Fate/Extra Summon   作:新月

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今回からEXTRA本編です。



予選期間①

「ふむ、服装よし。頭髪よし。カバンの中にも違反しているような物は何も入っていないな」

 

「うむ、実に素晴らしい。何処からどう見ても、完璧な【月海原学園】の生徒の姿だ。」

 

 僕の風紀検査を終えると、目の前の生徒役員の【柳洞 一成】は、次の生徒の検査に移っていった。

 その僕の横を、他の生徒達がこの朝のイベントをお喋りの種にしながら、教室に向かっていった。

 その流れに乗って、僕も一緒に校舎の中に入って言った。

 

 

 

  ★☆★

 

 

 

「ん? なんだ、いつの間に来てたんだい? 悪いね、地味すぎて気づかなかった」

 

「お前とはほら―――――――一年生の頃からの付き合いだったっけ。ま、でも気にする必要は無いんじゃない?平凡な自分を卑下することは無いさ」

 

「誰だって、才能溢れる人間のそばじゃあ退屈な奴に見えてしまうからね!」

 

 目の前で僕の親友、【間桐 慎二】が何か言っている。

 その近くで取り巻きの女子がキャーキャー言っている。

 

 その後暫くしたら、始業ベルが鳴った。

 ベルが鳴ると同時に教室に入ってきたのは、【藤村 大河】先生だった。

 

「よーし間に合ったーあ! みんな、おは――――――」

 

 ギゴン、と。

 生物学的にやばい音をたてて、藤村先生はスッ転んだ。

 

 その後、何事も無かったかのように先生は立ち上がり、授業を進めていった。

 

 

 

 

  ★☆★

 

 

 

「おっと、まだ残ってたのかい? ……ふーん。ちょっと珍しいな。放課後の予定とかある? デートとか?」

 

「ははっなんてな! お前なんかにそんなシャレた予定入ってるわけ無いか!」

 

 そんな事を言う慎二と分かれ、とりあえず僕は屋上に向かった。

 

 

  ★☆★   

 

 

 屋上には、僕以外誰もいなかった。

 そこには、その鮮やかな色彩だけで息を飲んでしまう、赤い夕暮れ。

 その景色を見ながら僕は柵に寄りかかり、ため息をついた。

 

「ふう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうなってんのさこれエエエエエエエエえええええええぇぇぇぇっぇぇぇっぇぇぇぇぇっぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 恐らく、校内に残っている人たち全員にも聞こえる程の声で、僕は叫んだ。

 だけど、今はそんな事には構ってられないって!!

 

 何さこれ!?

 何で僕この月海原学園とか言う学校の生徒になってんのさ!?

 違うよこれ、文月学園だよ僕は!!

 制服まで変わってるしさ!!

 ていうか何で僕知らない人の名前知ってるの!?

 藤村って誰さ!

 慎二って誰さ!?

 ていうか何であんな嫌味なワカメがモテるのさ!!

 ていうかウザ過ぎるし!!

 そしてさっきから視界がなんかザザーってなってるし!!

 そもそも僕はババア長の部屋にいたはずだよね!?

 

 どうなってんのさあああぁぁぁっぁぁぁっぁっぁぁ!!

 

 とまあ、ここまでの思考をわずか0.5秒ほどでやった僕なのでした。

 いやあ、突っ込みまくった、おかげで少しだけすっきりしたよ。

 

「うえっ!? うわわぁっ!?」

「ん?」

 

 そんな声が僕が屋上に入ってきた扉の上の方から聞こえ、その後ドスンっと何か生々しいものが落ちたような鈍い音が響いた。

 そっちの方を見ると、黒髪のツインテールをした赤い服を着た少女が尻餅をついていた。

 

「痛、いたた……ちょっと、そこのあなた!! いきなり急に叫びだすから、びっくりして落ちちゃったじゃないの!!」

 

 全くもー、と言いながらその少女は立ち上がって、よっぽど痛かったのか腰をさすっていた。

 ていうか、また変わった人が来た……

 

