今回が処女作なので生暖かい目で見守ってくれたら嬉しいです。
感想等も常に受け付けているので、どんどん送ってくれると嬉しいです。
真っ白な空間の中に一人の青年、『ルドガー・ウィル・クルスニク』がいた。
(ここは…?っ!)
真っ白な空間の中で目を覚ましたルドガーは、何故自分がここにいるのか思い出した。
(そうか…。俺は消えたのか…。)
ルドガーは一つの世界で一人の少女の為に数々の冒険をしてきた。エレンピオスに住んでいた彼は、成り行きでジュード・マティスや、ミラ・マクスウェルなどの仲間と出会い、骸殻という力を手に入れた。借金を2000千万ガルド払わされたり、兄が指名手配されて、その重要参考人として追われたりと、とても不幸な運命だったがそれも今やいい思い出である。そして彼は、最後に少女の為に自分を犠牲にし、少女を助けたのだった。
(もう少し…。もう少しだけでも彼女達のそばに居てやりたかったな。)
ルドガーは前の世界で出会い、絆を深めていった仲間達の事を思い出していた。
(ジュード、アルヴィン、レイア、ローエン、エリーゼ、ティボ、ガイアス、ミュゼ。)
それに、
(兄さん…。)
(「大切なら守り抜け。何にかえても!」)
(ちゃんと守ったよ…兄さん…。)
分子世界のキジル海爆で兄から言われた言葉を思い出していた。
もしかしたら正解じゃなかったかも知れない。間違っていたかも知れない。それでも、悔いは無かった。
少女……エルの為に自分を時間の因子化【タイムファクター】させ、エルの時間の因子化【タイムファクター】を阻止した事に後悔は無かった。
(ミラ…)
(これで良かったよな?ミラ)
分子世界を壊す仕事していたルドガーは誤って分子世界のミラを連れてきてしまった。彼女には恨まれたり、怒られたりもした。それも仕方ないことである。ルドガーは彼女の世界を壊してしまったのだから。彼女は正史世界のミラと入れ替わり消えてしまったが、最後には友好的だった……と思う。
(エル…)
(「約束!ルドガーも一緒にカナンの地に行く!」)
一緒にカナンの地に行こうと約束し、様々な冒険を一緒に体験してきた相棒だ。
彼女は分子世界のルドガー、「ヴィクトル」の娘でありクルスニクの鍵と呼ばれる存在でもあった。
そんな彼女と出会い、彼女の為に戦い、彼女の為に死んだ。そこに後悔などあるはずが無かった。
(良かった。彼女を助けら…れ……て…)
そして彼の意識はまた闇の中に潜っていった。
しかし、そんな彼に変化が起こった。突如彼の体が輝き、光と共に消えていった。
一つの物語が終わりを告げ、新たな物語が今、始まろうとしていた。