新しき<剣帝>の軌跡   作:kohac

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大変長くお待たせいたしました!!
やっと投稿することができました。一か月前に足を骨折してしまい
昨日退院することができました。いや~PCが使えないのがここま
で苦痛に感じたことはありません。これからはできるだけ更新を早
くできるように頑張ります


作者「え、スマホ?・・・知らない子ですね」(未だにガラケー)


フライベアの本気

実技テスト当日。雲一つない晴れ渡っている空の下《Ⅶ組》の面々はサラの指示でグラウンド

に出ていた。が、肝心なサラは未だに来ていない中これから行われる実技テストの内容をそれ

ぞれ話している。開始時刻から数分後慌てた様子もなく歩いてグラウンドにやってきた。

 

 

 「皆集まっているわね、それじゃあ始めましょうか」

 

 

そう言って、サラが指を鳴らすと彼女の前に一瞬にして傀儡めいた物体が現れた。

 

 

 「「「っ!」」」

 

 

フライベアは何一つリアクションしない中、他のメンバーは見たことの無いものが突然現れた

のだからか驚きを隠せないでいる。フライベア以外の反応に納得したのか、頷きながら説明を

続ける。

 

 

 「こいつは、とある筋から押し付けられたものでね。色々と便利だから、実技テスト

 で使わせてもらうことにしたわ」

 

 

悔しそうに言い放つサラ。ぎりぎりまで、使うか使わないかと悩み葛藤したのだろう。だから

昨日はあんなに飲んでいたのか、と呟くと聞こえていたのだろうすごい形相で睨まれた。お~

怖い怖い。咳払いした後、サラはまずリィン、エリオット、ガイウスの三人を指名して前に出

させて、実技テストの内容を説明する。要約すると、傀儡めいた物体と戦闘して倒すのだが、

ただ倒すのではなく戦術リンクを駆使して倒すことが大事であり、それが実技テストの目的で

あり、同時に評価点となる、という。

 

 

 「三人とも、準備は出来たわね。それじゃあ、頑張りなさい!《Ⅶ組》実技テスト、開始!!」

 

 

サラの合図で戦闘が開始される。リィンとガイウスの二人が前衛として傀儡に攻撃をしながら

も、そのどちらかがもう片方の攻撃のスキをフォローし、後衛のエリオットがアーツで援護す

る。途中、傀儡の放った強力な範囲アーツで危ないところもあったものの、《ARCUS》の

戦術リンクを活用して何とか撃破する。三人は武器を納めると何やら満足した顔で呟いた。

 

 

 「うん、うん。上出来ね、早速昨日の旧校舎の探索が生きたわね。」

 

 

サラの呟きに三人以外の全員がそれぞれの反応を見せる。どうやら前日の自由行動日に学院長

から旧校舎の調査をリィンが引き受け、三人で調査をしたらしい。その時も魔獣と戦闘があっ

たようだ。フライベアはリィン達も頑張っているんだな思っていると、またサラが指を鳴らし

て傀儡を呼び出す。その後、ラウラ、アリサ、エマのチームとマキアス、ユーシス、フィーの

チームも苦戦しながらもなんとか勝利を収めることができ、一通り終わりを迎ーーー

 

 

 「あ、あの~サラさん。俺、まだやっていないんだが・・・」

 

 

 「大丈夫よ、ベア。あなたの分もあるから」

 

 

笑いながらもサラは指を鳴らして傀儡を引っ込めた。サラの行動に疑問符を浮かべた全員がサ

ラの行動を見守る中、サラは自分の獲物である強化ブレードと導力銃を取り出して

 

 

 「さあ来なさい!ベア。」

 

 

 「い、いや、実技テストの目的からそれていますし、」

 

 

 「嫌なら別にいいけど、その代わり一か月補講にするわよ」

 

 

 「職権乱用ですから、それ!」

 

 

やれやれ、とサラと対峙するフライベア。審判をリィンとラウラに任せ、片手剣を構えずに刀

を構えると、

 

 

 「ベア、刀ではなくて片手剣で、全力で来なさいよ。」

 

 

渋々、刀を納刀し腰から外し投げ捨てる。お互いの準備が完了したことを確認すると、リィン

 

 

 「それでは、始ーーー」

 

 

言い終わるや否やお互いの剣がものすごい音でぶつかり合い、一拍おいて風がリィン達を駆け

抜けた。

 

 

ーーーサラsideーーー

 

 

リィン達が驚いた声を上げているが、今はそちらに気をまわしている暇は無い。今はベアの方

に集中しなくてはと、自分の強化ブレードに全体重を込める。

 

 

 (教官の意地にかけて、今回は勝たせてもらうわ!)