「ええと……君、だれ?」

「人に名前を尋ねるときはまず自分から、じゃないかしら? ふう、まあいいわ。【遠坂 凛】よ」

 

 そう言うと、遠坂 凛と名乗ったその少女は、乱れた髪をバサッと片手で後ろにまわした。

 その仕草一つ一つが精錬されていて、正直そこらへんの男子なら全員見惚れるほどのものだと僕は思った。

 

「あ、えっと、僕は吉井明久って言うんだ、よろしく」

「全く。いきなり屋上に来て叫びだすなんて、いくら何でも非常識じゃないかしら」

「いやあ、ちょっと叫ばないとやってられない気持ちになって……」

 

 凛は少し呆れた表情で、僕の方を見てきた。

 うう、だって仕方なかったんだよ。

 こっちはいきなり知らない学園の生徒になってるし。

 視界がなんかザザーってなってるし。

 何故かものすごくウザったいワカメの親友になっていたりして何が何だかわかんなくなっててさー」

 

「・・・っ!? あなた・・・!」

「へ? ……あ、口にでてた?」

 

 うわー、しまった。

 いきなり見知らぬ人にこんな愚痴を聞かされて、おかしいって思わない人なんていないよね……

 なんか警戒した顔をして、こっち見てるし……

 

「こいつ、既に記憶を取り戻してる……? 馬鹿そうな見た目と違ってかなりの強さをもった魔術師(ウィザード)なのかしら・・・?」

「あれ? 今なんかさらっと失礼なこと言ってなかった?」

 

 ていうか、魔術師(ウィザード)ってなに?

 そう、何か凛が呟いていると、彼女の中で整理がついたのか、こっちを警戒したまま話しかけてきた。

 

「確か、吉井だったかしら? その名前、覚えておくわ。予選を通過したら、戦う事になるでしょうね」

「あ、ちょっと!」

 

 そう言いたい事を言うだけ言って、遠坂さんはフッと、まるで最初から誰も居なかったかのようにその場から消えた。

 

「消えた!? 一体何なのさ……」

 

 それに魔術師(ウィザード)とか、予選って何?

 何か、僕の知らない間にとんでもない事に巻き込まれているような気がする……

 

「む、まだ残っていたのか?」

 

 悩んでいると、屋上の扉から一成がいつの間にか来ていた。

 

「今日はもう遅い。そろそろ家に帰ったほうがいいぞ」

 

 いや、あのさ……帰るって言っても、一体何処に……

 

 

 

 

  ☆★☆

 

 

 

 

「おはよう! 今朝も気持ちのいい晴天で大変結構!」

 

「………………………………………………………………………………………………………………」

 

 うん。

 

「何でさああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁっ!?」

 

 いつの間に朝に!?

 帰った覚えも寝た覚えも無いよ!?

 

「ふむ、服装よし。頭髪よし。カバンの中にも違反しているような物は何も入っていないな」

 

 思いっきり校門前で人目を憚らずに叫んだけど、この僕の悲鳴に驚いたりして反応したのはわずかな生徒だった。

 それ以外の人たちは、まるで何事も無かったかのように、“いつも通りの”登校をしていた。

 横に居る一成も、僕の声に全く無反応だった。

 ちなみに彼はいつも通りの風紀検査をしているが、その彼の前には“誰も居ない”。

 

「いや、気づこうよ!? 何でみんな気がつかないのさ!?」

 

 何人かは違和感を感じていたようだけど、殆どがすぐに気にせずに教室に向かって行った。

 明らかにおかし過ぎるって!?

