ワンパンマン&暗殺教室 一撃男VS超生物 作:ラルク・シェル
渚達E組がわかばパークの園長に怪我をさせたので、代わりにそこの児童達の相手をしていた。
初めは戸惑ったりしたけど、一週間ぐらいして殆んど慣れたある時。
「ここで飼っていたネコが消えた?」
「うん…ブッチーっていうブチネコで、みんなで飼ってたんだけど…」
わかばパークで1番年上の鬼屋敷さくらは、仏頂面で渚に話した。
「なるほど、それが突然いなくなったんだね」
「うん……3日も経ってるのに、全然見つからなくて」
さくらは少し落ち込んだりすると、渚が優しく彼女の頭を撫でた。
「心配しないで、僕も一緒に探してあげるから」
「ほんと?」
「もちろん」
「だったら、俺も手伝うよ」
いつのまにか赤羽が側にいた。
「え?カルマくんも?」
「だって、3人で探した方がいいと思うよ?なんか面白そうだし…」
「本音はそれだよね…じゃあ、行こうか」
「うん!」
「OK♪」
こうして渚と赤羽とさくらがネコ探しに向かった。
その頃、サイタマとジェノスとワイルドクロウ改め烏間が、ヒーロー協会の任務に向かっていた。
「悪いな。お前には奴の暗殺があるというのに」
「仕方ないさ。俺もヒーローになった身だし、なにより今はそんな状況じゃないからな」
「んで、今回の任務はなんだって?」
「どうやら、ある研究所で保管研究された怪獣が町に逃げ出したようでして」
「それで、CからB級までが町の各付近で見張り、動けるAからS級で怪獣を討伐らしい」
説明しながら3人が、その怪獣が潜伏している町に到着すると、その入口の前にはタンクトップタイガーとタンクトップブラックホールが立ってた。
「おい、兄貴!」
「ん?おっ、お前はっ!?」
「よぅ、2人共」
「なんで、テメェがA級とS級と一緒にいるんだよ!?」
2人はサイタマがジェノスと烏間と一緒にいることに驚いていた。
「なにって俺達もヒーロー協会からの任務に来たんだよ」
「そうだ。それにしても、貴様らまだサイタマ先生を目の仇に」
「止せ!仮に彼らも俺達と同じヒーローだ」
ジェノスがそんな2人に敵意をこもりながら睨んだりするが、烏間がすぐに止めたりする。
「ところで、俺が見張るのはどこのなの?」
そしてサイタマが自分が見張る所はどこか尋ねると、タイガーが不屈そうに答えた。
「あっちだよ。第4通り」
「サンキュー!じゃあ行こうか」
「貴様ら、またサイタマ先生を落とし入れようとするなら分かってるな!」
「ほらほら、早く行くぞ」
さっそく3人は言われた場所に向かった。
第4通りに到着すると、サイタマ達は立ち入れ禁止のバリケードを張った。
「こんなものかな?」
「では、俺と烏間はさっそく探索に行ってきます。なにかあったら携帯で連絡しますので」
「じゃあ、とりあえずここは任せた」
そのままジェノスと烏間は一度サイタマと別れて、町に突入していった。
町は人がいないので静けさでいっぱいだった。
「町の住人は殆んど避難したみたいだな」
「だな。他のヒーローはどこに…」
そんな時、どこからか声が聞こえた。
「ん?これは……」
「あっちかっ!」
急いで声のする方に向かう2人。
そして路地裏から聞こえてきたので、覗いて見るとボロボロにやられた2人のヒーローだった。
「これは…!」
「大丈夫か!しっかりしろ!!」
烏間はすぐに2人のヒーローに駆け寄る。
「うう……お主らはS級のジェノス殿とA級のワイルドクロウ殿」
「お前達は、俺と同じA級の?」
「そう、拙者は桃テリー。こちらはヘビィコング…」
「酷い怪我だ。いったいなにが!?」
桃テリーは弱っていながらも、この状況を説明し始めた。
「じつは…先程、逃げ出した怪獣と遭遇して…抗戦したんだがこの有り様でござる」
「で、その怪獣は今どこに?」
「それは……」
その時、ジェノスと烏間の後ろに、獣の唸り声が聞こえたので、思わず振り向いてみた。目の前には巨大な体格で目が四つのネコ型怪獣、グリムキャット。
「まさか…!」
「そう、これでござる」
烏間の質問に桃テリーが素直に答えた瞬間。
「ニャアーーーーー!!」
グリムキャットはジェノスと烏間を標的にし襲い掛かる。