 

 

思い返せば、今まで7勝8敗と負けているからここでベアに勝ち引き分け、ということで区切

りをつけるために、敢えて自分の生徒が見ている中でベアとの対戦を申し込んだのだ。だから

、だからこそ絶対に負けたくはない、そう思い導力銃を至近距離から連射する。しかし、ベア

はそのことに察知したのか少し距離を取った。

 

 

 (流石ね・・・だったらこのまま持久戦に持ち込めるのまで!)

 

 

ベアに距離を詰められないように、導力銃で牽制をかけ続ける。

 

 

 (このまま牽制しつつ、わざと隙を見せてベアに懐に飛び込ませて、そこにカウンターを入

 れて・・・仕留める!!この勝負、勝つのはーーー)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーフライベアsideーーー

 

 

  (・・・なんて、サラさんは考えているんだろうな。)

 

 

次々と恐らく模造弾であろう、銃弾をひたすら避けながらサラのこの後の行動を確信する。確

かに、一騎打ちにおいては悪くはない作戦ではある。だが、

 

 

  (あの様子じゃあ、その”作戦”が失敗した後のことを考えていないな。・・・サラさん、

  元A級遊撃士なんですからしっかりしてくださいよ。でも、今回はありがたいかなアレの

  調整もやっと終わったしな、使ってみるかな!この勝負、勝つのはーーー)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

  ((私(俺)に、決まっている!!!!))

 

 

遂にサラが行動を見せる。ラウラとリィン以外は気づくことができなかったものの、数瞬だけ

サラが放つ弾幕が薄くなったのだ。それに気づいたフライベアは一気にサラとの距離を詰めて

横に薙ぎ払う。が、しかし

 

 

  「引っかかったわね、ベア!!喰らいなさい!---『電光石火』!!!」

 

 

フライベアの行動を完全に見切っていたサラは、フライベアの渾身の一撃を軽々とよけ、カウ

ンターと言わんばかりに強力なクラフトを繰り出してきた。どんなに修練を積んだとしても、

わずかな時間に生じる硬直を克服することはできない。その事実を知っているラウラ、リィン

はもとい二人の試合を見ている全員がこの勝負の結果が目に見えていたーーーはずだった。

そう、フライベアが言葉を紡ぐまでは、

 

 

  「サラさんこそ引っかかりましたね。オーブメント、駆動!-ーーアースウォール!!!」

 

 

そういうと、すぐに変化が起きた。フライベアの周囲の地面が突如、隆起してフライベアを保

護する壁のように変化し、そしてサラのクラフトを完全防御したのだ。

 

 

  「「「「っ!!!!!」」」」

 

 

これには誰一人驚きを隠せず、動揺している。自分たちが今まで見たことがないアーツを見た

ことに驚いているのはもちろん一番驚いたのは、無論サラだった。勝利を確信して渾身のクラ

フトを放ったものの、それはいとも容易く防がれてしまった。それだけでも、ショックなのに

さらには、

 

 

  「・・・アーツを、駆動時間なしで発動させるなんて・・・」

 

 

誰かが声を漏らして呟く。無理もなかったのだ、本来ならばアーツはオーブメントを

駆動させて発動させるまでに多かれ少なかれ時間がかかる。そのことは、実際にアーツを発

動させたことのある全員が理解していた。しかし、現に目の前ではその定理ともいえるものが

覆された。

 

 

  ---サラsideーーー

 

 

  (な、なに今の。何が起こったの?)

