ丸々1話使ってしまいました。

原作より、小猫の精神は幼い設定です。

賛否両論あるかもしれませんが、これによってリアス自身も後は上るだけ、
大幅に成長する形となっています。


そしてやはり、影が薄い主人公・・・・

次回は漸くレーティングケームに入ります。

感想、一言頂けると嬉しいです。

では、またお会いしましょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。