その頃、渚と赤羽とさくらの3人が、立ち入り禁止になっている町に近づいてきた。
「もしかしたら、あの町にいるのかも?」
「たしかにね。わかばパークからそれなりに近いからね」
3人は丁度サイタマが見張ってる所に近づいて来た。
「あれ?お前ら」
「サイタマさん!」
サイタマに気付いた渚とカルマは、すぐ駆け寄った。
「なにしてんの?」
「もちろんヒーローの仕事」
「ただ、立ってるだけだろ?」
「なんだよ…」
「まぁまぁ、2人共…」
サイタマとカルマの間に嫌な空気になったりして、渚がなんとか宥めたりする。
そしてさくらは渚に質問する。
「ねぇ、コイツは?」
「え…と…彼はサイタマさん。ヒーローなの」
「ヒーロー?」
「んだよ?文句あるのか?」
サイタマが睨んだりするので、さくらも負けずに睨む。
「私…ヒーローってあんまり信用してないの。威張ってる割に弱いから…」
「さくらちゃん、たしかにサイタマさんは色々と誤解を受けやすいけど、とても強いヒーローなんだよ」
「お前、さり気なく酷い事言うな…」
そしてしばらくしてから、なぜ渚達がここに来たのか話した。
「つまり、お前らで飼っている猫が逃げ出したから…ここまで?」
「そうなんだ…でも、なんだか大変そうだね」
「まぁな。こっから先は一般人は入れない事になってんだ」
「そんな……」
諦めかけるさくらだったけども、カルマはこんな事を思いつく。
「じゃあさくらちゃん、サイタマと一緒に行ったらどうかな?」
「「「え?」」」
「俺らがここで見張ってるから、2人でネコを探しに行く。どうだ?」
カルマの考えた提案に渚達は呆然となっていた。
「それはさすがに…もし他のヒーローに見つかったりしたら、僕らが怒られたりサイタマさんがヒーロー協会クビになるかも…」
「その時はその時♪」
「そんないい加減な…」
さすがにこれはマズイと思う渚であったが、サイタマ本人はというと。
「別に、いいけど」
「い、いいの?」
「だって、暇だったし。それにヒーロークビになっても関係ねぇし」
「そうなんだ…」
「なんか、私の知っているヒーローとは、随分違っているのね…」
サイタマの能天気さにさくらも呆れてしまう。
そんな訳で、サイタマとさくらは町に突入して渚とカルマが代わりに見張りをした。
「んで、そのネコの特徴は?」
さくらを肩車しながらサイタマは、ブッチーというネコにどんな特徴があるのか尋ねた。
「白い部分が少なくて、黒い部分が多い…たとえるとタキシードみたいな感じで、青い【わかばパーク】って書かれた首輪をしていて…」
さくらがなんとかネコの特徴を説明する。
するとサイタマはネズミを銜えて走る黒と白の、タキシードみたいな柄で青い首輪の猫を見つける。
「なぁ、そのネコって…ん?」
その時、丁度横の壁が壊れたと思ったら、瓦礫に混じってジェノスが現れた。
「サイタマ先生!」
「ジェノス、大丈夫か?」
「心配いりません。それで先生は?」
「ちょっとネコ探し。ところでなにやってるの?」
「からっ、ワイルドクロウと目的の怪獣と戦っているところです!では!」
すぐにジェノスは壊れて穴の開いた壁から、元いた場所に戻っていった。
「なにあれ?」
「まぁ、一応俺の弟子」
こうして2人のネコ探しが再開した。
それからジェノスが急いで怪獣のいるところに着くと、烏間がたった一人で必死に戦っていた。
ちなみに彼は今、ジェノスをサイボーグ化させた科学者、クセーノ博士が作ったレーザーガンを使っていた。こんな時のためにジェノスが頼んだらしい。
「中々いいなぁ…」
烏間は結構気に入ってた。
だが、すぐにグリムキャットが爪で攻撃して来た。しかしジェノスのロケットパンチが、顔面に決まって姿勢を崩した。
「大丈夫か?」
「心配はいらない。それよりも」
「ああ、本気でやるか」
ジェノスが両手の焼却砲を構えて、烏間もレーザーガンとセットで作って貰ったレーザーナイフを構える。
その頃、こちらも激戦を極めてた。
「全く…何の為にこんなのを研究してたんだ?」
A級ヒーローの雷光ゲンジが相手してるのは、なんとジェノスと烏間が戦っているグリムキャットだった。