 

 

思わず、考え込んでしまう。しかし、前からの声がサラの思考に割り込んできた。

 

 

  「敵を前にして、ずいぶん余裕ですね。・・・なら、全力で行きますよ!!」

 

 

フライベアの覇気がさらに大きくなる。この攻撃は受けてはならない、と脳が本能的に警鐘を

鳴らすがクラフトを放つ際、後方へ大きく跳躍してしまった時点で回避はできないのだ。みる

みるとフライベアが接近する導力銃で足止めを試みるものの無駄に終わり、自分の着地点スレ

スレにフライベアが到着しサラが着地する瞬間、今まで感じたこともない衝撃が襲った。とっ

さに強化ブレードの柄で直撃こそは避けれたものの威力は殺せるはずはなく、

 

 

  「(これが、ベアの本気ーーー)きゃーーーーーっっっっ!!!!」

 

 

吹き飛ばされて、土壁に激突することこそはなかったものの衝撃でサラは意識を手放すのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

  ---フライベアsideーーー

 

 

  (・・・できた!調整はきちんとできてる。これなら使えそう)

 

 

周りが驚きであふれているのが感じられる。正直自分でも驚いている、とある人の協力で理論上

では出来るようになってはいるが、実戦で使えなければ意味がない。どうやら今回はあたりを引

いたようだ。ここで意識を切り替える、クラフトを放った際後ろへジャンプしてしているため、

決着をつけるならサラが着地するまでだと確信しサラを見る。案の定何が起こったか分からず、

思考していた。

 

 

  「敵を前にして、ずいぶん余裕ですね。・・・なら、全力で行きますよ!!」

 

 

サラの意識をこちらに向けさせて、攻撃を再開する。サラが着地するであろうポイントへ駆け抜

ける、道中こちらへ近づけまいと導力銃で応戦してくる。いちいち躱していないためか模造弾に

も関わらず、側頭部に掠めた際皮膚が擦り切れ血が出てくる。が、止まらず辿り着くと覇気を解

き放ち力を込める。脳内で再生されるのは、師匠の、レーヴェの技の動き。

 

 

  「---受けて見ろ、《剣帝》の一撃を・・・『鬼炎斬』っ!!」

 

 

繰り返し再生される彼の動きに、幾度となく練習して今自分の動きが重なり放たれる。とっさに

サラは強化ブレードの柄で直撃を躱したものの勢いを殺しきれるはずもなく、

 

 

  「きゃーーーーーっっっっ!!!!」

 

 

大きく吹き飛ばされて、気絶したのを確認するとフライベアはサラを起こすためサラに近づくの

だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 

 

唖然とした空気が戦闘が終わったグラウンドに訪れた。ここまで実力が違うのか、と思ってしま

う。しかし、

 

 

  「上がいるとわかると、やる気が上がるな」

 

 

  「・・・ふん、珍しく意見が合ったな。マキアス=レーグニッツ」

 

 

  「こちらの台詞だ、ユーシス=アルバレア」

 

 

やはり仲が悪い二人は火花を散らしていた。だが、マキアスが言ったことは全員が思っている事

だった。フライベアに起こされてたサラは周りの反応を見て、

 

 

  (やはり、ベアとの戦いは良い刺激になったようね・・・かなり痛かったけれど)

 

 

服のあちこちに付いた土埃を払い、今晩ベアに一杯付き合ってもらおうと決めたサラは

 

 

  「さて、みんなお待ちかねの今週末の特別カリキュラムについてするわね。皆、封筒を渡す

  から受け取って」

 

 

各々が封筒を受け取り、中身を取り出し確認すると紙にA班、B班の五人づつの二つの班に分け

られそれぞれ実習地と書かれた場所が記されている。皆の疑問に答えるように

 

 

  「《Ⅶ組》の特別なカリキュラムは、課外活動のことよ。あなた達にはこの紙に書かれてい

  る場所に行って、用意された課題をこなしてもらうわ、これで説明は終わりよいろいろ準備

  があると思うからーーー以上で解散!」

 

 

それぞれがグラウンドから出ていく中、フライベアは後ろからフィーに呼び止められた。

 

 

  「ベア、まだ少し血が出ている」

 

 

  「ん、あぁありがとな、フィー」

 

 

ハンカチで血をぬぐってくれるフィー、一通り終わるとそのまま課外活動の買い足しに付き合わ

されるのだった・・・そして夜、

 

 

  「ヒィック、何よ~ベア。まだまだ飲めるわよね~」

 

 

  「か、勘弁してくださいよサラさん、もう、のめない・・・」

 

 

フライベアはサラに酔い潰されてしまうのだった・・・

 

 

 




新クラフト紹介

  鬼炎斬  Sクラフト 円M(地点指定) 威力SSS CP100以上 延焼100% 

お馴染みのレーヴェのSクラフトです。いや~カッコイイなと思います。


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