 あ~、頭が痛くなってきた……

 何か、更に視界のノイズが酷くなってきた……

 

「本当に、何で気がつかないんだろう……まるで、RPGのゲームの中に入ったみたいじゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ。

 

 

 

 その考えに行き着いたとたん、僕の視界は急にノイズが無くなり、クリアになった。

 そっか、そうだよ。

 

 

 

 

 

 

  “現実味がないんだ”この世界は。

 

 

 

 

 まるで僕自身がゲームの世界に入ってプレイしているように感じる。

 隣にいる一成は、町の入り口近くでやたら町名を繰り返すキャラクターみたいだ。

 その事に気がつくと、周りの建物全てが作り物のようにも感じられた。

 

「ヴァーチャル世界……って奴、かな?」

 

 昔、どこかで聞いたような言葉が思い浮かんだけど、不思議とそれが正解に感じられた。

 今じゃもう、周りの風景に現実味が感じられなくなってしまっている。

 

「けど、どういう事……?」

 

 そう、その事実に行き着いたからって、結局どうなんだという事になる。

 仮に、この世界が作り物だと仮定しよう。

 なら、なんで僕はそんなところに居て、この学校生活行っているのかが分からない。

 どうしてここに居るかは、ババア長の実験の失敗のせいが原因だとは予想はつくけど……

 

「……あ、姫路さんは?」

 

 そうだよ、もし本当にババア長の実験のせいなら、近くに居た姫路さんが巻き込まれている可能性が高いじゃないか!?

 ババア長はともかく、姫路さんは無事なのかどうかは確認しないと!

 ババア長はともかく!(大事な事なので二回言った)

 

「おい、何やってるんだ。早く入らないと遅刻するぞ」

「あ、うん」

 

 今は手がかりも何も無いし、しょうがない……

 とりあえず、この学園生活を続けながら、姫路さんが巻き込まれていないかを探そう。

 

 

 

 ★☆★

 

 

 

「はーい、みんなー。今日は臨時の新しい先生を紹介するわよー」

「……葛木だ」

 

「………………………………………………………………………………………………………………」

 

 うん。

 何さあのビジュアル系!?

 明らかに先生っぽくない服してんじゃん、突っ込みどころ満載じゃん!!

 誰もその事に突っ込まない事に胃に穴が開きそうだよ!!

 

「やっぱ学園生活続けるの間違ったかなー……」

 

 そう机に突っ伏しながら、思ったことを呟いていると、藤村先生が更に続けた。

 

「はーい、みんなー。今日は他にも、転校生を紹介するわよー」

 

 えー、まだあるの?

 そう呟きながら、僕は重たい上半身を持ち上げて教卓の方を見ると……

 

「皆さん、僕の名は、【レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ】」

 

 そこにいたのは、赤い色のスーツを来た、金髪の少年だった。

 

「いずれ世界中の誰もが僕の事を知りますが、今はあなた達の学友です。この幸運を嬉しく思います。それでは皆さん、暫くよろしくお願いします」

 

 その少年の自己紹介が済むと、教室は無音だった。

 まるで彼は王だった。

 誰もが少年の佇まいに圧倒され、あるいは、見惚れていた。

 

 そう言う僕は……

 

 

 

「さっきの自己紹介、下手したら中二病全快に聞こえるよなあ……」

 

 と、ずれた事を考えていた。

 あと、イケメンは死ね、とも考えていた。

 

「ちっ気に入らないな……」

 

 ちなみに隣にいる慎二も、僕と同じ気持ちのようだった。

 今度FFF団を組もうかなと思う。

 

 その後、僕から見たら藤村先生を口説いているようにも聞こえるようなことを話して、開いている席に座ろうと近づいてきた。

 

「……あなたは面白い人ですね」

「へっ!?」

 

 レオが席に座る直前、明らかに僕の方を見てそう言った。

 

「あなたと戦うのが、今から楽しみに思います」

 

 そう言うと、言いたい事は終わったのか、レオは席に座り前の方を見た。

 何で急に声を掛けて来たんだろう……それに、戦うって……?

 

「…………」

 

 教卓の方を見てみると、葛木先生も明らかに僕の方を睨みつけるように見ていた。

 あれ、僕なんかした!?