「とにかく、倒してやるさ!」
雷光ゲンジが2本のバトン型スタンガンを構えて、背中に背負った蓄電池からの電力を上げる。
「スタンバトン二刀流…行くぞ!!」
そして両足のローラースケートが高速回転して猛スピードで走り出す。
グリムキャットが爪で攻撃するが、雷光ゲンジは避けてジャンプ。そのまま両手のスタンバトンでグリムキャットの顔面をたたいて感電させる。
「良し、今だスティンガー!」
「このチャンス、待ってたぜ!!」
するとビルの上からスティンガーが飛び降りてきて、グリムキャットの頭を愛槍のタケノコで突き刺した。
「よっしゃ!これで任務完了だ!!」
「さてと、早いところ報告を」
だが、そんな時に2人の後ろから殺気を感じた。
「「え?」」
2人が振り向くとさっき倒したのと、ジェノス達が戦っているのと、姿は同じだけど2匹より大きく凶暴そうなグリムキャットの姿。
そして2人もなんとかグリムキャットを倒した。
ジェノスは服がズタズタになっただけだが、烏間は腕を怪我していてかなり血を流してた。
「大丈夫か?」
「これくらい平気だ。それより」
「ああ…恐らく子供だ」
「脱出後に出産したかもしれない。そして親もきっと」
「ぐぉぉぉぉぉわわわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「っっ!?」」
2人はこの巨大な叫び声を聞いて、さっそく聞こえた場所に向かった。
ついでに彼らも。
「なんだ、これ?」
「知らないけど、猛獣の叫び声じゃあ?」
サイタマとさくらも親キャットの大声を聞こえたが、全然理解していなかった。
「それよりも、早くブッチーを!」
「それって…あれか?」
「え?」
サイタマが指を刺した方向には、タキシード柄で青い首輪にネズミを銜えたネコ。
「あれだーーーー!!」
さくらが叫ぶとブッチーは急いで去って行った。
すぐにさくらもサイタマに降ろしてもらって、ブッチーの後を追いかけた。
「ブッチー!なんで逃げるの!?」
さくらがなんとか呼びかけるが、ブッチーは無視して走り続けたその時。
「ぐぉおおおおおおおお!!」
「え?」
さっきの親キャットが現れて、大きな口を開いて鋭い牙を見せながら襲い掛かった。
「き、きゃああああああ!!」
さくらが涙目で叫んでしまった瞬間。
「危ない!!」
突然なにものかが一瞬のうちに彼女を抱いてこの場を離れた。
「あれ?」
「大丈夫ですか?」
それは殺せんせーだった。
殺せんせーの超スピードでさくらを救助した。
そしてブッチーは公園に到着すると、そこには同じ柄の小猫2匹がいた。
だが、そこに先回りしたのかさっきの親キャットがいた。
「お前、子供がいたのか?」
しかしサイタマも現れてブッチーを抱きかかえる。
親キャットがすぐにサイタマを標的に爪で攻撃したが。
「てか、なんだコイツ?」
結局サイタマのワンパンチで瞬殺された。
それから。
「そっか!子供を生んでたのね!!」
さくらはブッチーとその子供を抱きかかえながら喜んだ。
そして渚とカルマは殺せんせーと烏間に叱られた。
「全く、あれほど危険な事はさせないようにと言ったのに!」
「そうだ!たまたま俺やサイタマとジェノスがいたからよかったものを!」
「「すみません」」
「まぁ、無事で何よりですけどね♪」
それからジェノスはヒーローン協会に報告した。
「はい、という訳で負傷者は桃テリー、ヘビィコング、雷光ゲンジ、スティンガーの4名。そして対象は全て駆除しました」
報告が終わったジェノスにサイタマが声をかける。
「俺…本当にこれからプロ向いてるのかな?」
「なに言ってるんですか?こうして怪獣を倒したんですし」
「でもさぁ…」
「まぁまぁ、サイタマさん」
すると殺せんせーが落ち込むサイタマに声をかける。
「別にプロでもなんでもいいじゃないですか。こうして人を助けたんですし」
さらにさくらも駆け寄った。
「私…ヒーローは嫌いだけど、アナタなら信じてあげるから」
「……可愛くないけど、ありがとな」
少しだけ自信を持ったサイタマであった。
久しぶりのワンパン暗殺です。
ジェノスと烏間のコンビはいかがでしたか?