 

 そう思いながら、僕はこの授業が早く終わり、放課後になるように祈った。

 

 

 

 

  ★☆★

 

 

 

 

「さってと、姫路さんが居るかどうか探さないとね……ん?」

 

 そう呟きながら、僕は廊下を歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「……以上が現在の状況です。システム側が用意した脚本から脱却したものは、全体の約三割程。皆、自分が何者なのか取り戻したようです」

「この声は……葛木先生? それに相手は……レオ?」

 

 僕はちょうど廊下の曲がり角から、見覚えのある赤いスーツを見て相手を判断した。

 何を話してるんだろう?

 そう気になった僕は、隠れて話を聞く事にした。

 

「能力的には全てA級の者達ばかりですが……特筆すべきは早い段階で突破した、あの女かと。ウィザードとしての平均の能力の高さはもとより、天性の感のよさ……と申しましょうか」

「遠坂 凛……ですか。彼女の行動力には、ハーウェイのアジア支部も手を焼いていましたっけ」

 

 遠坂 凛……?

 それって、昨日僕が屋上であった彼女の事か。

 どうやら、僕が思っているより凄い人物だったらしい。

 

「彼女の事はわかりました。忠告として、胸に刻みます。では、他に大きな動きは?」

「それ以外に注目すべきは、例の錬金術師達が送り込んだ刺客、でしょうか」

「……ああ、そういえば錬金術師達の戦闘は、直に見たことはありませんでしたね」

 

 錬金術師?

 なんだか僕にとって、良く分からないワードだらけだ。

 

「それに一応、もう一人。あの【吉井明久】という男ですが……」

「っ!?」

 

 続けて言った葛木先生の言葉に、僕は驚愕した。

 何で僕が目を付けられてるの!?

 正直我ながらたいした人物では無いと思うんだけど、Fクラスだし。

 僕はより一層聞き逃さないように、意識を集中した。

 

「ああ、あの面白い彼ですか。 校門前で、思いっきり大声を出していた」

 

 まさかそれ!?

 それで目を付けられたの僕!?

 あまりにもあんまりなんだけど、なんて言ったらいいのさ、この気持ち……

 

「ええ。傍から見ると、どう見てもただの馬鹿にしか見えませんが……」

 

 何で僕、こんな所までも馬鹿呼ばわり割されなくちゃいけないんだろうか……

 そう複雑な心境になっていると……

 

「遠坂凛同様、かなり早い段階で脚本から脱却を果たしています。少なくとも、始めに脱却した順で五人以内には」

 

 脚本?

 脚本って何の事だろう?

 そもそも、僕はただ気が付いたらいつの間にかこの変な世界にいただけだというのに。

 

「そして、あの男の両腕に、【腕輪】が付いております」

 

 腕輪?

 そういえば、僕の両腕には召喚獣を二体に増やす【白金の腕輪】と、こないだの実験のときに学園長から貰った【黒金の腕輪】が付いている。

 それが一体どうしたんだろう?

 

「詳しい情報は分かりませんが、あれはかなり特殊な魔術礼装だと思われます。ここへ来てから、あの腕輪からおかしなコードが感じられるので……」

「なるほど……面白い方とは思っていましたが、思ったより実力を持っていそうですね」

 

 これが原因か!?

 僕は頭を抱えた。

 何だか良く分からないけど、僕の勘があの二人に関わっちゃいけないと会った時から警報を鳴らしている。

 なのに、正直僕は本当にたいした事ないのに、腕輪のせいで目を付けられてしまっている。

 コードとか魔術礼装とかわかんないし、ああ何か鬱になって来た……。

 

「報告は、以上です」

「ええ、ありがとうございます。僕達は仮にも教師と生徒。接触は極力避けるべきでしょうね」

「ええ、そのほうがよろしいかと……」

 

 っと、もう話は終わりそうだ。

 まあ、僕が目を付けられているって事が分かったのは良かったかな。

 

「それでは、お気を付けて」

「ええ、あなたも。“兄さん”」

「!?」

 

 そう言って、二人の気配は全く同時に消えた。

 僕はふう、と息をついた。

 

「あー、いろいろびっくりした……ていうか、兄弟だったんだあの二人……」

 

 けど、なんで年上の葛木先生が敬語だったんだろう?

 その事がちょっと気になったが、まあ置いておこう。

 

「それより、姫路さんを探そう」

 

 もしこっちに来てないならそれはそれでいいが、もしものために探しておかなくちゃ。

 そう決意して、僕はその場を離れて行った。

 

 

  ★☆★

 

 

「うーん……姫路さん、見つからないなあ……」

 

 あれから暫くして、僕はずっと姫路さんを探し続けていたけど、見つけられないまま三階の廊下を歩いていた。

 

「やっぱり、こっちには来ていないのかな……?」

 

 出来ればそうであって欲しい、こんなわけの分からない世界に姫路さんがいるのは危険だと思うから。

 けど、まだいないという保証もないから、ふらふらと歩き回りながら探していると、ふと窓の外を見ると中庭の中央に誰かいたのを見つけた。

 

「あれ? あの子は……?」

 

 その子は褐色の肌で、紫の髪色をしていた。

 両手を不思議な形に組合わせて、まるで瞑想をしているかのようだった。

 

「…………ッ」

 

 ゴウッと。

 

 その子が少し動いたかと思うと、次の瞬間衝撃波が襲い掛かってきた。

 

「うわあっ!?」

 

 僕はその衝撃を耐え切れずに後ろに倒れ、ゴスッと後ろの壁に頭をぶつけてしまい痛い目に合った。

 ていうか、何今の!?

 

「いてて……何なのさ今の衝撃」

 

 いや、むしろあれはもう爆発だった。

 何で学校で爆発? いや、ここが普通の学校がどうかすら怪しいことは分かっていたけど……

 

「って、そういえばさっきの子は!?」

 

 あれだけの爆発だったんだ。

 その中心近くにいたあの子はひとたまりも無いだろうと、そう思って窓の方を見ようと立ち上がろうとすると……

 

「破壊を前提にした接触だったのですが。……頑丈なんですね、ここ」

「うえっ!?」

 

 僕の直ぐ近くに、さっきまで中庭にいたはずの子が立っていた。

 何で!? 一体いつの間に移動してたの!?

 

「あ……ごきげんよう」

「へ? えっと……ごきげんよう?」

 

 さっきの子は僕の事に気が付くと、いきなり挨拶をしてきた。

 展開についていけてなくて、僕の返事もなんかおかしくなってしまったけど。

 

「……不思議です。あなたを見ていると、何処か変な感覚がします」

「えーと……」

 

 急にそんな事を言われても、どう答えたらいいのか分からないんだけど……

 てか、僕にどうしろと?

 

「あなたは何処か、他の人と違う。もしやあなたが、師の言っていた……」

「もしもーし。何勝手に変な事言って、納得しているのさ」

 

 何か正直、どう対応したらいいのか分からない。

 いままでこんなタイプの人に会った事なんて無かったからなあ……

 

「よろしければ、あなたの名前を教えていただけますでしょうか?」

「え、あ、うん。吉井明久です……」

「吉井、明久……」

 

 そうその子は目をつぶって僕の名前を呟いた後、僕の方に向き直った。

 

「あなたとは、またお会いしそうです。では、ごきげんよう」

「あ、うん……」

 

 そう言って、その子は僕に背を向けてその場から去って行った。

 なんか、少し疲れた……

 何か、ここに来てから変にキャラが濃い人達ばっかに会ってる気がする……

 

「む、まだ残っていたのか?」

 

 そう考えていると、廊下の向こう側から一成がいつの間にかやって来ていた。

 

「今日はもう遅い。そろそろ家に帰ったほうがいいぞ」

「いや、帰るって一体何処に、ってこのパターンは……

 

 

 

 

  ☆★☆

 

 

 

 

「おはよう! 今朝も気持ちのいい晴天で大変結構!」

 

「………………………………………………………………………………………………………………」

 

 うん。

 

「またああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁっ!?」

 

 




と言うわけで、今回はギャグ中心の、EXTRA組との絡みをメインにしました。
よく考えるとEXTRA組も突っ込みどころ満載ですよね。

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